「読むのがストレスになる小説」の特徴と対策

2023年3月13日

 作家であれば「読むのがストレスになる小説」と言われたくないですよね。

 この記事では、読むのがストレスになる小説の特徴について詳しく解説します。特に、主人公の行動の動機や目的が明確でないことに着目し、なぜそれが読者のストレスになるのかを考察していきます。また、恋愛小説や日常小説がストレスになりにくい理由についても詳しく説明し、文章のリズムのポイントについても解説します。

 この記事が、ストレスなく読める小説を書くためのヒントになれば幸いです。

ストレスになりやすい小説の特徴を理解する

 ストレスフルな小説の第一の特徴は、主人公の行動の動機・目的が明確でないことです。

 いつまで経っても主人公たちが何をどうする話なのかって動機と目的がわからない……ようするにわかりにくい小説ということです。

 これは話の筋から脱線する語り手(地の文)、複雑なプロット、登場人物や視点の頻繁な移動など、様々な要因によって引き起こされます。これらの要因はすべて、主人公の動機と目的が明確でないことにつながり、小説の大きなストレスの原因となり得ます。

 また、主人公がトラブルに直面したあと、解決や見返りがないことも、ストレスフルな小説の大きな特徴です。結論を出さずに長引く小説は、読者にとって大きなストレスとなります。同様に、長い時間をかけてある緊張感を高め、それを解決できない小説も、非常にストレスのたまるものです。

なぜ主人公の動機と目的がストレスになるのか?

 主人公の動機や目的が明確でないことは、小説の大きなストレス要因になると書きました。

 登場人物がなぜその行動をとるのかを明示していないと、読者はこの物語は何をしたいんだろう?とフラストレーションを感じることになります。そして読者は物語の目的を理解するために、頭を働かせます……これがストレスなのですね。

 ですので主人公の動機や目的はプロローグで示したほうが良いです。

 作者的には隠しておきたいこともあるのかもしれませんが、読者としては動機や目的を教えてもらわないと感情移入できませんからね。

 また、主人公の動機や目的が適切と思われない場合も、ストレスの原因になることがあります。例えば、読者から見て非道徳的、非倫理的と思われる行動をとっている場合、物語全体に緊張感や不安感を与えることがあります。これは、読者にとって大きなストレス源となり得ます。

なぜ恋愛小説や日常系小説はストレスが少ないのか?

 恋愛小説や日常小説は、スリラーやホラーなど他のジャンルに比べて、一般的にストレスが少ないと言われています。これは、これらのタイプの小説の主人公が、より地に足の着いた、親しみやすい人物であることが多いためです。

 このような小説の登場人物の動機や目的は、読者にとって理解しやすく、共感しやすい場合が多いのです。また、展開も予測しやすく、登場人物の行動がもたらす結果は一般的にそれほど深刻ではない(登場人物が亡くなるとか、世界が終わるとかはない)ので、読者にとってストレスの少ない物語となります。

ストレスフルな小説における文のリズムの重要性と、ストレスの原因

 加えて、小説のストレス度を下げるには、文章リズムが重要な要素です。

 文のリズムとは、文や段落の中で使われている言葉のリズムや流れのことです。文章はバランスの取れたテンポであることが大切です。文章が複雑すぎたり、長すぎたりすると、読みにくくてストレスになります。

 さらに、短すぎてぎこちない文章も、理解しづらく、読むのにストレスを感じることがあります。長い文と短い文の両方をバランスよく取り入れることが、スムーズに楽しく読める文章を作るために大切です。

 リズムを良くするためには以下のようなポイントがあります。

文と文がつながってないので、描写が唐突

→プロットに問題があるかもしれません。部分部分のストーリーは浮かんでも「つなぎ」が浮かばない場合の対処としては、以下のエントリーが参考になります。
 ■参考:創作ネタ | プロットの「つなぎ」を意識する。「つなぎ」に苦労するケースと対処策も紹介します。

文の語尾に同音が続く(ーた。ーた。ーた。)

→文末表現にバリエーションをつけましょう。文末表現を変更する効果は以下のエントリーで紹介しています。
 ■参考:文末表現が文章力を高める!リズムと変化で読者を飽きさせない。

短文の説明文が連続

→描写を増やしてみましょう。ですが描写する際にはわかりやすい表現を心がけてくださいね。凝った表現を使うと読者に伝わらず、逆にストレス源となる場合があります。描写については以下のエントリーが参考になります。
 ■参考:3種類の描写とは?説明との違いについても説明

まとめ

 読んでいてストレスになる小説の特徴を紹介しました。

 主人公の動機や目的が明確でないことは、解決や見返りがないことと同様、小説のストレスの大きな要因です。さらに、スリラーやホラーなどのジャンルは、恋愛小説や日常生活小説よりもストレスになる可能性があります(登場人物が亡くなるとか、世界が終わるとかがあるため)ので、注意が必要です。

 最後に、文章のリズムも、読者にストレスを感じさせる場合があります。これらの特徴を理解し、適切な対処を用いることで、小説家はストレスのない物語を作ることができるはずです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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