レビューとは?著者に勇気を与える具体的なレビューの書き方
こんにちは。
杞優橙佳です。
小説プラットフォームで活動していると、レビューを書いてもらいたい!と思ったり、レビューを書きたい!と感じる作品に出会います。
でも改めて考えると、レビューって何かもよくわからないし、具体的な書き方がわからない。そんな方のために、この記事を書きました。
この記事を読めばレビューをどう受け入れればよいかわかり、具体的なレビューの書き方がわかります。ぜひ参考にしてくださいね。
レビューの2つの意味
小説家になろうを始めとしたプラットフォームには、レビューという機能があります。
ですがレビューが外来語ですから、意味をよく理解しないまま利用されている人がいるかも知れません。まずはレビューという言葉の意味を確認してみましょう。
レビュー
実用日本語表現辞典
読み方:review
レビューは「復習する」「よく調べる」「批評する」といった意味で用いられる、英語の review に由来する外来語である。
レビューという語は文脈によって意味合いが異なる。「商品レビュー」「カスタマーレビュー」「ブックレビュー」といった表現に含まれる「レビュー」は、批評・論評といった意味である。商品の長所・短所、使い勝手、実際に使って得られた所感などが、あるいは書籍や映画であれば概要(あらすじ)や見所、表現の巧拙に関する評価、作品のに込められた作者の真意に関する考察などが、レビューの内容として含まれ得る。
ビジネスシーンにおいて「レビューに回す」「コードレビュー」というような言い方で用いられる場合、「レビュー」は文書内容を精査し(よく調べ)て問題点や改良すべき点の有無を洗い出すという意味合いを色濃く含む。学術論文の「レビュー」も、論述の内容に齟齬や不足がないか等を批判的に確認するという点において、この用法に連なるといえる。
こちらを見る限り、大きく二つの意味がありますね。
1つめは批評・論評
2つめは内容精査・確認
このブログを読んでくださっている方の目当ては、1つめの意味ですよね。
ですが念の為、参考までに2つめの意味について整理しておきましょう。1つめの批評・論評の理解にも役立ちますので。
ビジネスシーンにおけるレビューの意味
先程も書いたとおり、内容精査・確認を意味します(腰ボロ作家も普段の仕事の中で、浴びるほどレビューをしています)。
では内容精査や確認を行う方法とは何でしょうか。
これは「正解をもとに、現在ある成果物を確認する」ことです。
正解って何かというと、事前に決めた決まりごとのことです。
例えばあなたが「起承転結に沿った小説を書く」と決めたとしましょう。
その場合のレビューに必要なのは、書かれた小説が起承転結に沿っているかを確認することです。
では、あなたが「起承転結に沿った小説を書こう」と決めたときに、「キャラクターが作者の操り人形になっているからダメ」というレビューは正しいか否か。
非常に重要なことをいいます。
この場合、あなたが定めたルールはそこにないわけで、レビューは的外れです。否定的な言葉にショックを受けるかもしれませんが、無視していいのです(大事なことなのでもう一度いいます。無視していいのです)。
もちろんレビューの意見を取り入れて、「キャラクターを活かしながら、起承転結に沿った小説を書く」と、改稿したり新しい作品に取り組むのは有りです。これは建設的なやり取りになりますね。
まとめると、小説プラットフォームで頂いたレビューをビジネス的に受け入れるならば。
