「普段サッカー見てないのにワールドカップのときだけサッカーに熱狂する人たち」の話

2022年12月18日

 ワールドカップ2022、面白いですね。海外のサッカー選手といえばリオネル・メッシとハメス・ロドリゲスくらいしか知らない私でも、ワールドカップ楽しんでみています。

 ワールドカップの時期になると、いつも議論に上がるのは、「普段サッカー見てないのにワールドカップのときだけサッカーに熱狂する人たち」の話です。私もそのひとりですが、今日はそのことについて書いてみます。

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世界最高を楽しむのは何も間違っていない

 最初に私が表明したいのは、「世界最高を楽しむのは何も間違っていない」ということです。

 以前も書きましたが、現代は「タイム・パフォーマンス」を重視する時代となっており、多くの人が良いものを手っ取り早く摂取したいと考えています。(下記のエントリーでは、その時代において小説も変わるべきだと書いています)

創作ネタ | 「タムパ」(タイパ)時代の小説、傾向と対策

 サッカーをワールドカップだけで楽しむというのは、この「タイム・パフォーマンス」重視の最たるものですよね。よく考えても見てください。サッカーを良く知らない・あまり興味のない人に、小学校のサッカーを見てからサッカーを語れと言ったところでですよ、ゴールキーパー以外の10人が自分のポジションの責務も果たさずボールに群がっていくような、戦略も戦術もない試合を見て楽しめるわけがありません。

 また、将来サッカー選手になりたいと願う子どもたちであってすら、世界最高のサッカーを見て、メッシのようになりたいと願うことは正しいはずです(ボールに群がる小学生に憧れてプロになれるはずがありません)。

 つまりワールドカップの時期に、世界最高のサッカーを楽しむのはタイム・パフォーマンスの観点からも正しく、将来サッカーの道に進むとしても正しいんです。「普段サッカー見てないのにワールドカップのときだけサッカーに熱狂する」と揶揄される意味がわからない。揶揄している人たちは時間が有り余っていて、かつ情報の取捨選択もできないから、ボールに群がる小学生からリオネル・メッシまでを幅広くカバーしようとしている用に感じます。

ただし、世界最高を楽しんだあとには2つの選択肢がある

 ただし書いておきたいことは、世界最高を楽しんだあとには2つの選択肢があることです。

・タイム・パフォーマンスよかったー!と消費者となって終わるか、
・私もワールドカップに出場して世界に感動を与えたーいと感動の生産者になるか、
です。

 これはどちらも正しい選択で、どちらを選んでも構いません。有限な人生の中で世界最高の何かを見るたびに私もやってみたい!を繰り返していたら時間がいくらあっても足りませんから、消費者となって終わるのも正解なんです。

 しかし重要なことは、感動の生産者がいなくなると、世界最高が先細りになっていくことです。感動の生産者になろうとする、無謀な彼らの芽を摘んではいけません。無謀な勇気が世界を変えることがあるし、挑戦する人たちがいなくなった世界はつまらないです。

芽を摘むのはだいたい「普段サッカー見てないのにワールドカップのときだけサッカーに熱狂する」などと揶揄する人たち

 そして、無謀な勇気を出して挑戦する人たちの芽を摘むのは、だいたい「普段サッカー見てないのにワールドカップのときだけサッカーに熱狂する」などと揶揄する人々です。

 なぜこう言えるかというと、上記の揶揄をする人たちの拠り所はサッカーについて他の人よりよく知っていること(無能なガチ勢)、であり、そのせいで知識を振りかざしてマウントを取ろうとしたり、「〇〇と比べたら下手」等の批評をしたり、「君は〇〇みたい」などと(彼らの中で理解するための)総括をしたりする人だからです。

 つまり、にわか・気軽民を排斥する人になりがち。以前Twitterで話題になっていましたが、にわか・気軽民を排斥する業界は先細りしていきます。

 感動の生産者を目指す人は、これらの排斥民に惑わされないようにしてください。正直、メッシになれれば世界最高なんだからそこを目指せばいいだけです(サッカーの幅広い知識があるとかないとかどうでもよいです。メッシになる道のりの中で勝手に身につきますから)。

ここまでの話は小説界隈にも言えること

 さて、ここまでの話は小説界隈にも言えることです。

 例えばランキング上位や売れ筋の小説だけを読むのも、ワールドカップだけを見ているようなもので、世界最高にタイム・パフォーマンスよく触れる方法です。
 そしてソードアート・オンラインを読んで、めちゃくちゃ面白い!ソードアートオンラインみたいな作品を書きたい!と感じ、感動の生産者を目指した人もいるはず。これはメッシに感動するサッカー少年と同じです。

 ソードアートオンラインが面白かった!という消費者となって終わってもいいし、感動の生産者を目指してもいい。感動の生産者を目指すなら素晴らしい。

 私は感動の生産者を目指す人を応援してます!

 そして感動の生産者として挑戦していく中で、ときに「〇〇読んでないのに小説家目指す奴」と揶揄するような人に出会うこともあるでしょう。そんなときは、思い出してください。感動の生産者を目指す無謀な勇気こそが、世界で一番尊いのだと。

※2022/12/19追記。アルゼンチン優勝しましたね。メッシという世界最高を見てサッカーを始めて、メッシとともにピッチに立った若者たちが、優勝カップをアルゼンチンにもたらしました。まさに世界最高をみて感動の生産者になった人たちが、世界を変えた瞬間でした!

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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