創作ネタ | 「タムパ」時代の小説、傾向と対策

2021年9月9日

 世の中は「タムパ」を重視する時代になってきています。「タムパ」とは「Z世代」の消費特性です。「ゆとり世代」の「コスパ」という価値観をさらに一歩進めた「タムパ」時代の小説について、傾向と対策を考えました。

ゆとり世代は「コスパ」、Z世代は「タムパ」 若者の「価値観」は進化する!

 世の中の消費特性について、私の感覚と一致する記事がありましたのでシェアします。

ゆとり世代は「コスパ」、Z世代は「タムパ」 若者の「価値観」は進化する!

 コスパは「コスト・パフォーマンス(費用対効果)」の略です。「ゆとり世代」(2021年現在27~33歳)が10年ほど前から、盛んに口にし始めた概念です。実際、私の職場でもちょうど「ゆとり世代」の一番上の方ですが、コスパコスパを連発するコスパ中毒者がいました 笑

 一方のタムパは「タイム・パフォーマンス(時間対効果)」の略です。ゆとり世代の一つ下の「Z世代」(2021年現在17~26歳)へのインタビューで、2~3年前からよく登場するようになったそうです。

「草食系世代」「ゆとり世代」「Z世代」の世代特徴

 「ゆとり世代」のひとつ上、「草食系世代」もあわせてまとめると、消費特性に下記のような世代特徴があります。

  • 「草食系世代」は「いま安いか高いか」を見て、商品を購入する「節約」世代でした。私もこの世代ですが、ケチケチして何でも安売り安物買いするこの世代が日本をダメにしたと言えるかもしれません 笑
  • 「ゆとり世代」は「いま安いか高いか」だけでなく「中長期的に見て、得か損か」を考えて商品を購入する「コスパ」世代です。メルカリやヤフオクで中古品の売り買いが当たり前になり、「値崩れしないから、飽きたとき高値で売れる」といった出口戦略までを考えて売買する世代です。アベノミクスで株式投資が身近になったことも影響しているはずです。
  • 「Z世代」は「かけた時間に対する得か損か」を考えて商品を購入する「タムパ」世代です。バブル経済が崩壊(1990年代半ば)したあとに生まれ、911や311を多感な時期に経験してきている世代です。スマホネイティブで朝から晩まで情報のシャワーにさらされている世代でもあります。タムパを意識するのは、貴重な時間を何に振り分けるかを日々苦悩しているからでしょう。

 

ゆとり世代は「コスパ」、Z世代は「タムパ」 若者の「価値観」は進化する!より

 そして冒頭の記事の作者も書いていますが「世の中は、やっぱり“若者”の価値観に近づいていくんだな」ということを感じます。つまり、タムパが重視される世界になってきているのです。

 

「タムパ」時代の小説

 私は以前、「動画文化のスピード感に慣れた人たちに合わせて、小説も変わってきている?」という記事を書きました。「弱キャラ友崎くん」第1巻は、開始60ページで起承転結の起のクライマックスが訪れる作品です。盛り上がりまでがとにかく早いのですね。

 

 「タムパ」を重視する世界では、小説の長さもこれまでと違ってくるはずです。

 「草食系世代」は、500円で長いこと楽しめるからいい……と考えてきましたが、「タムパ」を重視する世代は「1時間でどれだけ楽しめるか」を重視するようになるでしょう。そうなると、いずれ小説の長さにもメスが入りそうです。

 実際に、先日行われた「はてなインターネット文学賞」は完結済み2万文字までという応募要項でしたね。これは短い時間で楽しい小説を探したいという「タムパ」時代の価値観に寄り添った文学賞ではなかったでしょうか。

 私自身も5,6年前から「タムパ」の萌芽を感じており、自分の小説は1冊で伝えたいことをすべて伝えたいと考えていました。それを実現させてくださった想実堂さんには、心から感謝しています。

 

「タムパ」時代の小説、傾向と対策

 「タムパ」時代の小説は、今後1冊の密度が求められるようになると感じます。

 無料で長いこと楽しめるからコスパがいいとか、節約になるといった考えで小説を読んでいた世代は、徐々にいなくなると考えます。そうなると、どういった変化が起こるかというと、無料だけど品質の高い作品が求められるようになります。

 そんな無茶な〜という感じですが、対策はあります。

 長さを短くすることです。

 小説における品質とは、結局は時間単位の面白さ=タムパです。(中身のない物語をダラダラと続けられると、飽きてくるので誰もが品質が低いと感じるでしょう)そう考えると、品質は下記の方程式で求めることができます。

 品質=物語の密度÷読むのにかかる時間

 つまり、これまで10万文字かかって表現してきたことを、2万文字で表現してみると、品質があがります。ダラダラと展開するのをやめて、ワクワクドキドキの展開を乱れ打ちすることが、ポイントです。 

 究極的には、『007』シリーズ第26弾の脚本家に入ってる天才 フィービー・ウォーラー=ブリッジが提唱する「サプライズニンジャ理論」につながりますね。
※「サプライズニンジャ理論」突然忍者が現れ全員をやっつける、より面白くないならそのシーンはダメという理論です 笑

 ぜひ「タムパ」世代でも戦える小説の参考にしてくださいね。