キャッチーな小説(タイトル・あらすじ・冒頭)の書き方

 小説のタイトルはキャッチーにしなければならない、あらすじはキャッチーに。ストーリーやキャラはキャッチーにしたい。などなど。
 創作作品の構想フェーズでは「キャッチー」という言葉が頻出します。本エントリーではキャッチーとは何かを考え、キャッチーなタイトルやあらすじ、冒頭に必要な要素を考えます。

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キャッチーとは何か

 キャッチー(Catchy)とは「受けそうであるさま、人気になりそうなさま。人目をひく。 印象的。 心をぐっとつかまれる」という意味の単語です。 人々の注意を引きつけ、興味を喚起する特徴を持つものを指します。

 つまり、キャッチーなタイトルとは「読者の興味を引き、物語を読みたいと思わせるタイトル」のこと。キャッチーな小説とは「タイトルやあらすじ、1ページ目の冒頭で読者の興味を引き、続きを読みたいと思わせる小説」のことです。

キャッチーなタイトルの小説の特徴

 以下にキャッチーな小説のタイトルを例を書きます。確かにこれらは印象的で、心をつかまれるタイトルだと感じませんか?

・風のささやきと紙飛行機
・時間泥棒の冒険
・夢見る星の秘密
・謎めく鏡の世界
・消えた言葉の謎
・恋するネコの探偵団

 なぜ上記のタイトルがキャッチーなのかを、あわせて説明していきます。

・風のささやきと紙飛行機: 美しいイメージを想起させ、風のささやきや紙飛行機が物語の中でどのような役割を果たすのか興味をそそります。
・時間泥棒の冒険: 「時間泥棒」は一風変わったキャラクターであり、読者はその冒険について知りたくなります。
・夢見る星の秘密: 空想的でロマンチックな雰囲気を醸し出し、読者は星がどのような秘密を持っているのか知りたいと思います。
・謎めく鏡の世界: 不思議で神秘的な鏡の世界についての物語が想像され、読者はその謎を解き明かしたくなります。
・消えた言葉の謎: 言葉が消えるという珍しい事象に対する興味から、物語の解決策や背後にある真相を知りたくなります。
・恋するネコの探偵団: ネコの探偵団というユニークなキャラクターが恋愛に関与することで、ユーモアや感動を期待させます。

 重要なポイントを3つ挙げるとすれば「一風変わったキャラクター、ロマンチックさ、秘密・謎」が含まれていることです。
※ここでのロマンチックさとは「感情や情緒を喚起し、心を動かすこと」と定義します。恋愛や愛情だけでなく、憎悪や嫌悪、自然への畏怖、夢や冒険、新しいこと、非日常的体験へのワクワクも含みます。

キャッチーさを作り出すポイント「テーマとシチュエーション」×「一風変わったキャラクター、ロマンチックさ、秘密・謎」

 キャッチーさを作り出すポイントは「テーマとシチュエーション」です。
 重要なポイントは「一風変わったキャラクター、ロマンチックさ、秘密・謎」を含んでいること。
 そのうえで以下のポイントを備えていることです。

  • 読者の興味を引くフレーズ: 物語の最も魅力的なポイントや独自の要素を簡潔に伝えることが重要です。
  • 登場人物の紹介: 主人公や重要な登場人物の名前や特徴を簡単に触れることで、読者が物語に共感しやすくなります。
  • コンフリクトや目的: 物語の中心となる問題や目的を明確にすることで、読者はその解決策や展開に興味を持ちます。
  • ジャンル: 物語のジャンルを簡潔に示すことで、読者が自分の好みに合った作品かどうか判断しやすくなります。

 

「小説家になろう」のランキング作品はキャッチーの宝庫

 ここで「小説家になろう」のランキングからいくつかの作品をピックアップします。すべてのタイトルにおいて一風変わったキャラクターが主役だとわかるタイトルになっています。そのうえで読者の興味を惹くフレーズを含んており、物語の最初の目的(大抵の場合は謎……なぜそのシチュエーションになっているのか?)が示されています。
 ジャンルを示していないものもありますが、「投稿するジャンル(異世界、恋愛など)」と「いまのランキングで上位にいるってことは……?」で匂わせているように感じます。

・どうも、前世で殺戮の魔道具を作っていた子爵令嬢です。
 →登場人物の紹介、殺戮と令嬢というフレーズから悪役令嬢、魔道具という興味を惹くフレーズ

・聖女の身代わりとしてやってきた婚約者殿の様子がおかしい
 →一方変わったキャラクター=婚約者殿。おかしい=謎。

・誰が勇者を殺したか
 →謎を提示

・義娘が悪役令嬢として破滅することを知ったので、めちゃくちゃ愛します ~契約結婚で私に関心がなかったはずの公爵様に、気づいたら溺愛されてました~
 →ロマンチックな目的「破滅することを知ったので、めちゃくちゃ愛します」、「破滅することを知った」ということは主人公は未来が見えるのか?気になるキャラクター、

