創作ネタ | 「完成度は85%が一番効率がいい」

 本エントリーでは「作品の完成度は85%が一番効率がいい」かどうかについて書きます。
 先日、小説クラスタで「作品の完成度は85%が一番効率がいい」という話が話題になっていました。このエントリーでは、「作品の完成度は85%が一番効率がいい」意見の背景、私の考え、作家は今後どうするかを書きます。

Unlimited 読み放題 - 200万冊以上の本が読み放題 2ヶ月99円!

境界を超えろ!シリーズが特別キャンペーン中!5冊セット495円!

「作品の完成度は85%が一番効率がいい」の背景

 この意見はそもそも、Web小説を前提としていました。
 Web小説においては流行を早く取り入れること・毎日投稿することが人気を集める必須条件になっていますから、完成度100%を目指していたら旬を逃すし、毎日投稿もできないというのが意見の背景だったのでしょう。
 つまりポイントは作品を作り上げるスピードです。

 流行を早く取り入れるためにランキングを逐一チェックし、人気作品に似た傾向を見つけたら、それを取り入れた作品を投稿することがヒット作への近道です。
 そしていまや、1日に1話ずつリアルタイムで書いて投稿する作家はいません。ほとんどの作家が完成まで書いてから毎日投稿を行います。
 つまり小説家界隈は、流行察知から執筆開始、完成、毎日投稿というサイクルをどれだけのスピードでこなせるかのゲームになっています。

 ではこのスピードと、完成度の関係とは何でしょうか。
 IT関連の会社でソフトウェア開発なんかをしていると、信頼度成長曲線 というカーブを見たことのある人もいるでしょう。
 ソフトウェアの不具合はテストを始めた中盤に多く発見され、終盤になったら時間をかけてもほとんど発見されないというグラフです。コストと時間をかければ品質があがるが、品質が一定を超えたらコストと時間をかけてもほとんど品質はあがらないことを示します。

© Holon CC BY-SA 3.0
信頼度成長曲線(縦軸が品質、横軸がコストと時間と考えてください)
https://e-words.jp/w/%E4%BF%A1%E9%A0%BC%E5%BA%A6%E6%88%90%E9%95%B7%E6%9B%B2%E7%B7%9A.html

ソフトウェア開発では記述したプログラムのテストと修正を繰り返して品質を向上していくが、テストの序盤は発見数が少なく、次第に一定のペースで発見できるようになり、開発が終盤に差し掛かると再び発見数が減少していく(最終的には見つからなくなる)という経過をたどるのが一般的である。

 つまり、ほどほどで切り上げたほうが効率がいいということ。これが「作品の完成度は85%が一番効率がいい」という話の根拠でしょう。

私の考え

 私自身、完成度100%を目指すのはやめたほうがよいと考えています。私が本を出すことができたのも、とりあえず物語を最後まで書いてみようと考えたのが大きかったです。
 なにせ子どものころから15年も構想して、形にならなかった作品でしたから。それを2017年に完成できたのは、とりあえず最後まで書いたからです。完成度100%を目指していたら今でも完成していなかったでしょう。そうこうしているうちに仕事やプライベートが忙しくなって、若いころほどの体力もなくなって。一生、完成せずに日の目を見ないまま終わっていた可能性が高いです。

 そもそも小説というジャンルは、答えのないジャンルです(わかりやすく言えば、ChatGPTが答えを出せないものはすべて点数化できないと考えてよいです)。点数なんてつけられないものであり、完成度なんて言葉も作者の感覚でしかありません。
 ならばとりあえず最後まで終わらせて、世に放つべき、と私は考えています。それこそ一生、未完成の作品に囚われてモヤモヤするくらいなら、完成度50%だって、いいと考えますね。踏ん切りがつきますから。

 ただ、本を出版して読んでもらい、お客さんからお金をいただこうと思うのなら、完成度100%を目指すべきという考えにも共感できます。
 しかし完成度100%かつ、流行を取り入れて完成させるスピードを手に入れようと思うと、凡人には無理という話になりかねない。私はそれはそれで、間口を狭めるようで望ましくないと考えています。

作家たちはどう生きるか

 完成度100%かつ、流行を取り入れて完成させるスピードが必要となると、凡人が作家になるのは極めて難しくなるでしょう。
 遅筆だが、小説を書くのが好きという人にとって苦しい時代です。

 では、作家は今後どうすべきでしょうか?実は、現代で小説家の戦い方は3つあります。
 1つ目は自分がやる必然性に価値を見出す方法(アートに特化)。
 2つ目は読者にポジティブな感覚をもたらすことにフォーカスする方法(流行を追いかけて儲けを求める)。
 3つ目は資本主義社会の勝負から降りる方法(儲けを求めない)。

 「完成度は85%が一番効率がいい」という意見に共感する人は、まよわず2つ目の道を行けばいいです。「完成度は85%が一番効率がいい」という意見に反発を覚えるのであれば、1つ目や3つ目の道があります。

 文章を書くのが好きな人というのは絶対才能のある人ですから、そういう人がお金を得られないのでやめてしまう環境には、なってほしくないなと強く願います。今後も小説を書いてもいいのかなと悩んでいる人は、以下のエントリーに3つの道を詳しく書いているので、是非読んでみてくださいね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
このホームページは創作者支援サイトです。
創作者の方向けの記事を発信しています。



下記ボタンを押して頂けたら
モチベーションが高まります。
応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ腰ボロSEのライトノベル奮闘記 - にほんブログ村
ライトノベルランキング