爵位について詳しく解説!ファンタジー小説の設定に使おう!
「爵位」は、ファンタジー世界において重要な要素です。特に、近代以前の「ヨーロッパの世界観」を演出する際にはよく用いられおり、貴族の身分の違いを表現する際に非常に重宝します。
そこで本記事では、「爵位」の定義や種類について詳しく解説します。また、ファンタジー作品の重要な役どころで使われる「辺境伯」と言う爵位についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください!
爵位とは?
「爵位(しゃくい)」とは、「貴族にのみ与えられる称号」を指します。爵位によっては、序列と共に「特権を付与」されていることもありました。
ただし、現代では「爵位」を使用している国は少数派です。また、仮に爵位が残っている国においても、特権が認められる場合はほとんどありません。
ちなみに、爵位は英語に変換すると「title」です。日本で「title(タイトル)」と言えば何かしらの創作物の「題名」として使うことが多いですが、この言葉には「爵位」と言う意味もあります。
爵位制度の種類
「爵位制度」は国ごとに特徴が異なります。また、現代においても爵位制度が残っているかどうかは、国によって様々です。「日本」と「イギリス」を例に挙げて、爵位制度を比較してみましょう!
日本の爵位制度
「日本の爵位制度」は、現在ではすべて廃止されていますが、爵位が存在した時代もあります。古くは大和朝廷の「姓(カバネ:王権との関係や地位を示す称号)」や、奈良時代に執行された律令制における「冠位十二階」などの位階が、爵位に相当すると言えるでしょう。
「爵位」として正式に制定されたのは、1884年(明治17年)に施行された華族令においてです。「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵」の5つの爵位が制定されました。
しかし1947年、日本国憲法の施行に伴い、78年間つづいた華族制度は、爵位と共になくなります。華族制度は、GHQから日本政府に手交された、いわゆる「マッカーサー草案」において、「法の下の平等を謳った日本国法に反する」と定義づけられたからです。
ちなみに「日本の華族制度」が、「イギリスの5爵制」と似ているのは偶然ではありません(ただし、日本と違ってイギリスは女性も爵位を授与できる)。その理由は、元々「日本の華族制度」は、「中国や西欧の爵位制度」を参考にして確立されたからです。
また、「天皇」は爵位ではないことも覚えておきましょう。天皇は爵位を受ける立場ではなく、「爵位を授ける立場」です。
イギリスの爵位制度
現在、爵位制度はフランスやイタリアなど、数か国で残っていますが、その中で最も有名なのが「イギリスの爵位制度」です。
イギリスでは、「英国における一定の爵位を保持している人物とその家族のこと」を「貴族」と呼びます。「公爵から男爵」まで各階位があり、どれも「継承性」です。
ただし、兄弟全員が継承できる大陸の爵位と異なり、「イギリスの爵位は常に一人だけが相続」します。そして、イギリス貴族は厳格な「長子相続制」をとっているため、例えば次男が爵位を継ぐためには、長男が亡くなりでもしない限りあり得ないのです。
ちなみに、イギリス貴族の数は「世襲貴族(長子相続性による世襲制で貴族となった者)で750人ほど」で、「一代貴族(世襲ではなく、一代限りで貴族に叙された者)で600人ほど」と言われています。イギリスの人口が6,820万人(出典:https://eleminist.com/)であることを考えると、「約5万人に一人が爵位を保持」している計算になります。
そんなイギリスの爵位を上位から並べていくと、「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵」の順番になります。これら5つが、先程説明した「世襲貴族」の爵位一覧です
また、最高位の公爵「Duke(デューク)」は、「王族公爵」と「臣民公爵」に2種類に分かれます。当然、「王族」に属する「王族公爵」は、同じ公爵でも別格の上位。それ以外の公爵である「臣民公爵」は、位が一つ下がります。
王族公爵ならエリザベス女王の長男「チャールズ皇太子」や、その息子の「ウィリアム王子」や「ヘンリー王子」が該当します。敬称は「Durk of ~」で、~の部分に「爵位名」を挿入し使用します。
また、貴族の中でも公爵のみが「Your Grace(閣下)」と尊称されます。しかし、それ以外の「侯爵から男爵までの4爵位」は、「My Lord(卿)」と呼ばれるのです。
強大な力を有する「辺境伯」について
ヨーロッパには「辺境伯」と言う爵位が存在します。「辺境伯」とは、フランク王国とローマ帝国が、「国境を防衛する高官」に与えた称号です。ちなみに「辺境伯」という日本語は、ドイツ語の「Markgraf(マルクトグラフ)」の訳語になります。
辺境伯は、その名前の性質から、日本では「田舎の貧乏貴族」と勘違いされることが多いですが、むしろ「強大な権力を有する爵位」の一つです。日本の戦後時代における、「島津家」や「伊達家」をイメージしてもらうと分かりやすいかも知れません。
辺境伯爵はこうした日本の戦国大名と同じで、中央から離れたところを守護していますが、地域の「行政・軍事・司法」のすべてにおいて最高権力を所持していたのです。
ファンタジー作品においても、「辺境伯」は存在感のある重要な登場人物としてよく登場しているので、知識として押さえておきましょう。
ちなみに、現在は「辺境伯」という爵位は存在しません(19世紀に廃止)。
まとめ
今回は「爵位」について紹介しました。
内容を簡単にまとめると以下の通りです。
- 「爵位(しゃくい)」とは、「貴族にのみ与えられる称号」のこと
- 「爵位制度」は、現在の日本には存在しないが、ヨーロッパでは一部残っている
- 「辺境伯」と言う爵位は、中央からは離れているが、強大な権力を保持していた
本記事を通して「爵位」について詳しくなり、ファンタジー小説の世界観設定に活かしましょう!
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