「ミステリー」と「サスペンス」の定義、ミステリーとサスペンスの違いとは?

2023年9月4日

 本エントリーでは「ミステリー」作品と「サスペンス」作品について書きます。「ミステリー」は小説の一大ジャンルですが、定義はよく知らない人も多いのではないでしょうか。同時に、「サスペンス」についてもミステリーと似たイメージを持っているが違いはよくわからない人が多いのではないでしょうか。

 このエントリーではミステリーとサスペンスの定義を明らかにして、その違いを明確化することで、作家さんの物語づくりに役立つことを目標としています。

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ミステリーとは?ミステリーの定義

 「ミステリー(mystery)」は英語で「神秘・不思議・怪奇・謎」の他、推理小説(mystery story)を示します。

 ミステリー小説のポイントは、犯罪に関係する秘密が論理的に解明されていく過程に主眼をおいた小説であることです。読者も主人公も犯人が誰だか分からず、物語の中に謎をとくヒントが散りばめられていて、ストーリーの進行とともに謎を解いていきます。多くの場合、物語のラストで謎が解き明かされるシーンがクライマックスとなります。

■おすすめミステリー小説

 ここで着目してほしいのは、「神秘・不思議・怪奇・謎」という定義です。つまり、読者に「なぜ?」と思わせる要素は全てミステリー要素になるんですね。

 例えば「『Fate/stay night』でアーチャーの正体が誰なのか?」という謎に対する「それは未来の時代からやってきた英霊・エミヤで衛宮士郎の“未来の姿”だった」という答えや、「『Heaven’s Feel』のシナリオで衛宮士郎と両想いとなった間桐桜が「本当の自分」を知られたくないという思いをなぜ抱えているのか?」という謎に対する「間桐桜」の壮絶な過去。これらも十分ミステリーなわけです。

 本ブログでプロローグの書き方を紹介したときに、ポイントのひとつとして「続きが気になる終わり方」を書きました。

 ミステリーは「続きが気になる終わり方」の最たるものですよね。そう考えると、ラブコメだろうとバトルものであろうとミステリー要素を加えるのは、読者を惹きつける手段として最適です。あなたの作品にミステリー要素がない場合は、ぜひミステリーを加えてみてください。

サスペンスとは?サスペンスの定義

 「サスペンス(suspense)」とは英語で「宙ぶらりん」を示します。気がかり、不安な状態をさし、小説のなかでは、解決の糸口がつかめず読者をはらはらさせる緊張感のことをサスペンスと呼びます。

 サスペンス小説のポイントは、謎があるかどうかは関係なく、不安感や緊張感や恐怖心といった「感情・心理」に主眼をおいた小説であることです気がかりや不安を煽る要素を作品中に散りばめることで、読者に最後まで飽きさせず物語を読ませます。例えば、浦沢直樹先生の「20世紀少年」もサスペンスと呼べるでしょう。伏線を張り巡らせて、このあとどうなるの!?と読者に思わせる技術を一度身につけてしまえば、作品を量産しやすいスタイルです。

 

■おすすめサスペンス小説

・パニック・サスペンス

・サスペンスアクション

・リーガル・サスペンス

 その上でポイントだと感じるのは、サスペンスは急なたたみ方や投げっぱなしが許される点です。例えば刑事もののドラマで、犯人を探して追い詰めるところを主としており、犯人の動機や犯行のトリックは重視しない……これもサスペンスとして正解でしょう。島本先生の「新吼えろペン」で「天才は一番つまらない話を最終回に持っていく」という話があり、創作者の間でも話題になりました。連載が100回あるなら、99回は読者を楽しませて、最後の一回の幕引きだけは少しショボい……。これってサスペンス作品の最終形だと感じます。

ミステリーとサスペンスの違い

 ミステリーとサスペンスについてそれぞれ紹介しました。

 改めてミステリーとサスペンスの違いを明確化するとしたら、綺麗に収束することを目指すミステリーと、際限なく拡大することを目指すサスペンスになるでしょう。

 

ミステリーとは綺麗に収束することを目指す。主人公は強い。

 謎はあとで解き明かすためにあります。伏線はあとで回収するためにあります。謎が解けたときや、伏線が繋がったときの「アハ体験」がミステリーの最大の楽しさです。伏線が全て回収されて、謎が解決された物語は、それはもはや物語の着地点が見えている状態で、着地点にたどり着く(美しい物語)ですね。問題を解決するのは主人公が望ましく、その点で俺TUEEE作品などとも相性が良いですね。

※美しい物語の定義は以下のエントリーを参照ください。

・サスペンスとは際限なく拡大することを目指す。主人公は弱い。

 不安感や緊張感や恐怖心を拡大することがサスペンス作品の特徴です。1つの不安が解消されたら別の不安要素が生まれ、読者は永遠に不安から解消されません。ドラゴンボールなどのバトルアクションとの違いは、常に主人公が弱い立場にあるということでしょうか。主人公が死やそれに準ずるアンハッピーに見舞われるんじゃないか?というストーリーが一番不安を煽りますからね。そういう意味で俺TUEEE作品とは相性が悪いでしょう。

まとめ 

 このエントリーを書くきっかけになったのは以下のポストです。私もライトノベルにミステリ要素、それに似たサスペンス要素は当たり前のように入っていると考えています。ミステリー要素を加えて、読者に考える楽しみや解決したときの気持ちよさを味わってもらうのも良いですし。読者を楽しませるためにサスペンス要素を散りばめて物語に惹きつけていくのも、読んでもらう作品を書く上で重要な手段です。自分の作品にミステリー要素やサスペンス要素が加えられないかを一度考えてみると良いですね。

これあんまり同意してもらえないんだけど

うちの作品、ミステリー風なのがラノベとして珍しい的な評価をよく受けてるんだけど、作者的にすんごい違和感。だってライトノベルって、このくらいの謎解き要素、犯人探しはセットってくらい入ってるもんじゃないの?って。いやほんとにそうだった…よね??

だってスレイヤーズもオーフェンもゴクドーくんもフォーチュンも……「この事件の主犯は誰だ」ってのが各巻の主題で構成されてるイメージで…

ぼくのなかでライトノベルにミステリ要素(って言うほどのもんですら無いと思う)は、なんかもう、エロ漫画に裸が出てくるくらい当たり前のやつだった…

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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