資本主義は必然性を求める | 資本主義社会のクリエイター3つの道

2023年4月1日

 この記事は、資本主義社会で勝つ(ヒットする・売れる)作品をつくる上で役立つ記事です。ここまで簡素な言葉で本質を鋭くついた記事は他にないと思いますのでぜひ読んでみてください。

 

※筆者は商学部卒のITエンジニアですので、たまに小説の話と絡めて経済や経営の話をします。資本主義をネタにした小説も書いています。

 今回は「資本主義は必然性のあるものしか残さない」話をします。資本主義についての詳しい説明はwikpediaや専門書を読んでくださいね。

 

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資本主義とは?

 資本主義(の国々で取られている市場経済施策)を一言でざっくりいうと、需要のある全ての物事に値段をつけていく考え方です。

 いまは衣食住、娯楽、教育、移動、命(医療)までも値段がつく時代です。上記の考え方はわかりやすいのではないでしょうか。

 資本主義は全ての物事に値段をつけようとするので、倫理的に暴走しがちです。環境問題や人権問題が発生したときは、資本主義を修正していく必要があります。

 資本主義は強いので、事前の対処はほぼ不可ですなぜなら、やめとこうと言って先駆けするのが一番儲かるからです。

 例えば今後デザイナーベイビーのチューニングも行える時代になると思いますが、倫理的問題はあとから発生すると想像します。
(具体的にはデザイナーベイビーとしては登場しないが、よく考えたらこれデザイナーベイビーじゃない?という、法律と倫理の穴をついたプロダクトがでるはずです)

 

資本主義は必然性を求める

 資本主義は、需要のある全ての物事に値段をつけていく考え方なので、需要のない物事は存続が難しくなります。端的にいうとお金が稼げないのためです。

 では、需要とはどういうときに発生するのか。ざっくり書くと2つです。

・必然性
 (論理的な需要。必需品、ルール準拠のためのもの)
 →経済合理性。興味のある方は経済学の勉強へ。

・ポジティブな感覚をもたらす
 (感覚的な需要。より良いこと。問題解決)
 →興味のある方はぜひ行動経済学の勉強へ。

 

資本主義社会で需要がないものは駆逐される

 最近、資本主義と倫理のせめぎ合いで興味深かったのは、体は男のトランスジェンダー選手が女子競技無双していたという話です。

 トランスジェンダーとは持って生まれた体の性が、心の性と一致しない人のこと。体は男性で心は女性、または体が女性で心は男性のひとのことです。

 この話が出てきてから、体が男性のトランスジェンダーが、女性競技で記録を塗り替えるといった事例が多発していました。身体的男性トランスジェンダーの女子競技参加は、人権的に必然として進められてきましたが、米国でNOが突きつけられました。

 私はそう遠くないうちにこうなると考えていました。なぜなら、この施策は人権意識発で経済的な必然性もなく(むしろ女子スポーツ界を縮小させて経済的にマイナス)、ポジティブな感覚をもたらすものでもない(少なくとも私は身体構造上、筋肉量に差がある女性相手に無双するのは人権を盾にした悪ノリにしか見えませんでした)からです。
 資本主義社会では、駆逐されても仕方ないように見えます。

 

権利は得てして個々の時代の必然性(らしきもの)でしかなく、移り変わる

 重要なことは、権利は得てして個々の時代の必然性(らしきもの)でしかなく、その必然性は時代によって移り変わります。

 例えば今、ワークライフバランスが叫ばれていますが、ワークライフバランスに経済的な必然性ってないですよね。経営者は安く長く働かせたいはずです。

 ワークライフバランスは、今の時代に必然のルール(らしきもの)でしかありません。この確からしさを盾にして好き勝手すると、いつしか権利を剥奪され、Twitter Japanの社員みたいに根こそぎFireされる場合があります。

 

資本主義社会では感情にしがみついたら負け

 資本主義社会では、勝ち、負けがシビアにお金という形で判断されます。

 そして、勝ち負けは先述の「資本主義の需要(必然性=経済合理性、感情にポジティブな感覚をもたらす)によって決まります。

 ここで重要なことは、感情に支配されると判断を間違うということです。

 

 例えば現行踏襲。既存のやり方に固執する人や組織。同じことをしていれば安心ですし、新しいことを学ばなくていいので楽です。

 安心、楽…これがとても危ない。その後に待ち構えるのは次のシナリオです。

 まず経済合理性がなくなります(新テクノロジーを活かした組織に負けます。例えば海外との打ち合わせをZoomでする組織と、直接会って打ち合わせする組織では交通費のコストが恐ろしく違いますね)。

