美しい物語を書く2つのヒント

2019年10月11日

こんにちは。
杞優橙佳です。

先日より美しい物語について考察しています。

その中で2つのヒントにたどり着きましたので
このエントリーで紹介します。

ぜひ物語づくりの参考にしてみてください。

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美しさの定義

科学者の研究によると、下記の結果が出ています。

「とても強烈な」快の感情 を想起するものが美。

私はこの定義から、
たった1秒で得られる美(短期的な美)と、
長い物語の先にある美(長期的な美)の
2つがあると考えました。

短期的な美とは、
小説で言えば体裁であり、冒頭の一文です。

これは下記のエントリーでも考察しました。

長期的な美とは、
他人の人生など長い時間をかけて
共有された物語に対して感じる美です。

下記のエントリーでは
イチロー選手の野球人生を例にあげています。

それではこの2つの美について、
小説創作に活かす方法を考えましょう。

結論:美しさとは

あるべきところにあること

短期的な美しさでも、
長期的な美しさでもこの結論は変わりません。

たった1秒で決まる短期的な美しさであれば、
表紙絵、体裁、冒頭の一文。

これらは美的センスにも大きく左右されますが、
あなたが理想とする美しさに合致する
表紙絵であり、体裁であり、冒頭の一文が
書かれていれば美しいと感じるでしょう。

物語を読んだ先に感じる美しさであれば、物語を通して見せてきた物語の着地点に、主人公が着地することが重要です。
一貫性をもって進んできた主人公の夢がついに報われるとか、目指してきた存在に最後に出会えるといったことですね。

これについては美的センスに左右されることなく、物語を読んだ読者に狙って感じさせることのできるものです。

それぞれの詳細についてこれから書いていきますね。

1.短期的な美しさ

短期的な美しさを決定するのは、

表紙絵
体裁
冒頭の一文

このファーストインプレッションが全てです。

正直なところ個々人の感性によるものなので、これという正解はないと思いますが、私の感性で短期的な美しさを出すために必要な要素をあげてみます。

1.1 表紙絵

美麗なイラストに飾られた作品であれば、
それだけで魅力的に見えるでしょう。

私であればスタイリッシュなキャラクターが描かれていたり、美しい風景が描かれている作品に美を感じます。

例えば君の名は。のポスターは
美しい風景が印象的です。
私はそれだけでグッと惹きつけられました。

また自分の作品であれば、第1巻の表紙がスタイリッシュで美しいと思います。

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1.2 体裁

パッと見の印象で、
配慮が行き届いているかどうかが
伝わったりします。

例えば
昨日は雨だっ
た。

のように一文字だけ次の行に
改行されているような文章を見ると、
あまり美しくないなと感じます。

私は白紙部分と文字部分のバランスが良い本に美しさを感じるタイプなのでしょう。全くそこ気にしないよって方も多いのでしょうけど。

この目線で世の中の小説を見ると、
1文字だけで即改行という小説は
あまりないように感じます。

編集者がいわゆる割付のフェーズで調整されているのでしょう。そう考えると編集の仕事はすごい作業です。

私の作品はスマホで読む際に
デフォルトの文字サイズで見ていただくと、
パッと見で汚いなと思われないように
調整しています。

小さな配慮ではありますが
読みやすいようにと
配慮しているつもりです。

1.3 冒頭の一文

先日は美しい文章の例として

『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』

「雪国」 川端康成

をあげさせていただきました。

「雪国」はこのあと

夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

と続くわけですが、それを含めて美しい冒頭だと感じます。

その理由を考えた時、
3点の要素を思いつきました。

・1文の短さ
・リズムの良さ
・情景が浮かぶかどうか

の3点です。

・1文の短さ

そもそも人は長い文章を
記憶することが難しい動物です。

認知心理学として人間が瞬間的に記憶できる(短期記憶で保持できる)情報の最大数は、マジカルナンバー7±2という研究結果があります。

この観点で見た時、雪国の一文は

登場するキーワード
「国境の長いトンネル」※9文字でひとかたまり
「を」
「抜ける」
「と、」
「雪国」
「で」
「あった」※雪国であった をひとかたまりとしても6文字

