良いセリフは「事前準備」が肝心!?良いor良くないセリフを解説
その人の作家性が如実に表れると言われる「セリフ」。良いセリフを書けば作品は間違いなく輝き人々を感動させますが、そう一筋縄ではいかないのがセリフです。そもそもセリフの役割とは?良いセリフとはどんなもの?逆にありがちな良くないセリフとは?をご紹介します。このポイントを抑えれば小説だけでなく、マンガなどにも流用できますよ!
セリフの役割とは?
セリフの役割は大きく3つあります。
①事件や事実を知らせる
セリフは「情景描写」の役割があります。ポイントは「何を」語るかではなく、「いかに」語るかです。特に劇的な情景であればある程、セリフで「何か」を語るのは大変陳腐に感じるものです。例えば口調のニュアンスなどに注目し「いかに」語るかという点に気を付けると、自然に事実を知らせることができます。
②物語を進展させる
どんなにいいセリフであっても、話を先へ先へと進展させるセリフでなければ、ただの面白いセリフで終わってしまいます。しかし、それは「これだから、こうなるのです」という説明的な単純な流れではなく、「不意打ちの会話の連続」である必要があります。
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「高橋君、私そういう『これしたら何がもらえるの? 見返りに何をしてくれるの?』的な現代っ子感覚はキライだな。青春の輝きってそういうものじゃないじゃない? もっと闇雲に何かに打ち込むことで見えてくるものもあると思うな」
佐藤さんは目を泳がせながら、上滑りした言葉を並べてきた。
「僕そういう青春とか愛とか情熱とか人間的成長とかいう抽象的なキラキラした言葉を振り回せば他人のお金や労働力を一方的に搾取しても許されるっていう感覚キライだな」
「うっ」
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(引用:僕の学園生活はまだ始まったばかりだ! (ファミ通文庫) 文庫より)
この後、上の女の子は下の男の子にやりこめられていきます。こんな風に「そう言うんなら、こう言ってやろうじゃないの!」というようなテンポの良さとウィットの効いた会話で物語をどんどん進めていくのが理想です。
③キャラクターの心理・個性を表す
セリフは、キャラクターの性格から発せられるものであり、セリフによってキャラクターがわかるというものでなければいけません。そのため、セリフの良さとキャラクター設定の緻密さは比例すると言ってもよいでしょう。また登場人物間で、情報量の差があることも大切なポイントです。情報量に多少なりとも差がなければ、お互いに質問や会話することがなくなってしまうからです。情報量の差があれば、おのずと「良い質問」「良いセリフ」がキャラクター自身からでてくるようになります。
「良いセリフ2つ」とは?
では基本を抑えた所で、良いセリフとは?見ていきましょう。
①相手を知っているからこそ言えるセリフ
「ありがとう」「好き」「殺してやる!」など、分類がしやすい単純なセリフではなく、そのセリフに至るまでの相手との関係の「積み重ね」があり、知っているからこ発せられる特別なセリフです。
《例文》
「こんなにお店を調べてくれたの?」
「どうせこんな事くらいじゃ満足しないだろ?」
「まぁね!これくらいどこの男もしてくれるけど。一応褒めておくわ!」
「ったく。相変わらず可愛くないね」
「なんかいった?」
②緻密なキャラクターの人物設定から発せられるセリフ
キャラクターの人物設定を緻密にすることで、自然で個性のある良いセリフが生まれます。
そのキャラクターがどんな存在なのかをしっかり把握する必要があり、またこのキャラクターが本当にこんな事を言うだろうか?という問いかけを逐一することが大切です。
ありがちな「良くないセリフ3つ」とは?
①説明セリフ
構成がうまくできていないと、どうしてもセリフに頼りがちで無理矢理状況を説明してしまう、いわゆる「説明セリフ」になりがちです。良いセリフには、しっかりと作り込まれた構成とキャラクター設定が欠かせません。
②独白セリフ
《例文》
「あー腹減った。カレーもいいけど、牛丼もいいな。どっち食べよう」
例えば舞台や作品によってはこの自分1人の会話も意味をなすことはありますが、小説ではこれも読者に伝えるだけの「説明セリフ」とみなされます。
③英会話セリフ
英会話セリフとは、英語の教科書の会話によくある、「質問⇒答え⇒質問⇒答え」と
並ぶセリフのことです。
《例文》
「名前は何ですか」
「ジョンです」
「年齢はいくつですか」
「14歳です」
こちらもあらかじめ用意された答えを引き出すための問いとみなされ、状況説明しているのと同じ扱いになり、読者はつまらなさを感じてしまいます。
まとめ
良いセリフには、「キャラクター同士の関係の積み重ね」と「緻密な人物設定」が欠かせません。その会話に至るまでに築き上げられたキャラクター同士の関係の積み重ねがあること、そのキャラクター自身を深く掘り下げてあること、それらを満たした時に良いセリフは自然と発生するものです。良いセリフを生み出すためには、さまざまな事前準備が肝心です!
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