 もちろんその状態でも古いやり方で存続はできます。社員がちゃんと生活できていれば、それほど不満も出ないでしょう(ポジティブな感覚だけで存続している状態)。しかしあるとき、リストラが起きるほど経営状態が悪化したら……ポジティブな感覚は失われ、組織は駆逐されます。

 経済合理性の消失→ポジティブ感覚の消失という負けパターンに要注意です。

 

 新しいやり方でもそうです。ワークライフバランスを重視する組織、男女均等の採用や障害者の採用を重視する組織、それは今、必然性のためにやっているのか?ポジティブな感覚のためにやっているのか?を見失ってはダメです。

 経済合理性の消失→ポジティブ感覚の消失という負けパターンに入っていないかを考える必要があります。

 

資本主義社会で勝つ小説家はこう考える

 経済の話をしました。ここで小説家のための補足です。もしあなたが資本主義社会で勝つ小説家になりたいのであれば、以下をよく覚えておいてください。

勝ち負けは「資本主義の需要(必然性=経済合理性、感情にポジティブな感覚をもたらす)によって決まります。

 そこで小説家は、自分に1つ問いを立てることをオススメします。それは

 そもそも小説に必然性=経済合理性ってありますか?
 ということです。作らなきゃいけないルール、必然性……娯楽全般にそんなものありませんよね。

 だからクリエイターは考える必要があります。そして3つの道に行き着くはずです。

 

資本主義社会のクリエイター3つの道

 1つ目は自分がやる必然性に価値を見出す方法です。経済合理性がないのなら、必然性を見出してしまえばいいという考え方です。これについては以下のエントリーでも書きました。自分がやることが必然なら、自信を持って続ければよいです。斬新なアイデアは必要はありません。

 2つ目はポジティブな感覚をもたらすことにフォーカスする方法です。これは資本主義社会でお金を稼げる方法です。ヒットしている作品がなぜヒットしているのかを考え、読者を楽しませることに特化します。時には斬新なアイデアを検討し、読者の裏を描く必要があります。

 重要なのは、ポジティブな感覚は無数の駄作の先にしか存在しないということ。

 というより、既存の作品にポジティブな感覚を得て満足しているなら次の作品はいらないですよね。もっと似たようなのを読みたい……この展開は不満だ……この展開もう少しこうしてほしい……。そうした負の感情があって初めて、人はポジティブな感覚を求めます。

 また、ほとんどの読者は自分がどんな作品を見たいのか、作品を見てみないとわからないという話があります。とんでもない駄作を読むことで、これまで自分の言語化できていなかった感情が言語化できるケースがあります。

 風倉さんも以下のTwitterで示唆されていますが、似たようなことを考えておられると想像します。

あとこれいつかガッツリ語ろうと思ってるけど「つまらない作品の存在価値」は、世間で認知されてるよりずっと高い
つまんない作品を消し去ったら、名作だらけ……には決してならない。名作は「名もなき」つまらない作品を「土台」にして存在してることがよくあるので

 つまり、誰かが駄作を量産することにも意味がある。自分が駄作を量産することにも意味がある。そこから読者のネガティブな感覚を察知し、次作でポジティブな感覚に転換できれば勝ちです。

 

 3つ目は資本主義社会の勝負から降りる方法です。自分がやる必然性もないけど、自分が楽しいからいいか、とか。自分も苦しいけど考えを整理するためにやるか、とか。

 そういう理由で作品作りを続けることです。私は、別にこれって悪いわけじゃないと思います。時代の移り変わりで、周囲にポジティブな感覚を与える作品になる可能性もありますからね。

 

 特にお伝えしたいのは3つ目の考え方で創作してるのに売れない……ヒットしない……で苦しむのはやり方がおかしいということ。自分の進みたい方向を自覚して、その方向に進むことが、人生を楽しむコツですね。

 最後に、最近感銘を受けた言葉を一つ共有します。なぜ小説を書くのですか?には「あれを読んでしまったから」で良い。すると創作することは、素晴らしい作品を受け取ったことに対する返礼となる。

 資本主義に縛られない、呼吸としての創作。それはとても美しい行為だと、私は感じます。

なぜ絵を描くのですか?には「あれを観てしまったから」としか言いようがない。なぜ音楽を?でも、なぜ文学を?でも同然である。「聴いてしまったから」であり「読んでしまったから」である。これを贈与/受贈とすると、作品制作は返礼/祓いになる。それは誰も受けとらなくても、呼吸として成り立つ。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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