新人小説家の平均年収は?

2023年5月10日

新人小説家として名を馳せるには、かなりの努力と時間が必要です。

小説家は手軽にチャレンジできる職業ですが、年々作家志望者は増えており、競争は激化しています(単巻打ち切りの例も増えてきました。また出版業界も景気が良くなく、出版社の倒産も増加傾向にあります)。

しかし、その分「作家」というステータスに価値があるのも事実です。今回は、新人小説家の平均年収を詳しく見ていき、その数字の実態を明らかにしていきます。また、出版部数と印税の関係や、有名な賞を受賞した場合の印税についても紹介します。この記事を読んで、新人小説家の年収について知識を深めていただければと思います。

売れない間は前金が印税より多い

出版社が本の原稿を獲得しようとする場合、通常、作家に対して印税に対する前払い金、略して前金を提示します。

この支払いは、数千円から数百万円まで、さまざまな形や大きさがありますが、前金の基本的な仕組みは業界全体で同じです。伝統的な出版では、前金は文学作品に対する支払いの一形態であり、作家に前金を提供することで、出版社は基本的に一定の冊数を事前に購入することになります。

前金の額は、出版社が本の売り上げから得られると予想される最低額です。

一般には前金が印税収入として扱われていますが、実際には印税ではありません。印税は、本の値段×印税率×売上部数です。おそらく新人小説家の多くは前金>印税となるでしょう。

しかし、本が期待したほど売れなかった場合でも、この前金が作家から回収されることはありません。

具体的な前金の額は50万円〜100万円程度です。これが新人小説家のベースの給料になります。増刷や2巻目の刊行などがあれば、年収はあがっていきます。小説家の印税については以下の記事も参考にしてください。

前金は発行部数に影響されない

伝統的な出版では、前金は1回限りの支払いとなります。つまり、前金の額は販売部数に影響されません。もし、本がベストセラーになり、前金契約時の数以上に売れたとしても、出版社は契約した前金以上の追加支払の義務はないでしょう。

しかし通常、ある一定以上の部数を売り、増刷されると、出版社から追加の印税を受け取れます。

賞の獲得は高い宣伝効果がある

電撃小説大賞、角川小説賞などの賞を受賞すると、小説の知名度が上がり、発行部数が増えます。その結果、より多くの人が読みたいと思うようになり、本の売り上げが増え、著者の印税も増えます。

しかし、権威ある賞を受賞するには、もちろん持続的な努力が必要です。作家は、レーベルのニーズを研究し、印象的な作品を書くことで自分の価値を証明し、広く読まれるようにならなければいけません。電撃小説大賞、角川小説賞のような賞を取るには、何年もの研鑽が必要です。

新人小説家の次のステップ

印税を得続けることは、意外と難しいものです。世の中には毎年数えきれないほどの新刊が出ます。読者に覚えてもらい、書い続けてもらうためには、魅力ある作品を作り続けなければなりません。

 

小説家になってからが大変……と言えますね。

一つは昨今の編集者事情もあります。

 

Web小説 台頭後の編集者

編集者と作家は本来、二人三脚で作品をつくっていくものです。映画でいえばアクターが作家だとすれば、監督が編集者です。

編集者は文章へのアドバイスから、イラストレーターとの交渉業務など、作品をトータルコーディネートしていく立場です。

しかしWeb小説が台頭したことで、編集者は手っ取り早く売れる作家をスカウトする役割に変わってきています。Web投稿サイトのおかげで、公募に興味のない人たちから成功した作家が出てきたのは良いことでした。

ですが、出版社が銀行からお金を借りるときに、見た目の数を増やせば売り上げは上がるので、とにかく数を出せばいい。既存の作家と打ち合わせして出すより、Web投稿サイトで発掘したほうが早く沢山の成果を出せるということで、編集者が作家に寄り添わない傾向がでてきています。

 

作家と二人三脚で、作家の書きたい作品をつくるのではなく、書籍化しない作品書く必要ありますか?という風潮が出てくる可能性があります。

また、近年は書籍化ではなくコミカライズが目標になってきています。小説家ではなく、漫画原作者を探しているのですね。

編集者の選抜により、いま受けているものしか市場に出回らなくなり、なろう系の作品や、漫画原作の作品しか出版されなくなると……作家としてやりたいことができなくなる可能性もあります。

※この風潮に抗おうとしているのがbookbaseです。作家志望の方々は、ぜひbookbaseも気にかけてみてください。

 

作家にファンをつける時代がくる!?

作家業を続けるのが大変な時代になってきた今、文章でお金を稼ぐため、時には別の道(専門学校の先生やファンコミュニティの設立、メディアミックスに関する働きかけなど)を探る必要もあります。小説家になってからのお金の作り方については以下のエントリーも参考にしてみてくださいね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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