魅力的な3人組は、キュート・クール・パッション属性に当てはまる法則
本エントリーでは「魅力的な3人組は、キュート・クール・パッション属性に当てはまる法則」について書きます。
『3人組(友達、タレント、アニメキャラなど)で良好な関係が築けている場合、必ずcool、cute、passionのいずれかの役割をそれぞれが満たしている。らしい』
話は以下のTogetterでもまとめられています。
「3人組で良好な関係が築けている場合、必ずcool、cute、passionのいずれかの役割をそれぞれが満たしている」という話から色々な3人組が思いつく人たち
確かに「鬼滅の刃」の炭治郎(Cool)、善逸(Cute)、伊之助(Passion)もそれぞれがcool、cute、passionのいずれかの役割を満たしているように見えます。
ただ、そもそもcool、cute、passion属性とは何なのか、ふわっとしている気もしますね。本エントリーではcool、cute、passionの定義から説明していきます。
キュート・クール・パッション属性とは
キュート・クール・パッション属性とは「アイドルマスターシンデレラガールズ」で採用された各アイドルの属性です。
それぞれの属性の定義は以下のサイトの定義がわかりやすいので、こちらを紹介します。
【各属性の定義】
http://takutyuna.livedoor.blog/archives/25536999.html
<能力としての3属性>
それぞれの属性には、状況や問題に対する解決として、発揮する能力や持っている性質が異なっている。ここでは以下のように定義する
・キュートは『受容』(状況を受け入れ、自らに適応させる力。受け身な性質)
・クールは『泰然』(状況に動じず、自分のやり方を貫かせる力。信念を持った性質)
・パッションは『支配』(状況を自らのものにしようとする力。人やモノを先導する性質)
<シンボルとしての3属性>
各属性を表すシンボルがある。キュートは「花」、クールは「ダイヤモンド」、パッションは「太陽」である。このシンボルも属性の特徴を示すものとなっている。
・花は自ら芽を出す場所を選ぶことができない。種の落ちた環境に合わせ生きる適応力の象徴
・ダイヤモンドは外部からの強い力にも耐え、自らの形を保とうとする泰然自若の象徴
・太陽の熱は時に旅人を、時に地球の環境さえ変化させる支配と影響力の象徴
<こだわりとしての3属性>
デレマスには様々な”こだわり”を持ったアイドルがいる。”こだわり”に対する姿勢も属性によってことなる。
・キュートは『依存』(こだわりの対象で自分の感情を満たす)
佐久間まゆ(プロデューサー) 棟方愛海(お山) 太田優(アッキー) 三村かな子(甘いもの) 大西由里子(同人誌) 一ノ瀬志希(匂い) 大原みちる(パン)
・クールは『自己表現』(こだわりの対象が自らの生き方を示す)
多田李衣菜(ロック) 神崎蘭子(闇の言葉) 荒木比奈(オタ活) 成宮由愛(絵を描く) 松本沙理奈(セクシー) 伊集院惠(一人旅)
・パッションは『影響』(こだわりに何かしらの変化や影響を与える)
相葉夕美(ガーデニング) 小関麗奈(いたずら) 堀裕子(サイキック) 衛藤美紗希(自分磨き) 財前時子(お仕置き) 矢口美羽(人を笑わせる) 若林智香(応援)
私はこの定義を見て、天才的だと感じました。
つまり、キュート・クール・パッションの3属性の本質は『受容』『泰然』『支配』ということです。
鬼滅の刃でいうと、炭治郎の『禰豆子を救うという信念のため、状況に動じずに、やれることを探して信念を貫こうとする』姿は泰然なクールのそれですし。
善逸の『異常なまでにネガティブかつ底抜けに小心で臆病ながら、追い込まれたら凄い実力を出す点』は、受け身だが最後は環境に適用するキュートに見えます。
伊之助の『猪突猛進な先導力と、常識から外れた行動により場のルールすら変えてしまう支配力』はパッションのそれです。
これは「アイドルマスターシンデレラガールズ」が発明した天才的なアイデアですね。
『キュート=受容』『クール=泰然』『パッション=支配』の組み合わせの妙
キュート・クール・パッションの3属性の本質は『受容』『泰然』『支配』であると書きました。
・キュートは『受容』(状況を受け入れ、自らに適応させる力。受け身な性質)
・クールは『泰然』(状況に動じず、自分のやり方を貫かせる力。信念を持った性質)
・パッションは『支配』(状況を自らのものにしようとする力。人やモノを先導する性質)
この3属性がなぜ上手く組み合わさるのかについて考えます。
そもそも、3人組が上手く組み合わさるとはどういうことでしょうか。
私はそれを物語を進められることだと考えます。
つまり「起」「承」「転」「結」を進められる組み合わせだということです。起承転結については以下のエントリーでも紹介しています。
●起:物語の出だしや始まり。話の発端となる出来事が起こる。
