ヒット作の法則 | パスファインダーになる方法

2020年8月31日




 ヒット作には1つの法則があります。ヒット作とは、パスファインダーであるということです。 

 パスファインダーは、「あるテーマについて調べるときに役立つ基本的な図書資料、情報源、その探し方などを紹介した“道しるべ”役の情報資料」です。

 これから来るテーマについて、論文や文献などを調べるよりも遥かに手軽に、楽しく面白く触れられる作品……それこそが物語におけるパスファインダーです。
 例えば「逃げるは恥だが役に立つ」も「契約結婚」という、お見合い結婚→恋愛結婚の次の時代を見たアイデアが有りました。契約結婚から愛が育まれる様子は、私たちの世代の恋愛における一つの道しるべです。

 

半沢、ナギサ、MIU404「TBSドラマ」が示したパス

 2020年のTBSのドラマがなぜ面白かったのか、下記の記事を見てコトリと腑に落ちた気がしました。

半沢、ナギサ、MIU404「TBSドラマ」が圧勝する訳
誰もが平等に幸福になれる世界描き心の支えに

それはすなわち「報われたい」想いである。

続く不景気、抜本的解決の見えない政治問題に、コロナ禍が加わって、ストレスは募るばかり。頑張っているつもりなのになかなか報われない。ついついTwitterで意見を述べて「いいね」をもらってガス抜きにしてみたりして。「いいね」ひとつでも「報われた」気分になることもある、そんな毎日。こんなわれわれのささやかな「報われたい」願望に、TBS のドラマはがっちり応えてくれているのである。しかも、日曜、火曜、金曜という放送曜日が働く者たちのメンタルにも身体にもちょうどいい。

 報われないから報われたい……人は常に、ないものを望むということです。2020年以降の物語が書くべきテーマは、この2020年のドラマに隠されていると思えてなりません。
 統計などのデータは十分な根拠を得るまでに3年から5年がかかります。それに対して直感でつくられた物語やドラマは、それを先取りします。

人は常に、ないものを望むに対するパスファインダーとなる

 さて、「人は常に、ないものを望む」という事実。
 小説家のあなたはどう活かしますか?

 実はこれ、将来、何が流行るかを想像する題材となります。本エントリーでは、今後パスファインダーとなり、次に圧勝する物語を作る2つの考え方として、下記2つをご紹介します。

①「人は常に、ないものを望む」
②「歴史は常に同意か反発の方向に進む」

①「人は常に、ないものを望む」

 「人は常に、ないものを望む」という事実に沿って考えると、どうしても流行と現実の人間の感情は切り離せないのですよね。

 思えばWeb小説で異世界転生作品が流行ったのだって、現実で報われない人たちの「報われたい」想いが発現した結果だと思います。
※ドラマより随分先をいってますね。

 ですので次に何が流行るかは、小説を読むだけではだめで、現実の人々の感情も想像する必要があります。これから社会はどうなるのか。経済はどうなるのか。じゃあ、何がなくなるのか。

 それを考えることで次の流行を読むことができます。次、何が流行るかは、現代世界で何が欠けているかを考えることでわかる、と言い換えることができるかもしれません。

 例えば今後、より恋愛小説が流行するのではないかと考えます。コロナで出会うこともできず、恋愛できない人が増えてきていますから。

 そして恋愛ができなければ結婚もできない……という流れで、あまあまの結婚生活を描く物語も増えるんじゃないかなと想像します。

今後、新しいジャンルは生み出されるのか?