・「あなたが決めた正解」に対して、できているかできていないかを書いたレビューは受け入れる(理由が書かれていればなお良し)。
・「あなたが決めた正解」に対して、別の正解から書かれたレビューは、無視して良いし、建設的に取り入れても良い。
となります。
「商品レビュー」「カスタマーレビュー」「ブックレビュー」のような批評・論評
一方、批評・論評という意味のレビューはどうでしょうか。
実は批評・論評のレビューは、内容精査・確認のレビューとの大きな違いがあります。
それは誰に向けて書いたかということです。
内容精査・確認のレビューの目的は作者へのダメ出しや修正依頼だったのに対して、批評・論評のレビューの目的は別の読者にむけてレビュワーの読み取ったことを紹介をするものとなります。
まとめると下記になります。
・内容精査・確認のレビューは著者へ向けられたもの
・批評・論評のレビューは別の読者へ向けられたもの
となります。
別の読者へ向けられた文章……つまり批評・論評は、レビュワーにとっての作品なのですね。
こう書くとレビューのハードルが上がるかもしれませんが、レビューって実際それだけ価値のあるものですし、影響力のあるものです。
具体的なレビューの書き方
それでは具体的なレビューの書き方を書いていきます。
事前準備と作成手順をまとめます。
事前準備
①書籍に関する予備知識の収集
②著者の経歴、ジャンル、執筆の目的、出版までの経緯など、著者への理解
③本を読んで、物語の背景や構想、登場人物の性格などを把握
④気に入った部分、気に入らない部分があれば抽出
⑤主観で構わないので、それぞれのシーンで受けた印象をメモ
⑥本を読み終わったあとに全体を振り返って印象をメモ
作成手順
1.最初に書籍のタイトルと著作者の名前、本のテーマ、書籍を書いた背景をまとめる(事前準備①②の情報)。
2.自分が感じた書籍に対する気に入った部分/気に入らない部分を理由を含めて書く。言葉にならずもどかしいときは、下記のエントリーを読んでみてください。
・『魅力的で個性的な、自分らしいキャラクター』をつくろう!
・美しい物語を書く2つのヒント
・切ない物語は3つのポイント(要素)でできている
・感情四元論(悔しいと気持ちいいと切ないと美しいを語る)
・【作品作りの屋台骨】面白さとは何か
・予想の外し方(面白い物語づくりの1つの方程式)
・笑いの3要素~例を出して紹介します~
・感動の作り方~「ハリウッド式3幕構成」と起承転結~
・【読者を惹きつける】人が興味を持たずにはいられない10のキーワード
・「続きが知りたい!」と読者に言わせる11の区切り方
この作品は〇〇だから面白い。この作品は〇〇が美しい。〇〇の展開に予想を外された……といった理由付けの根拠になります。
3.書籍の全体の印象について論評する。
例えば「書籍を読んでみて、読み始めた当時の自分に比べて意見は変わったか、変わらなかったか、を書く」とか「書籍から読み取った著者の意見に対する自分の考えを書く。但し、その際、著者の意見を否定するのであれば論拠を示す」のもいいですね。
著者の想定していた「執筆の目的」と違った意味を感じてくれるのも、著者としては嬉しいです。
4.1~3の文章を並び替えたり要約して、読んでいて楽しい文章にします。最初に結論をもってくるのがオススメですね。この物語は〇〇だ。とズバッといい切ってから、具体的な論評を書いていきましょう。
※鋭い意見(著者を否定する文言)を書くときは、最後にひとこと著者を立てる文言を付け加えるとか、あくまで自分は〜と予防線をはってあげると、著者に親切です。
具体的にレビューを書いてみた!
