切ない物語は3つのポイント(要素)でできている

こんにちは。
杞優橙佳です。

以前美しい物語について考察をしたことがあります。
それを書いているときから、「切なさ」についても考察をしていました。

このエントリーでは、胸がギュッと締め付けられる、どこか切ない物語の書き方についてご紹介します(切ない物語が増えすぎても辛いので、まとめに書いている抱き合わせも意識してみてください)。

結論:切なさとは、あるべきところにないこと

概念的すぎますので、具体的に書きましょう。
あるべきところにないこと、とは

・物語の着地点が見えている状態で、着地点にたどり着けず、終わる。

ことです。

以前、物語の基本形は気持ちや、役割や、状況が変わることと紹介させていただきました。作家が物語を書くうえでは、伏線を用いて、気持ちや、役割や、状況の変わるべき場所(着地点)が示されていくことでしょう。読者も、この物語は最後こう変わる…こう変わってほしいと予想しながら、読み進めるはずです。

ですが切ない物語では、変わるべき場所にたどり着けず、終わります。

このときのポイントは、再起のチャンスもなく、終わることです。
二度と戻れないほど、切なさを生みます。

終わらせる方法は、①自分で選択して終わるか、②自分ではコントロールできないまま終わるかの二つがありますが、②のほうが切なさは倍増します。つまりコントロールできないことが大きなポイントとなります。

具体例をあげて説明します。

切ない物語の具体例

先程書いた定義にそって、切ない物語の具体例をいくつかあげてみました。どれかひとつは、切ないと感じていただくことができるのではないでしょうか。

・好きな人が、他の人とつきあってしまう
→私と付き合うべき人が、他の人と付き合って、私の恋愛が自分ではコントロールできないまま終わる。結婚して子どもができてしまえば、二度と自分と付き合うことはない。

・思い出にしたくないことが思い出になってしまう
→例えば、思い出になんかしないと誓った大切な人との思い出の場所が、再開発によって自分ではコントロールできないまま思い出になる。思い出がいつしか思い出せなくなっていき、思い出ですらなくなってしまう。

・先生からほめてほしくて勉強を頑張ったのに、先生がいなくなってしまう
→誰よりも自分の進路を心配してくれた先生。勉強して結果が出てきて、褒められるという着地点が見えていたとき、自分ではコントロールできないまま先生がいなくなる。(感情のもつれから先生を嫌いだと言って、自分から先生に褒められるのを拒絶する、というお話も切ない例ですよね)

・変わらずにいたい自分や他の誰かの気持ちが、変わってしまう
→亡き妻しか愛さないと考えていた男の思いが、優しい女性との出会いで変わろうとし、最終的には変わる。大事にもっていた亡き妻の遺品を、墓に供えて思い出にして、新しい道を歩み始める、とかだと一層切ないです。

・甲子園優勝を目指して特訓してきた高校3年生が甲子園準優勝に終わってしまう
→人生に一度しかない高校生活で、野球部として3年間目指してきた場所。1年生のときに先輩と絶対に甲子園へ行くと約束した場所。たどり着けそうだったのに、勝負に負けて、終わる。

まとめ

具体例をご覧になって、どう感じられましたか?誰が見ても、どこか切ないと感じる事例だったのではないでしょうか。

切ない物語のポイントは下記の3つです。

・物語の着地点が見えている状態で、着地点にたどり着けず、終わる。
・再起不能(二度と戻れない)
・コントロールできない(自分で選択しないまま物事が進み、終わる)

切ない物語はバッドエンドになりがちではありますが、誰かが『着地点にたどり着けず、終わる』ことは、他の誰かが着地点にたどり着いたことの裏返しでもあります。

そう考えれば、主人公にとっては切ない物語だったけれど、ほかの登場人物にとっては幸せな物語だったのかもしれないねと、広い視点で物語を見て楽しむこともできるのではないでしょうか。

(逆をいえば、バッドエンドを書くなら、他の誰かのハッピーエンドを抱き合わせすること。これが読者の反感を干渉するポイントだったりします)

あなたの物語の参考になれば幸いです。