で最大9文字の単語と7つの要素でできていることがわかります。最大9文字におさめるというのは、ひとつのポイントかもしれません。

・リズムの良さ

これはラノベのタイトルが参考になります。ラノベのタイトルに多い表現でいうと下記のようなものでしょうか。

AするとBだった
AしたらBになっていた
AだけどBだからCする

必要事項を端的に述べて文の長さを短くすることが、美しい一文を書く重要な要素だとわかります。文章を要約する能力と言い換えることもできますね。

あとは、要約された文章を最初に考え、そこから物語を発送させるという方法もあります。実はそのほうが長い文章を要約するよりよほど簡単です。試してみてください。

・情景が浮かぶかどうか

一般に情報を多くしたり、修飾語を多く書くことで情景が浮かぶと言われます。

例えば

夜の公園はひっそりと静まり返っている。

よりも

夏の深夜零時を過ぎた夜の公園は驚くほど静かだ。セミのなく声も聞こえなくなり、生き物のを気配を感じない。入口のそばには、電池の切れかけた街灯が1つ、チカチカと瞬き、古びた滑り台をわずかに照らしている。

の方が情景が浮かびます。

しかしこのように長い文章ではリズムも悪くなり、1文で表現できなくなるケースもあるでしょう。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

の優秀さが再び実感されます。

自分の描きたい風景は、端的に言うと何が何になったのか。これを意識することが大事となりますね。

以上3点、美しい冒頭を描くためのヒントを書きました。

最後に、お断りしておかなければならないのは、Web小説で評価される冒頭の文章=美しい文章ではないことです。

Webではバイオレンスで過激な冒頭のほうが続きが気になり、読まれる傾向があります。

文学的な作品に憧れる方は美しい冒頭を描きたいと考えるのですが(私もそうです)、Web小説で評価を得ようと思えば、衝撃的な冒頭で興味を引き、読者に内容を読んでもらう必要があるのかもしれません。

ですが安心してください。
冒頭で美しい文章がかけなくても、長期的に物語の美しさを表現する方法があります。

2.長期的な美しさ

長期的な美しさを表現する方法は、おさまるべきところにおさまっていると読者に感じさせることが重要です。

ポイントは
・キャラクターの物語が見事に完成することだと考えます。

物語の完成とは、一貫性をもって進んできた主人公の夢がついに報われるとか、目指してきた存在に最後に出会えるとかですね。

手法としては
物語の目的Aを最初に提示する。目的Aに向かっていく中で目的Bを見つけ、Bの達成に向けて努力する。最終的にBは志半ばで達成できなかったが、目的Aは達成できた。

こういった展開を書くと美しいと感じます。Aを目指してAが叶ったでは驚きもなく読者は面白くないですから、Bという隠れ蓑を使ってAを忘れさせ、実際はAが達成されるというパターンですね。

それからもう1つ。裏技をお教えすると、キャラクターの人生が見事に完成した場合も、私たちは美しさを感じてしまいます。

例えばクワガタにチョップしたらタイムスリップしたという曲で登場するおばあちゃんが、タイムスリップしてきた自分に告げる言葉があります。

「これから君は何度でも
何度も何度も後悔し
何度も何度も傷ついて
何度も何度も泣くだろう
でもその一つ一つ
噛み締めて時が経つほど
いつの日か熱を帯び
手放しがたくなるから
何も知らずに帰りなさい
私はちゃんと幸せだ」

クワガタにチョップしたらタイムスリップした

幸せだと言って死んでいける人生。
これ以上に美しい人生はないでしょう。

以上美しい物語を書く2つのヒントについてお話しました。皆さんも是非美しい物語を書いてみてくださいね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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