《映画感想》タクシー・ドライバー

タクシードライバーとして働く帰還兵のトラビス。戦争で心に深い傷を負った彼は次第に孤独な人間へと変貌していく。汚れきった都会、ひとりの女への叶わぬ想い – そんな日々のフラストレーションが14歳の売春婦との出逢いをきっかけに、トラビスを過激な行動へと駆り立てる!!

ジョーカーがオマージュしているということで、Amazonプライムでタクシー・ドライバー見てみました。1976年の作品です。

見終わった後の感想は、ジョーカーよりは救いはあるなということでした。

このタクシー・ドライバーは、ベトナム戦争で精神を病んだ主人公が、社会に対する怒り、虚しさ、圧倒的な孤独感に身を焦がし、狂気の行動に出る映画。として認知されているかもしれません。

けれどもベトナム戦争をリアルに感じられない私は、そもそも一般に溶け込めない気の狂った人間が、息苦しさを感じながらも普通として生きていかなければならないのだという現実を描いた映画と感じました。

トラビスは作中でアメリカの現実に失望を感じ、銃を手に入れてどんどん気が大きくなり、最後大統領暗殺未遂の事件を起こし、ダウンタウンで売春を仕切っている男を殺害します。銃をぶっ放し血まみれになりながら娼婦を救うのです。

この狂った行動を起こした原因は、新聞記者の女性に振られたことです。

正直、それだけで!?と感じました。

もちろん社会に対する怒り、虚しさ、圧倒的な孤独感が、彼をおかしくしたのかもしれません。ですが私は、主人公トラビスはもとからおかしかったのではないかと感じます。

映画の前半でも、トラビスの狂気が描写されました。事実と作り話が半々な会話。毎日ポルノ映画を見て、女性とのデートでもポルノ映画を見ようとする倫理観の無さ。

そして気の狂った人間であれば、「自分に優しくしない彼女が嫌い」→「女が嫌い」→「社会が悪い」→「悪い社会をつくっているのは大統領、それを倒す俺はヒーロー」くらいの飛躍はするのでしょう。

ラストで彼の大統領暗殺は未遂に終わります。

稀代の英雄にはなれなかった。ですが血まみれになりながら娼婦を救い、ひとりの女性の英雄になることはできました(結婚とかはないです)。

傷ついたトラビスは、それでも日常に戻ってきます。

ここがジョーカーよりも救いのある部分です。

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物語として

明確に描かれているわけではありませんが、トラビスの心理として下記の変化があったのかなと私は感じました。一応人の心が変わっており、物語として成立しているのではないかと考えます。

怒り、虚しさ、圧倒的な孤独。黒人差別、不倫、悪徳と不正への憎悪。

人間なるようにしかならん。負け犬はどうにもならん。

個人的には救いようがないと感じる終わり方でしたが、世界を受け入れるという意味では天気の子のエンドに近いのかもしれません。

展開として

不正を称賛することでキャラクターを動かせるということを学びました。恐ろしい手段ですが、キャラクターを動かすのに称賛は非常に有効ですね。

※トラビスはコンビニで黒人を射殺した際、店長に感謝されます。人を殺して感謝された経験が、彼の過激な行動を後押ししました。不正が称賛される世界では、人は徐々に過激になっていくのでしょう。

テーマとして

最後は救いのある展開ではありましたが、結局の所作品のテーマは。

生きるに困らない金を持っていても、頭のおかしい人間は世界に居場所がない。

ということではないでしょうか。

途中で頭がおかしくなるのではなく、最初から頭のおかしいキャラクターだったからこそ、最後に日常に戻ってくるエンドだったのでしょう(ジョーカーは戻ってこなくなっちゃいましたが)。

まだ救いのあった1976年のタクシー・ドライバーと、救いのない2019年のジョーカーの対比は非常に面白いと感じます。過去の救いがある作品を、もっと過激な結末にすれば現代でウケるかもしれません。恐ろしいことですがそんなことを感じました。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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