小説家志望者のための『タイトル設計マニュアル』
「タイトル命!」——ウェブ小説の世界では何度でも耳にする言葉です。これから「小説家になろう」で作品を発表しようというあなたも、タイトル作りには頭を悩ませているのではないでしょうか。
そこで今回は、小説家志望者向けに、読者を惹きつけるタイトル設計のポイントをお伝えします。「異世界転生」ものから「悪役令嬢(貴族)もの」まで応用できる汎用テクニックを、マニュアル形式でまとめました。
※タイトルのつけ方については、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。
1. ジャンルとターゲット読者を意識する
まず自作のジャンルと魅力を整理しましょう。あなたの作品は異世界ファンタジーですか? それとも現代恋愛でしょうか? メイン読者層が好むキーワードをタイトルに織り込むことが大切です。
異世界ものなら「異世界」「転生」「魔王」「勇者」など、悪役令嬢ものなら「悪役令嬢」「公爵」「婚約破棄」などが目に留まりやすいでしょう。それらの単語が入るだけで、読みたい人には「あ、自分の好きなタイプの話だ」と伝わります。
ただし大事なのは作品ごとの差別化要素も一緒に入れること。同じ「転生」でも「転生先がスライムだった件」 のように他作品と違うポイントを出せれば、埋もれずに読者の興味を惹けます。
自作品のオリジナリティ(例:「実は科学知識で無双」「〇〇の能力だけ異常に高い」など)を洗い出し、それを端的に示す言葉を選びましょう。
2. タイトルの構造をデザインする
タイトルを短文一本で完結させるか、メインタイトル+サブタイトルに分けるかを検討します。近年は「短めのメイン+長めのサブ」の形式が流行しています 。例えば『○○の勇者(メイン):▲▲で無双します(サブ)』という具合です。
メインタイトル部分には作品の象徴となるキーワードを置き、サブタイトルで内容を説明するとバランスが良くなります。メインが短ければ書籍化の際にそのまま使いやすい利点もあります 。
逆に最初からフルで文章タイトルにする場合は、読点や接続詞でリズム良く区切るなど読者がタイトルを一息で読み切れる工夫をしましょう。例えば「〇〇したら△△だった件、実は□□だった!?」のように、適度に句切りを入れると読みやすくなります。
3. 魅力的なキーワードとフックを盛り込む
タイトルには作品のウリを端的に示す言葉を盛り込みます。強大な能力が出てくるなら「最強」「無敵」、不遇スタートなら「追放」「ざまぁ」、恋愛であれば「溺愛」「政略結婚」など、読者が反応しそうなキーワードを選びましょう 。
ただし闇雲に羅列するとチープになります。一番見せたいポイントは何かを考え、それに関連する言葉を中心に据えます。例えば「現代知識で異世界革命を起こす貴族」が主人公なら、「現代知識で異世界改革!平凡貴族の成り上がり」などといった具合に、物語の核をなす要素を盛り込むのです。
なお、タイトル冒頭に数字を使うのも目を引くテクニックです(例:「ループ7回目の悪役令嬢~」 や「31歳おじさんが異世界で~」など)。
4. 覚えやすさ・言いやすさのチェック
出来上った候補タイトルは、音読してみましょう。長すぎて息継ぎできない、滑舌的に言いにくい箇所がある、といった場合は調整を検討します。読者は必ずしもフルタイトルを覚えてくれるわけではありません。
略称にしたとき違和感がないかもポイントです 。例えば『○○だけど△△な件』というタイトルなら、頭の「○○だけど」を取って略称になるかもしれません。略したときに微妙な単語になるようなら、別の言い回しに変えるなど工夫しましょう。
また、あまりに似通ったタイトルが既に存在しないか、「小説家になろう」内で検索して確認することも大切です。先人の人気作とタイトルがほぼ被っている…という事態は避けねばなりません。
5. 書籍化も見据えて一工夫
最終目標は書籍化!…という場合、タイトルがあまりに長いと物理的・営業的に困ることがあります。紙の本では背表紙にタイトルを収めねばならず、長いと文字が小さくなって書店で目立たない、伝票に収まらず管理しづらい等の問題が生じます 。
そのため、出版社から改題を提案されることもあります。そこで、普段から短縮タイトル案も考えておくと安心です。例えばメインタイトルだけでも作品を象徴できるようにしておけば、書籍化の際はそこを正式タイトルに昇格させ、長い部分は副題かシリーズ名に回すこともできます。
逆に言えば、「書籍化を狙ってあえて短めタイトルで投稿する」という戦略もないわけではありません 。短いタイトルは書店で有利なぶんWebでは不利ですが、内容に相当な自信があるなら敢えてその道を行くのも一つ。
ただし新人にはリスクが高いので、まずはWeb読者受けを優先した長めタイトルで挑み、二段構えで短縮案も用意しておくのが賢明でしょう。
おわりに:
タイトル設計は小説執筆の影の戦いです。せっかく書いた力作も、タイトルで読者の目に留まらなければ宝の持ち腐れになってしまいます。 逆にタイトル次第でクリックされ、読まれ、ブックマークされる可能性が大きく広がります。
今回紹介したポイントを踏まえて、自分の作品にぴったりのタイトルを練ってみてください。最初は難しいかもしれませんが、タイトル作りも立派な創作の一部です。遊び心を持って、あなただけの“キャッチー”なタイトルを生み出してくださいね!健闘を祈ります。
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