【読者の満足度を高める方法】読者の期待と満足度の関係(読者は期待外れなストーリーを嫌う)
読者の期待と満足度の関係を考えていたところ、興味深いツイートを発見しました。とても共感できたのでシェアします。
「納得感のないバッドエンドは炎上する」のが典型例だけど、読者は期待外れなストーリーは嫌う。そのくせ、予想通りのストーリーには退屈する。なので、狙うべきは「期待通りだけど、期待を上回ってきた!」とか「予想できたはずなのに、予想できなかった!」というライン。
上記のツイートの内容を要約すると、満足度は期待や予測と強い関係があるということです。
私は、この期待や予測の観点から、「満足度を図る指標」を作ることを提案します。
満足度を図る指標
私は、「満足度を図る指標」として、以下の縦横軸が便利だと考えます。
まず横軸に予測の軸を取ります。こうなってほしいと思い描く期待結果(想定内)と、予測できなかった結果(想定外)の軸です。
さらに縦軸に結果が自分にとって、ポジティブだったかネガティブだったかの軸をとります。
すると、以下の4象限が得られます。
1. 期待通りで、ポジティブな結果だった(期待通りだけど、期待を上回ってきた)……満足
2.予想外で、ポジティブな結果だった(予想できたはずなのに、予想できなかった)……満足
3.期待通りで、ネガティブな結果だった(予想通りのストーリーに退屈)……不満
4.予想外で、ネガティブな結果だった(納得感のないバッドエンド)……不満
例えば主人公が最後生きるか死ぬかわからない物語で、私が主人公に生きてほしいと願った場合。
主人公が生きるというポジティブな結果は(1.)で、主人公が死ぬというネガティブな結果は(3.)になります。ここでまどかマギカのラストのように「主人公はいなくなるけど神になる」のような想定外だけどポジティブな結果は(2.)で、決着を先延ばしにするような終わり方がくると予想外だけどモヤモヤする展開は(4.)と言えるでしょう。
冒頭のツイートで「期待通りだけど、期待を上回ってきた!」とか「予想できたはずなのに、予想できなかった!」を狙うべきとありましたが、私も同意できます。先程のグラフでも「満足」の領域に入っているからです。
4象限それぞれで結果にはバフがかかる
また、満足度を考えるときには、4象限のどこにあたるかで、満足度にバフ・デバフが発生することも覚えておきたいです。
どこの象限でバフ/デバフがかかるかは人にも夜と思いますが、私の場合は以下のグラフのようになります。
例えばリコリス・リコイルの最終話で、錦木千束が生き残るのはポジティブな結果でした。しかし私的に最終話で一番テンションが上ったのは予想できたはずなのに、予想できなかったミカの活躍でした。思えばアニメ版エヴァンゲリオンの最終回でも予想できなかった展開にテンションがあがりました。私は昔から予想外のポジティブな結果に一番満足するようです。
一方であーあ、期待したのにな……という作品に出会うと一番テンションが下がります。予想通り主人公がヒロインと結ばれたのに、それによって失恋した幼馴染キャラが可哀想すぎたなどが一例です。
満足度を高めるための工夫
ここまでの話を踏まえて、小説家を目指すみなさんが読者の満足度を高めるためにできる工夫はなんでしょうか。
それは次の展開を予測させることです。
アニメ版エヴァンゲリオンもラスト2話は予想させることを放棄していますが、それまでは「使徒が現れてそれをシンジたちが倒す。いつか最後の使徒が来てラストを迎える」という予測が立てられました。ドラゴンボールやワンピースは最後に主人公が勝つという予測、スラムダンクは桜木や流川の所属する湘北高校が最後は勝つという予測、五等分の花嫁では5人のヒロインの誰かと結ばれるという予測が立てられますよね。
物語の終着点を早い段階で読者に示すことで、読者に予測させ、「期待通りだけど、期待を上回ってきた」もしくは「予想できたはずなのに、予想できなかった」ポジティブな結果を目指すのがベストです。
以下の記事でも書きましたが、早い段階で主人公の欲求を示すことが大事です。
そして最終話に向かうにつれて物語の可能性を狭めていくことが重要です。つまり1話であった無限の可能性という木を、話数を減るにつれて可能性の枝を切り落としていく作業です。最終話の手前では「主人公が生きるか死ぬか」「主人公がヒロインと恋人になるか振られるか」といったふうに2択を示すとベストです。
まとめ
このエントリーでは以下のことを書きました。
・満足度は結果を予測できたかできなかったか、結果が受け手にとってポジティブがネガティブかで決まる。
・小説家は、読者を満足させるためにまず予測させる。
・物語が進むにつれて可能性の枝を切り落とし、読者の予測の精度を高める。
・「期待通りだけど、期待を上回ってきた」もしくは「予想できたはずなのに、予想できなかった」ポジティブな結果を目指す。
満足度について理解を深めて、面白い!といわれるような作品を書くお手伝いになれば嬉しいです。
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