それでは具体的なレビューの書き方をもとに、私の作品「境界を超えろ!」へのレビューを書いてみます。
境界を超えろ! 著者:杞優橙佳 レビュー
アイン・スタンスラインは、哲学者ニーチェのいう「超人」である。
「超人」とは、まれな資質を有し、困難な目標を成し遂げるスーパーマンではない。資質がイマイチで、成功の見込みがうすくても、自分の欲望から目をそらさず、挑戦する人間をいう。つまり、結果ではなく、意志なのだ。
アインは第10話で、会ったこともないオースティアの初代国王から『血筋じゃない、生き様だ』と天啓を受けた。おそらくこの言葉は、彼自身の心の声でもあったはずだ。愛する弟を自分のせいで失った……だから弟の成し遂げたであろう物事を自分が成し遂げる、人生を捧げて……そうしてアインはオースティアを駆け、ロマリアを駆け、アルテリアを駆け、世界を駆けた。
アインは王族の血も、貴族の血もない庶民の男だ。その彼が問題解決のために世界を駆ける。爽快じゃないか。オースティアのアカデミーの学長ではないが、私がこの本を最後まで読めた理由は唯一つだ。
「誰もが諦め、問題に取り組むことを放棄している。優秀な若者よ、君はそれに取り組むというのだな? ならば私は、君の未来を見てみたい」
振り返って見れば、「境界を超えろ!」というタイトル。もともとの構想ではXceedというタイトルだったそうだ。
著者は国境や人と人との境界、自分の定めた限界を超えるという意味でXceed(Exceed)と名付けた。しかし私はsurpass(何かに打ち克つ)という意味も含めて考えたい。
アインは困難や苦しみに打ち克ち、自分の中の理想だけを追いかけ、反復推敲を繰り返してきた。(「その結果が今のお前の生き様なのだとすれば、稀に見る蓋世之材だ」とは作中グインの談)
アインの強固な意志。本編で描き出された超人としての生き様……これが著者の描きたかったXceeded(超越者)の姿なのだろう。
著者はこの作品のあとがきで、誰もに愛されるリーダーを書きたかったと書いた。彼自身、社会人になってから、横暴なリーダーや無責任な気迫のないリーダーを目にしてきて、自分はこんなリーダーにならないという反骨心から、リーダーシップやビジネスフレームワークを学んでつくりだした理想のリーダー像が、アインなのだ。その意味では多くの社会人の模範になるキャラクターでもある。
しかし最後の着地点で、異なる考え方も示すのが著者の憎いところだ。この物語の終わりは、アインに対するもうひとりの主人公ケルトによってもたらされる。思えば終わりの兆候はアインがマタリカ大陸を駆け抜けたときに始まっていた。そこからのアインは、これまでの姿勢そのままに、世界を平定させるため悪の枢軸と戦うことを選ぶ。それが多くの人の命を失うことにつながった。
「アインはともに歩む人をひとり残らず、理想の場所につれていくことを誓っていた。」はずじゃなかったか?
その違和感が結実されたのが、最終話だった。誰もに愛されるリーダーを、極めて冷静に批判的に見つめていたのも著者自身だ(3巻に収録されている外伝ケルト・シェイネンで、まぎれもなく作者が二つの視点から物語を書いていることがわかる)。
この著者は僅かな文面で、リーダーの栄枯盛衰を書き上げた。
短い文章で表現することを選んだのは、著者が腎臓病に冒され、命の残り時間を意識しながら物語を書いたからだろう。彼は自分の生きているうちに物語を完結させたかった。そして読者の時間が、自分の命と同じように尊いとわかっていた。だから著者は長い文章ではなく、端的に物語を届けることにこだわりを持ち続けたのだ(数十冊続く物語と、三冊で終わる物語のどちらがいいかなど比較できない。これは作者のポリシーの問題だろう)。
これは、二度と生まれ得ない快作だ。時間のあるときに物語を何度でも読み直し、アインの良い点や悪い点を考えて、自分の生き方へ取り入れてみたい。
いかがでしたでしょうか。拙いレビューですが、この程度のレビューでも書かれた著者は嬉しいと思います
ぜひ皆さんも、気に入った作品に対して、レビューを書いてみてくださいね。
(大事なのは他の読者へオススメする気持ちです!)
まとめ
本エントリーでは「レビューとは?著者に勇気を与える具体的なレビューの書き方」ということで、レビューについてご紹介しました。
大事なのはレビューに2つの意味があると意識することです。
①内容精査・確認のレビューは著者へ向けられたもの
②批評・論評のレビューは別の読者へ向けられたもの
①のレビューでは、作者の正解に対して気づきをくれるコメントには耳を傾けること。作者の正解と別の正解を押し付けるコメントは無視して良いこと。
②のレビューは、作品を誰かにオススメするときに書く、レビュワー自身の作品であること。具体的なレビューの書き方も書きましたので、是非参考にしていただいて、作者に勇気を与えるレビューが沢山書かれることを祈っています。
著者もレビュワーもお互い幸せな、Web小説ライフとなりますように。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません