《映画感想》幼女戦記 ファンタジーと銃の黄金比

2020年11月14日

あらすじ

 統一暦1926年。ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる、帝国軍第二〇三航空魔導大隊は、南方大陸にて共和国軍残党を相手取る戦役を征す。凱旋休暇を期待していた彼らだが、本国で待ち受けていたのは、参謀本部の特命であった。曰く、『連邦国境付近にて、大規模動員の兆しあり』。新たな巨人の目覚めを前に、なりふり構わぬ帝国軍は、自ずと戦火を拡大してゆく……時を同じく、連邦内部に連合王国主導の多国籍義勇軍が足を踏み入れる。敵の敵は、親愛なる友。国家理性に導かれ、数奇な運命をたどる彼らの中には、一人の少女がいた。メアリー・スー准尉。父を殺した帝国に対する正義を求め、彼女は銃を取る。 ©カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/劇場版幼女戦記製作委員会

幼女戦記

物語の面白さ(印象に残った変化)

・最前線をつねに要望してきた主人公ターニャが、最前線以外への転属を希望する……変化が素晴らしい。

※と思ったら、これ映画だけしか見ていないため、主人公の動機をわかってないが故の感想ですね笑 このあとも世界観がわかっていないだろって感想あると思いますが、ご了承ください。

 

設定の面白さ(印象に残った設定)

・機械で実現していたことを魔法で実現している。

・改めて感じたことだが、戦中の話し方は、余計な言い回しがなくわかりやすい。

・「損害は軽微」といったことにより、さらに前線へ回される。戦果を正確に報告しないほうがよいと呟いたのは、リアリティがあった。

・戦争は嫌いだが、コミーを滅ぼさなければ個人の権利が侵害されるという時代背景。これは実際の戦争に基づいた動機であり、納得感がある。

・主人公を父の敵とする少女。魔法の才能に溢れ、主人公に立ちはだかるであろうことがわかる。父親の銃をつかって娘を撃つという行為……主人公の非道さが目立つ。

・メアリーの不死身設定は、うぜえと思ってしまった。まだ続く話だろうから、仕方ないのだろうけど。

 

展開の面白さ(印象に残った展開)

・冒頭で、空を飛ぶ魔法が当たり前の世界観を示し、方陣を使用することで強力な必殺技を放てることを示す。

・偵察部隊に飛ばされたが、それが最前線になる。これはご都合主義ではなく物語を進めるための必要な処置と感じた。

・上層部の意志が早いのが印象的。

・魔道士を認めないコミーが一方的にやられていき、負け続ける連邦軍は、物資が不足していく。連邦軍側の登場人物も描くことで、勝者と敗者の差、凄惨さが伝わってくる。旗を掲げられ国家を歌うことで敗者を精神的に蹂躙する展開は印象に残った。

※コミーが魔道士を認めないのは、主人公TUEEのためのご都合主義かと一瞬思ったが、個人の意志を尊重することなく人的資源をつぎこむコミーの作戦を見て、考えを改めた。魔道士がいたら上からの命令に一方的に従わせることはできないだろうから、魔法を封じて機械に頼るのは納得感がある。

・首都強襲。連邦軍の首都をことごとく破壊したことで、全世界に憎しみを撒き散らした。

・飲みの席で、体調不良といって席をはずす主人公。それをくんでみんなで羽目を外す。

・連邦軍への報告が、現場から同志へ報告される内容が180度異なるのは面白い。まさに独裁国家。

・主人公部隊が地政学的な要所であるティゲンホーフへ入り、連邦側は主人公に対する歪んだ感情からティゲンホーフを10個師団レベルの大軍団で目指す。魔法部隊がどんなに優れていても、人的資源を無尽蔵につぎ込むことで押すことができる。

 ティゲンホーフが地政学的な要所であることから、捨てて逃げることも出来ない、主人公を追い込むのに有効な展開と感じた。

・主人公側は優秀な魔法部隊なのだが、やはり物量は個人の才能を押しつぶすものなのだと感じる。天才対凡人の構図を物語に組み込むと、面白い。

・主人公対メアリーの戦いが、ザクマシンガン対ビームライフルの戦いに見えて面白かった。これはジオン軍を主人公にした一年戦争なのかもしれない。

・個人対集団の戦いをひたすら描いた後、組織の力ではなく個人芸で奮闘していては戦争に勝てないことを上申し、後方で自分が部隊運用と作戦機動を立て直すと提案するところが、面白い!

・そして、戦争を意志の問題だと言い切る閣下に、戦いを適切に終わらせなければ、そこに待つのは次の戦争への準備期間でしかないのでは?正しく勝たねばならないといって終わるところが、面白い。

・しかも本当に望んでいたのは、夢にまで見た平穏な日々だったというのが面白かった笑

 

言葉選びの面白さ(印象に残った言葉)

 感情に支配されt破滅の道を進んでいったのでしょう。
→軍人と正反対にあるもの

 世界は舞台だ。誰かが役割を演じなければならん。
→印象深いメタ発言。

 個人的な感情で戦争をしているのではない。
→軍人の言葉だが、ターニャも、世界という混沌の舞台で自分の意志によって行きたい道をつかもうと努力している。

 我らが祖国は何をした。何もしていない。奴らが我々の権利を侵害するならば、戦わねばならない。戦友諸君。自由のための闘争だ。
→被害者であり祖国のためであること。これは部下を高揚させる言葉。

 配られたカードを活用し、己の未来を掴み取る。それが人間の特権だ。人間の条件なのだ。
→いいメッセージ。ターニャは顔芸満載だったけど。

 

視聴後の感覚

 ファンタジー+銃の素晴らしい組み合わせでした。
ファンタジー世界で「魔法とは共存しない」?そもそも自体が……

 すごく好きです。転生ものの作品だと思いますが、神=存在Xを教会のマリア像とリンクさせることで、転生もの感をなくしていました。あの時代のヨーロッパなら信心深い人もいただろうし、神から啓示を受けたという人もいそうだから。

 天才対凡人の構図も良かったし、個人対物量の構図も納得ができた。「いかに天才でも疲れることはある」ため、人的リソースを無尽蔵につぎこまれたら、押されてしまう。逆をいえば天才と戦うためには、無尽蔵なリソースをつぎこめる政治体制を気づく必要がある、と気付かされました。
 戦争ものの映画として大変おすすめです。