・懺悔室バイト初日に皇帝陛下が懺悔しにきました
 →謎のシチュエーション、「懺悔室バイト」という興味を惹くフレーズ

・悪役令嬢はやる気がない
 →なぜやる気がないのかと謎を提示

・万能メイドと公爵様の楽しい日々
 →「万能メイドと公爵様」一風変わったキャラクター、「楽しい日々」で作風を匂わせ

ただの村人の僕が、三百年前の暴君皇子に転生してしまいました~このままでは強引に妃にする予定の冷酷侯爵令嬢に暗殺される運命なので回避するために奮闘したら、すごく溺愛されました
 →具体的なシチュエーション、暗殺される運命を覆すという目的

・感情が天候に反映される特殊能力持ち令嬢は婚約解消されたので不毛の大地へ…
 →一風変わったキャラクター、「不毛の大地」という気になるフレーズ

・伯爵夫人は笑わない
 →なぜ笑わないのかと謎を提示

タイトルに含めるべき3要素「シチュエーション」×「一風変わったキャラクター」×「ロマンチックさ/秘密・謎」

 キャッチーなタイトルをつくるためには「1.テーマ、2.シチュエーション」×「3.一風変わったキャラクター、4.ロマンチックさ、5.秘密・謎」がポイントでした。
 そのうえで「6.読者の興味を引くフレーズ、7.登場人物の紹介、8.コンフリクトや目的、9.ジャンル」が含まれているとなお良いです。

 しかし、上記9つすべてを組み込むのは超高難度です。そのため圧縮します。
 まず、ジャンルは投稿するジャンルで果たせますのでタイトルやあらすじから抜きます。
 次に「一風変わったキャラクター」の説明に「読者の興味を引くフレーズと、登場人物の紹介」を含めてしまいましょう。「前世で殺戮の魔道具を作っていた子爵令嬢」や「感情が天候に反映される特殊能力持ち令嬢」を目指すわけです。
 そして、ロマンチックさと、秘密・謎は同居が難しいこともポイントです。どちらかにしましょう。
 さらに、「コンフリクトや目的」はシチュエーションで説明できます。「義娘が悪役令嬢として破滅することを知った」や「誰が勇者を殺したか」を目指します。
 最後にテーマですが、物語を最後まで読んでくれればわかってもらえると開き直り、テーマをタイトルから削りましょう。

 するとタイトルに含めるべきことは「シチュエーション」×「一風変わったキャラクター」×「ロマンチックさ/秘密・謎」の3種類となります。この3要素にこだわったタイトルをつけましょう。

あらすじや冒頭は「読者にとって馴染みがあること」が大事

 キャッチーなあらすじ、冒頭はタイトルの拡大版です。つまり「シチュエーション」×「一風変わったキャラクター」×「ロマンチックさ/秘密・謎」の3種類をより具体的に描写することです。
 そのうえで重要なことは「読者にとって馴染みがあること」

 誰しも新しいことを学ぶときは、苦労しますよね。教科書なんて最たるものです。わからない状態で教科書を読み進めるのは不可能です。いわば読者になじみのない「シチュエーション」や「一風変わったキャラクター」って、中学校1年生で高校1年生の教科書読まされているようなものなんです。

 読者のなじみのあるシチュエーションやキャラクターから一歩だけ踏み出す……それが読者にとってギリギリ読めるものです。

キャッチーなタイトルの長さ

 タイトルの長さについて。冒頭で紹介した6つのタイトル(例えば「時間泥棒の冒険」)は短いタイトルでした。〇〇の〇〇とシンプルな2つのフレーズのかけ合わせです。
 しかしこのタイトル、想像力を刺激するのは確かなのですが、Web投稿サイトのように大量の作品が存在するプラットフォームでは、面倒がられます。なぜなら「想像することは、頭にとって負担だからです」。
 そこで大量の小説が1ページに並ぶWeb小説の世界では長文タイトルが好まれます。頭をより使わなくて済むからです。
 ただし長すぎると読むのが面倒くさいと感じられるため、最大30文字を目安にするとよいでしょう。

読者の読解力をどこまで信じるか

 短いタイトルにしたとき、読者がちゃんと理解してくれるかわからないと不安に思う人もいるでしょう。
 「小説家になろう」の長文タイトルだけを見て、Web小説の読者の読解力低いんじゃないか?感じる人がいるかもしれません(実際は読者が頭を使わなくていいように配慮してある結果なのですが)。

 タイトルに何をどれだけ含めるかは読者の読解力をどこまで信じるか……です。では読者がわかる言葉とは何か?読者の読解力を知る方法は?
 それは、小説を投稿しようとしているジャンルの小説を読むことでわかります。人気作品で使われている言葉は、読者もわかる。それを知ればいいのです。

 ランキングからフレーズを抽出する方法であれば読解力を気にする必要はありません。例えば「どうも、前世で殺戮の魔道具を作っていた子爵令嬢です。」がランキング1位になっているなら、みんな「魔道具」も「子爵令嬢」も知っているんだと理解して良いです。
 ランキングにない「独自観点を持ち込もうとすると、読者にわかってもらえない」が発生しますので注意してくださいね。
 ランキングから読者の共通言語を取り出してきて、組み合わせる。そのうえで新しさを1つ加えて読者の予想を超える。これが「読者にとって馴染みがある」作品の作り方です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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