創作ネタ | 物語の『つかみ』5つのアイデア

2019年9月24日

工事現場の音ではなかった。
ダカダカと鳴り止まない音が私の指先から響いてくる。
私は、キーボードを激しく叩きブログを書いていた。

こんにちは。
杞優橙佳です。

今回は小説の重要なポイントである『つかみ』について書いてみたいと思います。テレビは最初の5分で視聴者が番組を見るか決まるといいます。いまの時代、小説になろうでも最初の3行で読者が1話を読むかどうかが決まると考えていいでしょう。

私自身まだまだ勉強中ですが、こういうつかみを書くといいんじゃないか?というアイデアを5つピックアップしましたのでご紹介します。※プロローグからの引用だったり、第1話からの引用だったりとブレがありますが、そこはご了承ください。

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アイデア1 危機的な状況から始める

 世界は未曾有の危機を迎えていた。
 

エレメンシア大陸の西端の地オルヴェンスワンへ神が降臨して、どれだけの月日が経ったろうか。神は、『復元者――スピリットから物質を復元する能力を持つもの』を自らが造り出した傀儡だと評し、従え、勢力を拡大していた。オルヴェンスワンを制圧した神の軍勢は、勢いそのままにルクシオン、ヴィヴァリンへと歩を進め、これらの地域に住まう人間を殺戮し、人間と復元者の関係を破壊していった。

例えば一人称の物語で、刃を喉元につきつけられたところから物語が始まったりしますよね。危機的な状況っていうのは読者を引きつける力があると思います。

アイデア2 違和感を生み出しながら進める

「あなたは両親とは違うわね」
 傷んだ麻のシャツを纏った、素朴で穏やかそうな老婆だ。彼女は誹謗とも称賛ともとれる言葉を吐き、目の前の少年の頭を撫でた。頭を撫でられた15歳の少年は老婆の言葉を心から喜ぶように、無邪気な笑顔を浮かべていた。
 老婆は少年が自分のコントロール下にあると理解したのだろう。満足そうに頷くと、少年にお小遣いを渡すとその場を去った。

 お小遣いを受け取った少年。この少年こそが物語の主人公アイン・スタンスラインだ。少年は先程まで浮かべていた無邪気な笑顔を引っ込め、お小遣いをポケットに入れると、『神の山』へ続く森へと駆けた。

二面性のある少年、『神の山』、老婆のコントロール。不穏な単語が続きます。どういうこと?と思わせることが三人称のつかみの重要なポイントなので、読者に違和感を感じさせながら進めたいですね。

アイデア3 結末から書く

 アイン・スタンスラインの綺羅星のような成功物語の影に、独りの男の物語があったことを忘れてはならない。その男の名はケルト・シェイネン。後に世界の喜劇に終止符を打つ男だ。

喜劇に終止符を打つ?どうやって?こういう疑問を最初に抱かせるのもありだと思いました。大体物語は結末に至るまでのストーリーが語られるはずなので、最後まで興味を継続して読んでくれる効果もあるのではないかと。ただ、あまりに長い物語の場合、第1話の1文目とか忘れちゃうのであまり意味がないかもしれませんが。

アイデア4 現代の話で読者を巻き込む

 世界最強の国と言われてどこを思い出すだろうか。

 どれだけの面積を占めたかを国の強さとするならば、7つの海を制した大英帝国だろう。しかし大英帝国は多数の分散した地域を植民地として支配したのであり、これらの人々の意志を統一し尊重できていたのかは疑わしい。

小説家になろうで連載 パーフェクトホープ~狂気を呼ぶ悪魔と希望を抱く少女~

読者を世界に引き込むのは共感が大事だと考えています。異世界転生が流行っているのも、自分に馴染みのある展開からはじめて、何でもありのファンタジー世界に持っていけるからだと思っています。

異世界転生ではないファンタジーを描く場合は、読者の共感をいかにして掴むか。それが最初の重要な点になると思います。

アイデア5 視覚以外の五感をつかって始める

 細い指が、白い洗面ボールから透明な水を掬い上げる。
 手のひらに、ひんやりと冷たさが伝わってきた。
〈トゥ エレス バリエンテ〉
 独り言を呟いた彼女は、仮面をかぶるようにして水を顔に浴びせた。それから彼女はタオルで飛沫を拭い、目の前の鏡と向きあう。母親譲りの赤い髪に、父親譲りの垂れ目。

村上春樹の限りなく透明に近いブルーの書き出し、飛行機の音ではなかった。も視覚以外の’五感を使ったものですよね。視覚を使った表現で書くと、読者にわかった感をもたせてしまう可能性があるので、触覚とか嗅覚とか聴覚を使った表現から入ってみると視聴者も集中しないとと思って文章に注目してくれるかもしれません。

まとめ

本エントリでは、つかみについて5つのアイデアをご紹介しました。

アイデア1 危機的な状況から始める
→主人公のピンチ。世界のピンチ。世界が崩壊。誰かが死んだなど。

アイデア2 違和感を生み出しながら進める
→子供なのに裏がある?会話が噛み合っていない?空に島が浮いている、空から手が伸びているなど。

アイデア3 結末から書く
→この男は何をした男だ。なぜそうしたかといえば――という帰納法。
 プレゼンテーションでも使われそうです。

アイデア4 現代の話で読者を巻き込む
→タピオカミルクティやナイトプールパシャパシャ、僕は腹筋崩壊太郎など。
 読者にとって身近な話題で惹きつける方法。疑問形だとより惹きつけられる。

アイデア5 視覚以外の五感をつかって始める
→手触り、鼻をつく匂い、まるで〇〇のような音、デスソースより辛いなど。

物語づくりの参考にしていただければ幸いです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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