「日本人なら誰でも本能的に憎しみの向け先が具体的に想像できる敵」の書き方発見

2022年12月12日

 先日、敵を設定するポイントは「読者が憎しみの向け先を具体的に想像できるか」という記事を書きました。この記事の中で私は敵を設定するときに「読者が憎しみの向け先を具体的に想像できるか?をよく考えること」が重要と書いています。つまり

 敵=読者の憎しみの向け先

にすることで敵を倒したときの爽快感が最大化するということです。

 

 そして、日本は外国のように他国に侵略されたことがないので、全国民共通の憎しみの向け先が無いとも書きました。例えば第二次世界大戦で日本は敗北しましたが、アメリカのことを心底に組んでいる人はいないでしょう(これはアメリカの統治の巧さですが)。

 次に、憎しみの向け先の具体的な例として、いじめっ子を例に出しました。日本では全国民が学校に通っており、遠かれ近かれ(当事者になるにせよ傍観者になるにせよ)いじめと遭遇してきたはずです。そのため、いじめっ子に対する憎しみは日本人共通。なのでいじめっ子をぶっ倒す漫画は、敵の解像度が高く、敵を倒すことにより爽快感が得られます。

 本エントリーでは、この「敵」について改めて書きます。
 つい最近、「日本人なら誰でも本能的に憎しみの向け先が具体的に想像できる敵」がいるんじゃないかと感じたからです。

鎌倉殿の13人 第47回「ある朝敵、ある演説」神回だった

 「日本人なら誰でも本能的に憎しみの向け先が具体的に想像できる敵」に気づいたのは、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第47回「ある朝敵、ある演説」を見たからです。

 この話は誰もが日本史で習う北条政子の大演説が描かれた話です。
 まず大前提として、「鎌倉殿の13人」は北条家を中心とした物語です。物語の主人公 北条義時は鎌倉幕府を安定させるために、政敵の抹殺などの汚れ仕事まで心を殺して行い続けてきました。
 その北条義時が鎌倉幕府をようやく平定したころに、天皇である後鳥羽上皇が北条義時を追討(朝敵として日本全員の敵とする証)の宣言を行います。
 執権という鎌倉幕府の実質的な最高権力者となった北条義時は、その最後の役目として、鎌倉を守るため、自分一人が犠牲になる道を選ぼうとします。しかしそれに待ったをかけたのが北条政子……ところから、第47回の大演説が始まります。

 「本当のことを申します。上皇様が狙っているのは鎌倉ではない。ここにいる執権・義時の首です」と切り出すと、「首さえ差し出せば兵を収めると院宣には書かれています。そして義時は、己の首を差し出そうとしました。鎌倉が守られるのならば、この人は命を捨てようとこの人は言ったのです」と真実を明らかにする。

 御家人たちのために「犠牲になろうと決めた」義時に反対したものの、「思いを変えられなかった」とも告白する政子。「ここで皆さんに聞きたい。あなた方は本当にそれでよいのですか。確かに執権を憎む者が多いことは私も知っています。彼はそれだけのことをしてきた。でもね、この人は生真面目なのです。すべてこの鎌倉を守るため。一度たりとも私欲に走ったことはありません」と述べると、「鎌倉始まって以来の危機を前にして、選ぶ道は二つ。ここで上皇様に従って、未来永劫(えいごう)、西の言いなりになるか。戦って坂東武者の世をつくるか。ならば答えは決まっています。すみやかに上皇様を惑わす奸賊(かんぞく)どもを討ち果たし、三代にわたる源氏の遺跡(ゆいせき)を守り抜くのです。頼朝様の恩に今こそ応えるのです」と呼びかけた。

 さらに政子は「向こうは、あなたたちが戦を避けるために執権の首を差し出すと思っている。馬鹿にするな。そんな卑怯者はこの坂東には一人もいない。そのことを上皇様に教えてやりましょう」と言い放つと、御家人たちは雄たけびを上げた。

https://mantan-web.jp/article/20221211dog00m200032000c.html

この演説の話の持っていき方、どこかで

 番組をご覧になられた方、上記の動画をご覧になられた方は、こう思ったかもしれません。
「この演説の話の持っていき方、どこかで……」

 そう、東京リベンジャーズ佐野万次郎(マイキー)の名台詞 「こん中にパーのダチやられてんのに、迷惑だって思ってる奴いる?」 「パーのダチやられてんのに、日和ってる奴いる?」 「いねえよな!?」です。

 私もそれを思い出して、2つのシーンの型が似ていること、どちらも私たちを奮い立たせるシーンであることから、これって「日本人なら誰でも本能的に憎しみの向け先が具体的に想像できる敵」なんじゃないか?と考えました。(視聴率12%の大河ドラマと、累計6500万部の大ヒット漫画に共通の型ですから、身につければ強いですよね)

「日本人なら誰でも本能的に憎しみの向け先が具体的に想像できる敵」の書き方

 2つのシーンに共通する要素は、
・部外の人間が、内部の人間に干渉している
・部外の人間は、主人公のグループより格上
・一人を生贄に捧げれば他のみんなが助かる
(言うことを聞けば許してやる=生涯言いなりになれば許してやる)
・日和ってるやついる?いねえよな!?

 書き出しているだけでテンションがあがります。
 私はヤンキー気質じゃないはずですが、ヤンキーマインドは備わっているみたいです。

 このヤンキーマインドがどこから来ているのかな?と考えたとき、私はバンデットという漫画に出てきた足利さんの「武士はナメられたら殺す」が思い浮かびました。

 日本人のスピリットは大昔から変わっていなくて「一度弱者に陥ってしまったら二度と抜け出せない」という戦国の時代から一貫して、「ナメられたら殺す」なんじゃないかと感じます。

 ですのでこうすれば日本人の心を打つはずです。
 物語の中の敵キャラに、主人公をナメさせ、仲間を売ったら許してやると言わせ、それでも主人公に「そんなので日和るやつがいるかよ」と言わせる。

 少なくとも私は燃える展開だと感じますが、いかがでしょうか。「日本人なら誰でも本能的に憎しみの向け先が具体的に想像できる敵」の書き方、ぜひ参考にしてください。鎌倉殿の13人は、この敵を最後の最後にもってきたのがストーリーテリングとしてあまりに上手でした。最終回第48回も楽しみに見たいと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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