会話はテンポが命!小説の「掛け合い」「台詞回し」のコツを解説
台詞が上手に書けていると、それだけで小説は一段と磨きがかかります。台詞は、単に面白さを演出するだけでなく、状況を分りやすく説明するという役割があります。特にプロの作家が手がけた小説は「掛け合い」や「台詞回し」が絶妙だと言われるのを耳にした事はありませんか?ここでは、そんな「掛け合い」や「台詞回し」のコツを解説します。
「掛け合い」「台詞回し」とは?
「掛け合い」とは2人以上の人が交互に話すこと。また「台詞回し」とは、「台詞」という言葉がキャラクターの発する言葉そのものを指すのに対し、その台詞の言い方や表現の仕方を表しています。
「掛け合い」のコツ
①意味のない台詞を入れない
「掛け合い」を描く場合、全ての会話をそっくりそのまま入れ込むと、会話自体が長くなりがちで長いわりに意味が伝わりにくくなります。
《例文》
悪い例:「おはよう」
「おはよう」
「集合何時だっけ?」
「うーん、忘れた。調べてみる」
良い例:「おはよう。集合何時だっけ?」
「忘れた。調べてみる」
2人目の「おはよう」や、「うーん」という言葉は、あえて入れる必要がない(入れなくても状況がわかる)言葉=意味のない言葉です。これらは極力省きましょう。
②自然な流れを意識する
いくら台詞といえど、例えば「物語の設定」を長々と台詞で説明するのはとても不自然です。会話の流れから自然な形で設定がイメージできるようにしていきます。
*設定*
ここは魔法使いと人間が暮らす世界。主人公のフランソワは、魔法学校の寮に入り修行中。ルームメイトはマリー。主人公の妹エマは魔法使いとしてではなく人間として街で両親と暮らしている。
《例文》
悪い例:
「フランソワ、何か届いてるわよ」
「ほんとだ!妹のエマからだわ。妹は編み物が得意でいつも靴下を編んでくれるの。エマは人間として生きると決めてて、好きな子も人間の男の子なのよ」
良い例:
「フランソワ、何か届いてるわよ」
「ほんとだ!妹からだわ。エマは編み物が得意でいつも靴下を編んでくれるの」
「そういえば、妹さんは魔法使いにならないの?」
「うん。エマは人間として生きたいって。好きな子も人間の男の子なのよ」
「そうなんだ。こっちにもかっこいい男のいっぱいいるのにね」
悪い例では「妹のエマ」と言ったり、聞いてもいないのに妹のエマの状況を急に話し始めている点が不自然です。会話の流れを利用してそれとなく状況が読み取れるように上手く会話文を誘導しましょう。
台詞回しのコツ
①読みにくくない程度の口語を使う
言葉には文語と口語があります。
《文語例》気合を入れてめかしこんだものの、今日の会はなくなったようだ。
《口語例》気合を入れてめかしこんだけど、今日の会はなくなったみたいだ。
文語はわかりやすいですが、使いすぎると不自然になりがちです。逆に口語を使いすぎると意味が伝わりにくくなります。例えば「あ、」や「えーっと」などは文脈とは関係のない言葉です。上記のように適度に意味が伝わる程度の口語を利用することでリアルさがでます。
②口調でキャラクターを印象づける
口調によって人の印象は大きく変わるものです。自分のことを「わたし」と呼ぶのと「おいら」と呼ぶのとでは、キャラクターのイメージは全く違いますよね。語尾や口調は、登場人物に個性を持たせる上で重要です。キャラクターの性格と合った口調のパターンをしっかり考えましょう。
ポイントは、「テンポ」と「わかりやすさ」
「掛け合い」や「台詞回し」のポイントは、『テンポ』と『わかりやすさ』です。テンポを落とさず、いい調子のまま設定の説明がきちんとできたり、キャラクターの良さはそのまま活かしつつ個性を活かした会話がテンポよくできることが大切です。そして、何より「わかりやすさ」は不可欠です。わかりにくく伝わらなければ物語は成立しません。まずは会話文の基本をしっかりマスターして、「掛け合い」や「台詞回し」を操れるように練習を積みましょう。
まとめ
掛け合いや台詞回しをマスターすると、小説が一段と深いものになります。また会話文は大変人柄が出やすい部分でもあります。キャラクターの人物設定も合わせて充実させることで、相乗効果でより味のある小説ができあがります。ぜひ「掛け合いと台詞回し」と「人物設定」はセットにして鍛錬していきましょう。
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