感情曲線6パターンと物語の類型12パターン。どう活用したらいいの?活用方法も伝えます。

2020年8月2日

 世の中には、沢山の物語があります。
 限られた人生のなかでそれらをすべて読み、学ぶことは難しいです。ですが物語を一定のルールで体系化……カテゴライズすることはできます。

 本エントリーでは、感情曲線と物語の類型についてまとめました。これを読めば、あなたの物語に72パターンのアイデアを組み込むことが出来ます。

6パターンの感情曲線

 天気の子の感情曲線が話題となりました。プロット段階で物語構成とともに、感情曲線もあわせて検討されているようです。

 どんな小説でも漫画でも、ストーリーが含まれたエンターテイメントは必ずと言っていいほど、「感情曲線」が戦略的に入っています。

 そしてこのストーリーを決定づける「感情曲線」は、6パターンしか無いことがわかっています。
物語の作り方は6つしかないことがビッグデータ解析で判明

 その6パターンが下記のグラフに示す6つです。

成功型
「私、失敗しないので」
→勝ち続ける、立身出世物語に見られる
 感情値の「一定して継続的な上昇」型

悲劇型
「どうして……」
→負け続ける、悲劇に見られる
 感情値の「一定して継続的な下降」型

逆転型
「負けられねえんだよおお!」
→感情値の「下降から上昇」型

絶望型
「よっしゃー!うっそだろおい……
→感情値の「上昇から下降」型

感動型
「素敵!でも私なんて……、ううん、私だって!」
→感情値の「上昇⇒下降⇒上昇」型

お笑い型
「あかん、いける!、やっぱりあかーん」
→感情値の「下降⇒上昇⇒下降」型

物語の類型12パターン

 物語の類型は4パターンとも10パターンとも言われていますが、ここでは12パターンの類型について紹介します。

 12パターンにわけるアイデアは下記サイトを参考にしております。ブレイク・スナイダーの10の類型にタブーと革命を加えた12となります。素晴らしいアイデア。
コラム物語論。物語を132種類に分ける実践的で簡単な方法。

 ここでは「物語」の「キーワード」となる単語と共に、それらの題材を扱った作品と著者、作品タイトルの大まかなあらすじなどを合わせてご紹介いたします。イメージの参考にしてください。

「スーパーヒーロー」

【要素】
・特別な力を持つヒーロー
・ヒーローと同等以上の自作の能力を持つ宿敵
・ヒーローの敗北・克服すべき呪い

 不変普及とも言えるこの単語にときめかない人は、少ないのではないでしょうか。弱きを助け悪を挫く昔ながらの「スパーヒーロー」をちょっと味のある設定で描いた作品でご紹介です。
 「有川浩著・三匹のおっさん」。定年退職を迎えたばかりの主人公と、学生自分にはその悪ダチとしてご近所に名を馳せたオッサン三人組。孫も娘も巻き込んで、曲がり切った道理を蔓延させる世の中と若者に喝を入れるべく立ち上がります。

「タブー破り」

【要素】
・夢、使命、野望
・タブー
・背徳

 「タブー(禁忌)」と呼ばれる存在や概念は古くから人間の世界に存在しました。例えばそれはキリスト教的世界観での社会における天動説と地動説であったりするでしょう。
 人の知能に手を加えるというタブーに触れて描かれるのは、哀しい青年と彼の親友の物語。「ダニエル・キイス著アルジャーノンに花束を」は、タブーとされた領域に踏み込んだ人間の物語です。

「ミステリ―」

【要素】
・探偵
・秘密
・暗雲

 作中に仕掛けられたフェイクや謎かけを解き明かしながら、はたして物語の結末や事件の犯人はいかにと謎解きのスリルを楽しむのが醍醐味とも言えるミステリー小説。
 ご紹介するのは、ミステリ―の女王の異名を持つ作者のこれまた代表作から、「アガサ・クリスティー著・そして誰もいなくなった」。孤島に招き寄せられた面識のない男女十人、正体主不在の島で暴かれていく隠された秘密を解き明かすストーリーです。

「モンスターパニック」

【要素】
・死ぬより恐ろしい「怪物」
・怪物が入り込んだ逃げ場のない「家」
・怪物を呼び込んだ「罪」

 突如と人類に襲いかかる未曽有のモンスター。経験したことのない極限下に置かれた人々の恐怖心やモンスターとの戦いを描く小説として、「戸梶圭太著・赤い雨」でご紹介。目に見える形での「モンスター」だけが「モンスターパニック」ではないという恐怖を人々の心理描写で写し取ります。

「特別な力」

【要素】
・誰かの「願い」
・魔法に伴う「規則」
・「教訓」

 只人が持ちえない特殊能力なんていう響きは、子ども達の憧れるところでもありますが、大人が読み物にしても楽しいですし、ドキドキワクワクとした高揚感をもたらしてくれます。
 「西尾維新著・十二大戦」は、十二年に一度集められる十二支の戦士が特殊能力を駆使して頂点を目指す争いの先に、「どうしても叶えたいたった一つの願い」を賭すバトルファンタジー。

