陰陽師の世界観。陰陽寮・典薬寮を徹底解説！

2021年8月13日2021年9月15日

　陰陽師の世界観は魅力的ですよね。
　だけど「和風ファンタジーの世界観が思いつかない・・・」と手が止まっている方も多いのではないでしょうか？　この記事は和風ファンタジー小説を書こうとする、貴方の悩みを解決します。

　和風ファンタジーの小説やライトノベルも、もとは現実世界にアイデアを得た作品です。
　そこでこの記事では、和風ファンタジーの設定に使えるネタとして、陰陽師の世界観に欠かせない「陰陽寮・典薬寮」について徹底解説します。この記事を読み終わるころには、きっとインスピレーションが刺激され、自分だけのストーリーが出来上がっているでしょう！

Contents

1. 1 陰陽寮ってなに？
2. 2 陰陽寮の仕事は？
- 2.1. 2.1 行政官
- 2.2. 2.2 方技
3. 3 もう一つの魔法の役所　典薬寮とは？
4. 4 呪禁ってなに？
5. 5 どんな和風ファンタジー小説が作れるか
6. 6 まとめ

1 陰陽寮ってなに？

　奈良時代、日本は律令制と言って、唐国の政治制度を取り入れて国家を作っていました。二官八省という言葉は何となく聞いたことがあると思います。

　陰陽寮は天武天皇の時代、八省の中の一つの中務省というところに属していました。中務省は天皇関係の政務に携わるような重要な役所です。そこで陰陽寮は魔法とされていた陰陽道を司っていたのです。

　陰陽道は中国三大宗教の一つである道教の流れを汲むもので、中国の春秋戦国時代で発生した陰陽五行説に基づくものです。

　陰陽寮は飛鳥時代から江戸時代まで存在していましたが、明治期における国家の近代化に伴い、陰陽寮は廃止されてしまいました。

2 陰陽寮の仕事は？

　まず、陰陽寮は事務職である行政官と、技術職である方技に分かれます。それぞれ見ていきましょう。

2.1 行政官

　行政官は陰陽頭(おんようのかみ)・陰陽助(おんようのすけ)・陰陽権助(おんようのごんすけ)・陰陽大允(おんようのだいじょう)・陰陽小允(おんみょうのしょうじょう)・陰陽大属(おんみょうのだいさがん)・陰陽小属(おんみょうのしょうさがん)に分かれます。
　「陰陽」の後ろについている「頭」や「允」というのは、奈良時代における位を表す言葉です。頭が一番偉く、そこから助、允、属と位が下がっていきます。それぞれの仕事は以下の通りです。

陰陽頭・・・陰陽寮を統括。天皇に上奏（意見をいう事）ことができる。
陰陽助・・・陰陽頭を補佐する仕事。陰陽寮のNO.２。
陰陽允・・・寮内のパトロールや書類の審査など、寮内の事務全てを管理する仕事。
陰陽属・・・公文書の記録係。

　このように位が分かれていて、役人たちは陰陽頭を目指し、日々業務をこなしていきました。

2.2 方技

　方技は技術職であり、四つの専門に分かれます。

陰陽博士・・・陰陽道を使って占い、呪術を扱った。
天文博士・・・占星術や気象を観察し、占いを行う。下級官吏ではあるが、気象に異常が　　あれば天皇に奏聞（上奏と同じ）ができた。
暦博士・・・暦の作成、編纂を行う。
漏刻博士・・・漏刻（水時計）を見て、時刻を管理する。

　今では考えられないような仕事ばかりです。それゆえ、彼らには何か特別な力があると感じられますね！
　また、彼らの下には修学生(しゅうがくしょう)と呼ばれる見習いが居て、それぞれの部門に各10名存在していました。その中でも特に優秀な修学生は得業生(とくぎょうしょう)と呼ばれ、昇進が予定されていました。