中世都市の人々の階級 | 想像より過酷な生活

2022年1月12日

 中世都市には、さまざまな土地から集まってきた人が暮らしていました。中世都市で暮らしていた市民を大別すると、戦場に出る人、祈る人、働く人の三種類の人々にわけられます。

・戦場に出る人:王様や貴族(詳細は下記のエントリーも参考にしてください)
【国の種類】帝国、皇国、王国、公国の違いは? 物語に登場する国の種類を解説します!
ファンタジー小説に役立つ、貴族制度(貴族の爵位)と呼称について

・祈る人:修道士や聖職者(神につかえる存在として、上位の階級に位置づけられました)

・働く人:農民や商人や職人

 これらの人々がひとつの都市で暮らす中で、貧富の差が広がっていきました。

 都市が自治権を獲得して王の支配から独立できても、都市に住む人達には階級というものがあり、下層にいけばいくほど、納税、裁判義務、兵役など抑制されることが多かったようです。

 結果として中世の市民は上層、中層、下層の三層に分断されていきます(都市貴族と呼ばれる人達が誕生してくるようになったのも、この中世の大きな特徴になっていきます。しかし都市の住人は下層階級が大半でした。格差社会の本格化がスタートといったところではないでしょうか?)。

 本エントリーでは都市に住む人達の階級(上層、中層、下層)を紹介します。

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上層の階級は都市貴族

 中世都市の上層は、騎士や大規模土地所有者、聖俗領主の役人、遠隔貿易商人、有力商人、職人ギルドの親方といった人々で構成されています。

 都市貴族と呼ばれる支配階層を形成し、裁判などを司どる市長などの都市参事会の役職を独占司教や司祭と呼ばれる聖職者も独自の地位がありました。上層階級に属する人たちは、自分たちがより利益を得るために多くの義務を中層の階級と下層の階級に課していきます。

 彼らは経済力の向上により力を持ち、戦に参加しないにもかかわらず、他の人々を支配したのです。都市貴族に代表されるのは、アウクスブルクのフッガー家とフィレンツェのメディチ家です。

中層の階級はブルジョワジー

 中世都市の中層は、城壁の中の住民。そのなかでも貴族でも農民でもない人々を「ブルジョワジー」という言い方をしていました。

 中世においては城壁で囲まれた都市の中に住むことが一種のステータスです。新たな流入者が市民になるには、一定期間の納税や土地の所有などの条件がありました。さらには納税や軍役などの義務も果たさなければ市民になれません。

 条件を満たし市民となった、貴族より格下で農民でもない人々のことをブルジョワジーと呼びます。商人ギルドの親方、知識階層といった社会的名望を持つ人とその家が当てはまります。

 時代が進むと市民が力を持ち、それまで都市貴族たちの手法が主体であった体制を革命によって転覆させる動きが出てきます。例えば清教徒革命やフランス革命は、ブルジョワジー革命(市民革命)と呼ばれています。

 中層の市民が、上層の貴族を打ち倒すというダイナミックな歴史の流れは、中世都市にその起源を見ることができます。

下層の階級は周辺民と居流民

 下級の階級には、周辺民と居留民と呼ばれる人がいます。彼らは一番都市人口が多いのですが、参政権を持っていませんでした。そして、参政権を持たない階級にも関わらず、都市に住んでいるために納税の義務、兵役の義務、裁判義務などを負わされていたのです。

 下層の中でも周辺民と居留民と呼び方を変えて下層の中でも階級がありました。娼婦・傭兵・逃亡者・放浪者・乞食は周辺民と呼ばれ、見習い職人・刑史・奉公人は居留民と差別されて、社会的に退かれていました。

 下層の階級でも格差があり、特に女性や子供はさらに虐げられていました。

階層がつくりだす都市生活

 先ほどご紹介したとおり、都市の階層は三層に別れていました。
 都市貴族と呼ばれている上層階級の人達。都市貴族と呼ばれていたる上層階級の人々に掌握されていた市民・ブルジョアジーの人。娼婦・傭兵・逃亡者・放浪者・乞食と呼ばれていた下層階級の人達の三層です。

 裕福なはずの上層階級に利益がいくように納税義務・兵役義務・裁判義務などありました。参政権はあったので少し政治に参加できる制度はありましたが、制限がとてもかかっていたので金銭的に裕福だったとしても心は豊かではなかったと推察できます。

 上層階級いわゆる都市貴族と呼ばれる人が利益を独占する制度になっていたので、中層や下層階級からは強い不満が出てくるでしょう。
 弱い者はもっと弱い者に矛先をむけるので、女性や子供の暮らしはどのようなものだったのかと考えると、都市が自由になったとしても心が不自由では意味がないと思えてなりません。

 しかし、中世時代にできた身分制度というものは、イギリス、フランス、インド、日本など各地において身分格差や階級社会に発展していったのではないでしょうか?
 階級での格差社会が広がっていくことで、紛争は耐えなくなったのではないかと感じます。この格差社会は何世紀にも渡り続いていくことになり、市民による革命となっていったのではないかと思います。

まとめ

 自治権を許可したことで中世の都市にはあらゆる人々が住むようになってきました。その中には、戦に参加しない貴族と呼ばれる上層階級がいて、その人たちが経済を支配していくという格差社会が出来上がっていきます。

 上層階級にいる人たちがより豊かな生活になるように税金を義務化するなど、中層や下層階級の人達の暮らしを切迫していたようです。
 都市に自由はあっても、生活しているたちの暮らしは不自由そのものでした。中層や下層の人々が自分達の生活を守るために紛争が起きても不思議ではありません。それは上層の人だけが富むという、中世の身分制度が背景にありました。

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