「成り上がり小説」とは【主流人気ジャンル分析調査シリーズ】

2020年8月15日

 「小説家になろう」における現在の主流人気ジャンル分析調査シリーズ第七弾には、「成り上がり小説」をお届けします。

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「成り上がり小説」とは

 「成り上がり」、またの名を「下剋上」ともいうでしょうか。「成り金」なんて単語が存在したのを思い返しますが、「貧乏人から金持ちに成り上がった人」を指していたのではなかったでしょうか。

 「下剋上」なる単語が、日本の「歴史」に大きく紐づけされたのは「戦国時代」でした。「下の者(身分的な下層階級)」が「上の者(同じく身分的な上層階級)」に対して、「下が上に打ち勝って権力や身分を奪い取る」という現象が盛んに行われたのを「下剋上」と呼び表します。

「成り上がり小説」の世界観と特徴

 「小説家になろう」で人気を博している「成り上がり小説」またの名を「下剋上小説」。非常にわかりやすく言ってしまうと、「文字通り」のジャンルであるとも言えます。

 ですが、「小説家になろう」での主流人気を誇る「成り上がり小説(下剋上小説)」は、「ファンタジー世界」を舞台にしたものであることはちょっと留意してみたいです。

 「小説家になろう」で発表される「成り上がり小説(下剋上小説)」の多くに、他のファンタジー作品にも多数を占める「異世界転生もの」という要素も含まれています。

 「異世界」に「転生」した主人公が、「村人」などの立ち位置から「世界最強」や「勇者」に成り上がっていくという世界観が、傾向としては非常に見受けられます。「奴隷」の立場から「国王」であったり「世界最高の金持ち」であったりと、成り上がる前の身分や立場、それぞれに成り上がっていく身分や立場などは、作者によって様々です。

 当初からファンタジーの舞台装置が仕掛けられた主人公ルートもありますが、現在の主流人気を占めるものとしては、「異世界転生成り上がり小説」と位置付けた方がいいのではないかと見受けられます。

 「三国志」などに見る裸一貫から伸し上がっていく物語展開であるというより、それなりの身分階級や人間としての扱いをそもそも知り得ていた人間が成り上がっていく展開です。わかりやすく喩えてみましょう。

 現代の日本で生まれ生活していて、他者から鞭で打たれるなどという扱いは人間として赦されない屈辱と暴力であると知っていた人間が「奴隷」として鞭打たれるというスタートです。

「成り上がり小説」のアイデア

 さてさて、この「成り上がり小説」をオリジナルで生み出すとすれば、どんなストーリーを描けるでしょうか。

 せっかくの「異世界転生もの」の要素も取り入れるとすれば、ファンタジーも捨てがたい気はしますが、「学園恋愛ルート」でまずは一ついかがでしょう。主人公は現世では「モテモテ君」だった人間です。

 「人気アイドル」だったかもしれませんし、「お金持ち」だったのかもしれません。が、ある日に目覚めた世界では、非常に「地味」と言わざるを得ない「平々凡々な容姿」と「コミュ障」を自称していた「モブ君」。本来の自分を思い出したからにはこのままではいられないと一念発起した主人公は、服装改革・意識改革・行動改革を掲げて「学園のプリンス」に挑んでいく……。ちょっと面白そうです。

 次には「ファンタジー装置」を活かしたもので一つ。現代日本で生まれ育った記憶を持つ主人公は、国王統治のもとで敷かれる貴族による絶対性の身分階級に疑問を持つ。暴君とそしられる恐怖政治に耐え忍ぶ民衆と、平民からも使われる立場の「奴隷」の身分階級である主人公。

 ある日のきっかけを得て、「奴隷」であった主人公は圧政に苦しんだ民衆を率いて立ち上がる「民のリーダー」として、魔導・体術・王族からの離脱者など様々な立場の仲間を得ながら、誰もが誰かに「鞭で打たれる」ことのない世界を作り上げるための「最高指導者」となるべく駆け上がっていく……。

 魔物討伐や勇者といったエッセンスも加えてよりファンタスティックに展開するのも面白そうです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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