「相棒」

【要素】
・不完全な主人公
・主人公の穴を埋める相棒
・主人公と相棒の複雑さ

 パートナーとも言い換えられますが、「友人」や「仲間」とはまた少し趣の異なった響きです。ロンドンを中心として巻き起こった難事件を解決する二人の人影。
 お互いを支え合い信頼を寄せる彼らを描くのは、「アーサー・コナン・ドイル著・シャーロックホームズの冒険」。名探偵とその親友にしてよき理解者でありパートナーのミステリー事件簿を映し出します。 

「組織の中で」

【要素】
・組織
・選択
・犠牲

 真のリーダーシップとは何であるか。組織が抱えた問題点を鋭く切り取って描写するのは、「浅田次郎著・八甲田山~死の彷徨~」。上の命令に逆らえない組織体制が招いた「悲劇」や対比されて描かれる「リーダー」など、「組織の問題」を鮮やかに切り取ります。

「難題解決」

【要素】
・無垢な主人公
・突然の出来事
・生死の危機

 いつの世にも、傍から冷静に聞けば無理難題としか言えない要求で、人を困らせる人々というのは存在するものですが、そんな困ったさんたちの無理難題を鮮やかに解決していく主人公を描いたのが、「朝井リョウ著・発注いただきました」。小説家のもとに次々と寄せられる無理難題押し付けクライアントを見事に片付けていきます。

「革命」

【要素】
・強固な意志
・二つの主張
・葛藤

 歴史上にも名高い「フランス革命」を描いた作品から、「革命小説」をご紹介。「クリスマスキャロル」の著書で知られるディケンズが描いた「チャールズ・ディケンズ著・二都物語」。二人の青年と無実の虜囚の娘を主軸に、フランス流血革命最中の様相を描き出します。

「変わり者」

【要素】
・変わり者
・権威・内通者
・変容

 変わり者と称されるのを誰より嬉しく感じるのが「本当の変わり者」であるならば、人と同じことや「退屈平穏な日常」を心から嫌うこの少女は、「正真正銘の変わり者」でしょう。が、別の意味でも彼女は実は「変わり者」であると明かされる「谷川流著・涼宮ハルヒの憂鬱」をご紹介。名高いライトノベルシリーズでもあります。

「成長の旅」

【要素】
・「道」、主人公を道草させる「路傍の林檎」
・ともに旅する「チーム」
・求める「報酬」

 人間としての成長を旅路の中で描く作品も多いでしょう。ときにはそれは主人公にとってこれまでの世界観や概念を大きく覆す発見を与え、視点が異なれば人の者の見え方とは根本から違っているのだと教えます。
 ご紹介するのは「時雨沢恵一著・キノの旅」。モトラドと(二輪車)でありながら人語と知能を介すエルメスと共に世界を回る中で、旅人であるキノが関わっていく人々の世界とキノの持つ世界観を交互に交えて巧みに映し出す作品です。

「人生の岐路」

【要素】
・人生の問題
・誤った方法
・主人公の変化

 人生とは選択の連続と積み重ねであるとも言い換えられますが、そんな人生の中で、やはりほかの選択肢とは重みの違う選択を迫られるときがあります。岐路とも言い表せられるそれを、青春の一ページから切り取ったのが、「三田誠広著・いちご同盟」。十五歳という多感な青春期の少年少女たちの日常から、彼らの人生の岐路となる日々を描きます。

6×12=72のアイデア

 さて、ここに感情曲線6パターンと、物語の類型12パターンを提示しました。

 特筆すべきは、これらのパターンは掛け算が可能だということです。
 例えばお笑いの感情曲線を用いつつ、スーパーヒーロー物語を書くことも可能です(ラッキーマンやキン肉マンみたいなものでしょうか)。

 つまりこの記事を読んだあなたは、6×12=72パターンのアイデアを吸収したことになります。物語を72冊読もうと思ったら、膨大な時間がかかるはずです。それが、類型というフレームにおとすことで、僅かな時間で72パターンをとらえることができました。

類型に囚われない(活用の注意点)

 では、これらのパターンに沿って作品を作ればいいのでしょうか。

 答えは否です。

 正確には、パターンを参考にしてもいいし、しなくてもいいのです。

 冒頭で天気の子の感情曲線の話をしましたが、いくつも波がありましたね。

https://twitter.com/shinkaimakoto/status/1265554723358334978?s=20

 物語の中では、いくつも感情の波が出てきて当然です。キャラクターの人生を描くわけですから。そしてキャラクターがあるときは成功し、あるときは逆転し、あるときはお笑いぐさになるのも、また人生です。

 ですので本エントリーで紹介した6×12の72パターンは、あなたの小説の『1話1話でつかえるストーリーのネタ』くらいに考えておくのが良いでしょう。時にはスーパーヒーロー、時にはミステリー。そんな物語があっていいはずです(涼宮ハルヒの短編集なんて、そういう作られ方でした)。

 物語の類型を覚えるのが大変でしたら、感情曲線だけでもかまいません。類型に囚われるのではなく、あくまで自由に、あなたの意志で。情報を取捨選択しながら物語ライフを楽しんでくださいね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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