●承:”起”で起こった事が発展し、物語が動き始める。
●転:物語の転機が起こる。
●結:”転”で起こった出来事を解決し、結末を迎える。
例えば「起」。
何もない日常からのスタートであればパッションの先導力により何かを起こすことができます。
ただし、近年の物語は何もない日常からスタートすることは少ないです。理由はプロローグで読者をつかむ必要があるからです。
そのためパッション属性のキャラクターは主人公にしづらい現状です。とはいえ、二次創作においてはパッションの先導力から物語が始まるケースも多いですね。
何か問題が発生した状況(有事)からのスタートであれば、キュートの『受容』から物語を始めるのが、読者にとってわかりやすいです。
まずは状況を受け入れて適応することで、読者に世界観を説明することができますし、そこから変わっていくストーリーは心を打ちます。
「アイドルマスターシンデレラガールズ」の主人公がキュート属性の島村卯月だったのは、まずは状況を受け入れる受容性が、視聴者に受け入れられ易いからじゃないでしょうか。
無気力で消極的ながら周囲の人から好意を持たれる「やれやれ系主人公」は、『受容』キャラでキュート属性とも言えますね。
続いて「承」。
物語を動かすときに活躍するのは信念を持つ「クール」キャラであり、状況を支配しようとする「パッション」キャラでしょう。
絶望的な状況に立ち向かう「クール」キャラや、絶望的な状況でも場を変えようとする(機転を利かせる)「パッション」キャラといえば、何人か頭に浮かぶのではないでしょうか。
そして「転」。
物語の転機。つまり「クール」キャラの信念や、「パッション」キャラの支配力がかなわない問題を乗り越えるのは、意外と「キュート」の適用力だったりしますよね。
上記の展開からの「結」は、成長した「キュート」と、変わらぬ信念を貫いた「クール」、マイペースなだけではなく機転を利かせることもできる意外性の「パッション」という3キャラクターが残ります。キュートの成長物語は読者の心をうつでしょうし、クールの変わらなさはかっこいいですし、意外性のパッションは二次創作で活躍しそうなキャラクターになりますね。
キュート・クール・パッションの3属性のキャラクターが上手く役割分断をして、それぞれの魅力を発揮していると感じます。
1人のキャラクターが『受容』『泰然』『支配』を持つのもアリ
「起」「承」「転」「結」において、キュート・クール・パッションの3属性のキャラクターが上手く役割分担をしているという話を書きました。
しかし、ひとひねりとして、1人のキャラクターが『受容』『泰然』『支配』を持つのもアリだと考えます。
例えばリコリス・リコイルの錦木千束は、キュート・クール・パッションの3属性でいうとどれになるでしょうか。
錦木千束は、子どものころヨシさんに命を救われたことで「救世主」となることを宿命づけられたキャラクターだと考えています。第1話と最終話のセリフも「救世主」になるという彼女の思いを表現していると感じます。
第1話
「困ってる人を助ける仕事だよ」
第9話
「私もなる、救世主」
最終回
「私を必要としてくれる人にできることをしてあげたい。
そしたらその人の記憶の中に私が残るかもしれないでしょ?
いなくなった後も」
そのうえで自分の死を「受容」して「適用」し、やりたいこと最優先で生きる姿はキュートですし。
有事の際に冷静に状況を判断する姿、真島に肩を打たれても「救世主」であることを貫いた姿はクールですし。
ピンチに機転を利かせる姿は(例えば12話でイッヌを早川フキに見せつけることで防御を促す機転)パッションでもあります。
錦木千束は、今までにないキャラクターと言われることがあります。現実にいそうな生々しさを持つキャラクターだという文脈です。
私は、錦木千束の生々しさは『キュート=受容』『クール=泰然』『パッション=支配』の3属性を一人でもっているからだと考えます。人は誰だって、キュート・クール・パッションの3属性を持っているじゃないですか(漫画みたいな一貫性を持ったキャラクターなんて、現実にいません)。
錦木千束の二次創作がバリエーションに飛んでいる点も、彼女が3属性を持っていることを示しています。「受け」を極めた弱々千束もいれば、クール千束もいれば、フルスロットルのギャグ千束も成立しています。
誰もが持っている3つの属性を、3キャラクターに分けて物語を動かすから、わかりやすい……納得感がある……というのが「アイドルマスターシンデレラガールズ」によって生み出された世界観でした。
だとすると「リコリス・リコイル」が革命だったのは、キュート・クール・パッションの3属性を1キャラクターに統合したことでしょう。
「リコリス・リコイル」以後を生きる私たち作家は、1人のキャラクターが『受容』『泰然』『支配』を持つのもアリと考えてキャラクター作りをするのが良いかもしれません。
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