物語における、強さの表現【序列の上手な使い方】

2020年12月20日

 作中でキャラクターの強さを表現する方法として、古来より使われている方法が、「序列」です。

 ドラゴンボールの戦闘力や、幽遊白書の妖力値のように、個々の数値を明確化して、序列を語ることもあれば、鬼滅の刃の上弦の鬼・下弦の鬼のようにグループを2つに分け、その中で序列をつけるケースもあります。

 私たちも自分の作品で、キャラクターの強さを表現するときには、序列を上手く活用したいですね。本エントリーでは、いろいろな序列のバリエーションを紹介します。私としては、ここで紹介しているどの序列も、強さを表現しワクワクさせてくれる演出だと考えています。

戦闘力のような統一尺度を利用し、一位が桁違いに強いことを示す

 ドラゴンボールのフリーザが読者に絶望を与えたのは、戦闘力という強さの統一尺度を作り出した上で、それまでベジータの戦闘力が30000でヤバい!となっていた世界観に、53万という桁違いの数値を登場させたからです。

 これは幽遊白書の魔界編でも採用されており、雷禅、黄泉、躯という魔界3大巨頭が妖力値100万に対し、2番手の参謀軍団は妖力値せいぜい10万という数値が設定されています。

 一位を桁違いに強くした場合のメリットは、二番手軍団との戦いに苦戦する主人公を描いたあとで、一位の圧倒的な能力値を明かすことで、読者に絶望をあたえられること。

  一位を桁違いに強くした場合のデメリットは、二位以下のメンバーが弱く感じられることです。早い段階で能力値を明かすと、二位以下との戦いが消化試合に見えてしまうかもしれません。また、作品を続けていく場合に、インフレが進む可能性が高いです。

一位は他の尺度で測れないから一位なのだ

 統一尺度のある世界で、一位と二位以下の差が小さい場合でも、「一位は他の尺度で測れないから一位なのだ」理論により、一位の強さを際立たせる方法があります。

 例えば一位と二位がほぼ同じ能力値だと示した上で、主人公たちが二位を撃破すれば、これで一位も倒せると読者を安心させられるでしょう。そこで「一位は他の尺度で測れないから一位なのだ」と別の尺度を持ち出して、一位が桁違いに強いことを示すと、読者に絶望を与えられるでしょう。

 これは「戦闘力のような統一尺度を利用し、一位が桁違いに強いことを示す」に対する改善案のように思います。同じ尺度で強さを測らないため、インフレを防ぎながら別の強さを表現することができます。

最弱だが最強

 とある魔術の禁書目録の上条当麻は、学園都市の尺度ではレベル0(無能力者)と判定されます。ですが相手の能力を無効化する能力を持ち、最弱だけれども、最強の能力者と渡り合うことができます。統一尺度で測れないからこそ、尺度の序列を気にせず、強敵とも渡り合うことができます。
※御坂美琴が学園都市の尺度に縛られ、第1位には勝てないと思いこんでしまうのと正反対ですね。

 

 また、キン肉マンも超人強度という尺度では、95万パワーという凡人クラスですが、火事場のクソ力で7000万パワーまで上昇します。
※生まれ持った超人強度は上下しないという設定のもとで、キン肉マンの能力も特殊です。

 このように、統一尺度で測れない能力を持つキャラクターは、物語の主人公にしやすいですし、逆に敵として、存在していても面白いです。

 

 また、「最弱だが最強」は主人公にするべき、とは思いません。
 私などは自分の作品で、主人公アインに守られていた少年エンドラルが、Xceedという力を発現し、最強になる展開を描きました。主人公は、守りたいと思っていた存在に守られることで、戸惑います。「最弱だが最強」は、こういった使い方も可能です。

境界を超えろ!3: 地平の果てに花束を

 

努力した凡人の到達点が第3位

 とある魔術の禁書目録の御坂美琴は、学園都市のレベル5の第3位です。自分の能力をレベル1からレベル5まで上げた努力家ですが、到達点が第3位という序列が、非常に面白い。

 ポイントはいくつかあります。

 上位2名が努力ではどうにもならない怪物であることがわかること。物語の展開のバリエーションが増えること。です。

 努力家が2位になってしまうと、あとは1位と向き合うのみで、物語の展開としてもパターンが限られます。ですが三国志と同じで、1位2位3位の戦いとなるといくらでもパターンが考えられます。(2位と3位が組んだり、1位と2位が潰し合って3位が漁夫の利を得たり)

 とある魔術の禁書目録では、御坂美琴が第1位を目指す物語ではないですが、努力家の上限が第3位というのはいい塩梅だと感じました。1位を天才、2位を秀才、3位を凡人として描いても面白いですね。

天才と秀才と凡人の特徴を理解し、物語に役立てる

 

 鬼滅の刃、“上弦の参” 猗窩座も、同じような位置づけに感じます。努力した凡人の到達点が第3位は、やはり良い塩梅なのでしょう。

 

二位が一番強い

 個人的に好きな展開です。

 統一尺度のない世界で、組織内で序列を決めているようなケースにおいて、二位が一番強い……これに燃えます。明確な序列がなくても、参謀キャラクターが「実は最も優秀」「参謀がいなければこの帝国の繁栄はなかった」と言われるような展開が好きです。

 理由としては、縁の下の力持ち的な人が評価されるのが嬉しいこと(これは一定の理解を得られると感じます)。物語の展開として、二位との戦いにワクワクを与えられることです。

 単純に実力二番手にしてしまうと、どうせ主人公が勝って一位と戦うんでしょと予想させてしまいますし、早く次いかないかなと思われてしまう恐れがありますからね。

 「二位が一番強い」と示したあとで、「一位は他の尺度で測れないから一位なのだ」と展開させるのは、狡いですが王道だと思います。

 

奴は四天王の中でも最弱

 統一尺度のない世界で、組織内で序列を決めていないケースにおいて、後出しで使うと有効です。

 主人公が、満身創痍で敵の幹部を倒したあとで、他の幹部はそいつより強いと言われたら絶望してしまいますね。とはいえ最近では、「奴は四天王の中でも最弱」がネタにされており、逆に笑えてしまうかもしれません。

 鬼滅の刃ののように、序盤で幹部クラスを登場させ、「下弦の伍」であることを示しながら主人公を追いつめ、下弦の鬼でもまだ4人も上がいるのか……と絶望させるのが、今の主流でしょうか。※その4人の下弦の鬼は、鬼舞辻無惨に虐殺され、ボスの桁違いの強さの演出に使われます。素晴らしい采配です。

 

まとめ

 物語における、強さの表現として、統一尺度の有り無しや、序列の上手な使い方をご紹介しました。作中で敵キャラクターの強さを演出する際、是非参考にしていただければと思います。