「星座になれたら」が名曲すぎる | アニメの挿入歌から学ぶ、進化版Xミーニング

2023年3月15日

 どんなアニメにも、物語を彩る挿入歌があります。この記事では、挿入歌が物語と密接な関係にあることを明らかにし、特に物語がクライマックスに達したときに、挿入歌が心に残る理由を探っていきます。

 また、物語のテーマが明らかになるにつれ、そのテーマにマッチした挿入歌が観客の心をつかむことを解明していきます。

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きっかけは「星座になれたら」

 この記事を書いたきっかけは、最近になって「ぼっち・ざ・ろっく」の挿入歌「星座になれたら」にドハマリしていることです。

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 ひとりぼっちでド陰キャの主人公・後藤ひとりがこの歌詞(星座になれたら、で検索ください)を作詞し、陽キャだけどひとりの才能に憧れている喜多ちゃんがアニメ最終回でこの曲を歌うという背景が、この曲をとてつもない名曲に押し上げていると考えています。

 この歌詞を見た時点で、後藤ひとりがどれほど結束バンドのみんなのことを大切に思っているかわかりますもん。結束バンドのメンバーは裏できっとニヤついていたと思います。最近、後藤ひとりを「トラブルメーカー」「足を引っ張る味方役」の例として記事を書きました。

 ですが結束バンドのメンバーにとって、とにかく手間のかかる後藤ひとりが可愛くて仕方ないのは、「星座になれたら」の歌詞を考えてくるようなピュアさがあるからなんでしょうね。

 そして「星座になれたら」が名曲だと気づいた時、そういえばラブライブも物語が進むにつれて良いと感じる曲が多かったし、マクロスフロンティアも、アイドルマスターシンデレラガールズもそうだなと感じました。物語がクライマックスに近づくにつれて、良い曲をつくることができたらそりゃ良いのだけど、なんで作曲家さんたちはこんな凄いことができるのかしら?

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 突き詰めて考えると、物語が進んで物語テーマが明らかになるにつれ、そのテーマにマッチした挿入歌が観客の心をつかむのではないかと考えました

アニメの挿入歌とストーリーの関係を探る

 近年のアニメは挿入歌を上手に使っています。昔から、最終回でOP曲が流れるアニメは名作といった格言がありますね。リコリス・リコイルでもOP曲が最終回で挿入歌として使われていました。
 挿入歌の効果は以下のようなものがあります。

・音楽の曲調による心理的イメージを、シーンに紐付ける
→音楽とストーリーの組み合わせは、視聴者の感情を呼び起こします。例えば盛り上がる曲をかけることでその場を盛り上げたり、バラードをかけてしんみりさせたりする効果があります。メロディの効果です。

・はじまりと終わりをつなげる(あるべきところに着地する)
→最終回でOP曲が流れるとグッと来る理由はこれです。OPという物語の始まりで流れる曲が、最終回に流れることで、最初と最後がつながり、物語があるべきところに着地したように感じさせます。
 私は「あるべきところに着地する物語」を美しい物語と定義しています。OP曲が最終回で流れると、人はある種の美しさを感じるのではないでしょうか。※美しい物語については以下で説明しています。

・挿入歌の歌詞により主人公の隠れた心情を描く
→ぼっち・ざ・ろっくの「星座になれたら」でも主人公の隠れた心情が描かれていました。そもそも後藤ひとりは、自分の気持ちを正直に話せない子なんですよ。その後藤ひとりに、作詞を担当させ、結束バンドのみんなを大事に想う、この歌詞を出してくるのは反則じゃないでしょうか。

・挿入歌の歌詞により物語のテーマを改めて視聴者に理解させる
→「星座になれたら」で一番グッと来たのは、憧れのみんなを星に例え、その星との距離がとてつもなく離れていることを自覚しながらも「君と集まって星座になれたら」と書いている部分です。

 私はこの歌詞から『それぞれが個性ある存在で、違う性格で。だけどみんなそのままで良くて、変わることはないし変える必要もない。個々を尊重しつつ、一緒にいることで星座のように、何かを形作れたら良い』という物語のテーマを感じました。
 挿入歌は、物語のテーマをさらに明らかにする役割もあるのですね。

視聴者を魅了する挿入歌の力

 上記で紹介した内容をまとめると以下のとおりです。

  • 挿入歌には、ストーリーと感情を融合させ、悲しみや喜びなど、さまざまな感情を呼び起こすことができます(メロディの効果)
  • 挿入歌は、キャラクターの考えや気持ち、動機などを理解させることができます(隠れた心情の描写)
  • 挿入歌は、アニメのテーマを紹介し、物語をより深く理解させることができます(テーマの明示)

 また、テーマの明示の使い方として、物語の中で触れられている社会的な問題に対する深いコメントや批評のような役割も果たすことができます。戦争を題材にした作品で、愛を歌うようなケースです(マクロスなんかはそうかも知れません)。

 つまり、挿入歌のメロディや歌詞が、物語の1シーンに、感情的な文脈(そのシーンが悲しいとか楽しいとか)やテーマとの関連性、新たな視点を提供するということです。

 これってX(エックス)ミーニング(1つの語に2つ以上の背景をもたせる手法)のシーン版ですね。Xミーニングについては以下の記事を参照ください。

挿入歌は進化版Xミーニング

 X(エックス)ミーニングは、1つの語に2つ以上の背景をもたせる手法でした。挿入歌の力は、1つのシーンに2つ以上の意味をもたせる手法と言えるでしょう。
 挿入歌は、いわば進化版Xミーニングです。

 クライマックスに向かうにつれて、良いと感じる挿入歌が多くなるのは、長い物語を経て、登場人物の人柄や彼らの苦悩や葛藤を深く知り、物語の描こうとしているテーマを深く理解できるからです。

  • 私たちは、登場人物を深く知ったからこそ、挿入歌の歌詞によって付与される背景を想像することができます。
  • 私たちは、物語がオチまで見えてきたからこそ、入歌の歌詞によって付与されるテーマを考察することができます。

 まとめると、Xミーニングが物語外の情報の引用だったのに対し、挿入歌は物語内の積み重ねの引用と言えるでしょう。

 物語内の積み重ねを引用するという手法は、小説家も利用できる手法ですね。物語内にポエムや、それこそオリジナルの歌詞を入れることで、進化版のXミーニングを小説にも活用しましょう。

 

まとめ:小説家にも有益な進化版Xミーニング

 「ぼっち・ざ・ろっく」の挿入歌「星座になれたら」は素晴らしい曲でした。アニメの挿入歌は、視聴者を魅了する紛れもない力を持っています。

 挿入歌は物語と密接な関係にあり、登場人物の心情や、物語のテーマをさらに強化する力があります。

 そして挿入歌の保つ力の源泉は物語内の積み重ねの引用……進化版のXミーニングです。これは小説家にも有益な情報です。

 物語内でのポエムやそれこそオリジナルの歌詞を入れてみることで、進化版のXミーニングを小説にも活用しましょう。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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