 これはYesともNoとも言い難いです。というのも、新しいジャンルを生み出さずとも、一つのジャンルの中で「ないものを埋める」ことができるからです。

 異世界転生ひとつとっても、黎明期といまでは、望まれるものが随分変わっています。

 本好きの下剋上も、今の時代に連載が始まっていたらこれほど支持されなかったと感じます。

 異世界転生というジャンルが生まれた当時は、時間をかけて異世界と現実世界の違いを描くことがかなり重視されていたように感じます。
 ですがいま、現実と異世界の違いをくどくどと書いても飽きられるのではないでしょうか。なぜならいまは「報われたい世代」。異世界転生に限っていうと、現実世界の能力が異世界でどう報われるかに焦点があたっていると思うからです。

 ですが、異世界転生というジャンルは、そういった変化に対応できるだけの幅広さを持っています。異世界を丁寧に描くことも、報われることも、どちらも描けるジャンルです。
 ということは、新しいジャンルを生み出さずともいいわけです。

 では、ジャンルの中で次の流行を想像するためには、どうすればいいのでしょうか。

②歴史は常に同意か反発の方向に進む

「小説家になろう」における現在の主流人気ジャンルを分析調査したシリーズに対し、とても鋭い意見をいただきました。

主流が治水されて暮らせるようになるころには水源変わってるよ。
データ速報の弱さな。
差し向けるという。
傾向を「作る」側としては、この手の分析は評論。

 まさにこれって指摘の通りで、「主流が治水されて暮らせるようになるころには水源変わってる」んですよね。

 ただ、私自身は、この手の分析にも価値があると考えています。
 なぜなら私は「歴史は常に同意か反発の方向に進む」と考えるからです。

 主流人気ジャンルを分析調査したシリーズは、「いま、ここにあるもの(テンプレート=これをテーゼと呼ばせていただきます)」を把握する手助けができます。

 「歴史は常に同意か反発の方向に進む」というルールに従えば、多くの人は主流人気ジャンルのテーゼに同意して何も考えず楽しむか、主流人気ジャンルのテーゼを逆手に取ったアンチテーゼを楽しむかという2択になります。

 異世界転生作品を例にあげますと、『無職転生』に代表される「現実世界の主人公がトラックに跳ねられて異世界に転生して活躍する」というテーゼに対し、「異世界に転生してしまった主人公の家族を描いた」アンチテーゼが『異世界誕生2006』です。

※ジャンルが飽和して飽きたから離れる……は別の話です。同じジャンルの中でもテーゼとなる主流と、アンチテーゼが交互に楽しまれるということです。

まとめ

 まとめます。次に圧勝するドラマを作るための考え方は2つあります。

①「人は常に、ないものを望む」
→ことから、現代世界で何が欠けているかを知り、満たすアイデアを考える

②「歴史は常に同意か反発の方向に進む」
→ことから、現状の主流を知り、同意するか反発するアイデアを考える

 ①②どちらを優先して考えるべきかというと、現実世界の感情のほうが及ぼす影響は大きいと思いますので、①を優先して考え、次に②を考えることで次の流行を想像することができると思います。

 テンプレートではない新しい作品を書きたいという意志のある方は、参考にしてみてください。

 これだけだと創造性がないので、最後に一つ、私も新しい流行を提案してみます。

 私が次に来ると思う流行は、『最強総理の構造改革シリーズ』です。総理が、一個だけ自分の本当にやりたいことに対して都合のいい法律を制定して、総理を辞任して地方自治体に転じ地方創生を行う物語。
※コロナの影響もあり、今後、都市から地方へという流れがくると想像しました。そうすると、自分の故郷に対してもっと愛着を持つ人が出てきて、しっかりしろうちの故郷と思う人も出てくるかと考えました。

 まあ、自分が読みたいだけなんですけどね。誰も書かないから自分で書けやって感じですね。もし『最強総理の構造改革シリーズ』を書いている方がいらっしゃったら教えて下さい。読みに行きます笑

(2021/9/19追記)まさかの事態が発生しました。『最強総理の構造改革シリーズ』を誰も書かないなら自分で書くと言いましたが、実在しました。
「もし徳川家康が総理大臣だったら」
 やりたいことを全部やられた……そんな思いがあります。「過去の偉人というキャラクターの強さ」を活かしつつ、「出落ちにならない展開」を見せ、完璧な「徳川家康の幕下ろし」を行った作品でした。素晴らしい。

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ここまで読んで頂きありがとうございました。
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