《小説感想》異世界誕生2006 こんな美しいラスト、泣くしかありません。

2019年10月13日

冒頭の文章でどうしようもなく引き込まれ、購入を決意しました。

異世界にいってしまった息子を母親の目線から描く作品です。この視点の切り替えが抜群に先進的で心掴まれました。

登場するキャラクターたちも、妹のチカは賑やかで華があり、片山の真面目な態度に好印象を抱き、母は狂いつつありますが息子をなくした悲しさでこうなっているんだろうと推測できます。どのキャラクターも闇を抱えており、その弱さに共感できました。

本編で描かれたテーマも、とても素敵なものでした。web小説家から見たweb小説とは?を描いてくれた作品のように思います。
web小説には、作者の魂がこもっている、だから誰かの感情を動かすことができるのだと、登場人物の言葉を通して読者に語りかけてくる気がしました。

自分もwebで小説を発信している身なので、この言葉がとても響きました。
日本で小説を書くハードルが著しく下がった時代、誰もが創作者になれる時代、この小説は多くの人に届くのではないでしょうか。

物語のギミックとしては、魔王カーのネーミングが一番印象的でした。
この意味がわかった時、心がゾッと震えました。
それはシャルナのクイニィカセイであり、それを倒すことでタカシにとってのクイニィカセイが完成するんです。

こんな美しいラスト、泣くしかありません。

ぜひご興味のある方は読んでみてください。
kindle版だと20%ほど安いです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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