顧客を想定して作品を書く | マーケティングから小説を作る重要性、その不審について

 本エントリーではマーケティングから小説を考えることについて書きます。

 このエントリーを書くきっかけは、キャラクターやシナリオ、世界観の前段階で設定する「執筆時の確認要項10つ」を、こぴーらいたー風倉さんがポストしていたことです。

◆大前提部分
・執筆動機
・ログライン(で、要するにどんな話?)
・満足させたいターゲット層(+あればサブターゲット)
・ターゲットに何を提供して、満足してもらう予定か(ターゲットはどんな願望をもち、不満をもってるか)
・ターゲットに味わわせたいメイン感情(+あればサブ感情)
・ターゲットに味あわせたくない感情(作品のタブー)
 ・完結時に与えたい読後感(優先度低)
・物語のざっくり空気感(シリアスかコメディかとか)
・理想展開規模(国民的アニメ目指すとか、日間上位でいいとか)
・ざっくり想定文字数と、その上限(推定、本3冊とか、無限に書きたいとか)
・作品テーマ(ターゲットに共鳴・共感・同意してほしい価値観)

 私たち作家は通常、自分が何を書きたいのか?からはじめがちです。

 しかし上記の視点はどれもターゲット視点(顧客視点)となっており、自分の外に目線を広げたマーケットインの考え方になっています。

 

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「マーケットイン(=顧客を想定して作品を書く)」とは

マーケットインとは、マーケティング用語で顧客(市場)の立場に寄り添いながら、顧客が必要とするモノを提供していく姿勢をさします。

言い換えれば、あらかじめ顧客のニーズを調査したうえで、これに沿った製品を開発・提供していこうという考え方です。

顧客が本当に求めているモノを開発し、提供することを重視している点に特徴があります。

 マーケットインという考え方は、食品や家電などの開発に利用されています。顧客を想定して、そこに刺さる製品を作っていくやり方ですね。

 私たち作家は「面白い作品を作れば読者は認めてくれる」「なんで作家が読者にあわせて作品を作らなきゃあかんねん」と傲慢に考えてしまいがちです。趣味で小説を書く上ではそれで全く問題ないですし、自分の感情を表現することで自分がスッキリしたい願望もあるでしょうから、傲慢さも一つの個性として必要なのは間違いない。

 ですが、「面白い作品を作れば読者は認めてくれる」「なんで作家が読者にあわせて作品を作らなきゃあかんねん」と考えて作品を作るというのは、どこに的があるかわからないままマシンガンをあたり一帯に撃っている状況なわけですね。たまたまそこにヒットする読者がいれば心を撃ち抜けるけど、大半は無駄玉になります。

 無駄玉を減らして、最小限の努力で最大限の反応を得たいのであれば、マーケットインの考え方で顧客を想定して、顧客に向けて作品を撃ち込むのが良い方法なのです。

 

「作品に一貫性をもたせて高品質を保つ」重要性

 マーケットインで作品を作る強みは、風倉さんも仰っていますが「作品に一貫性をもたせて高品質を保つ」ことです。

 個人作家が自分の書きたいことを好きに書くと、作品の一貫性が失われる可能性が高いです。

 例えばNHKのアニメにでてきそうな「人のいい」「人助け」を信条としている主人公が、「簡単に悪人を殺す」シーンを書いてしまうなどです。

 このとき読者は「あれ?この作品は子供に見せられる作品だと思ったけど、裏切られた」と感じるでしょう。なぜ作家が上記のような展開を書いてしまうかというと、作品を書いてる途中で「悪人を生かすのが面倒」になったり「悪人に本気で苛ついてしまった」りするからでしょう。そして作家は、「人間の感情は複雑なので人のいいキャラクターが悪人を殺すのは仕方ない」と、言い訳をし始めます。作家はそれで良いのかもしれませんが、読者は作品に一貫性を感じられず、離れてしまいます。

 「作品に一貫性をもたせて高品質を保つ」のは、読者を引き止める上でも重要なポイントです。

 作家が自分の好き勝手に書くと一貫性が失われるのは当たり前です。そもそも人間に一貫性なんてありませんよね(感情が高ぶるときも沈むときもあるわけで)。一貫性を持ったキャラクターというのは創作でしかない。それを理解した上で、自分の書きたいことを抑えて自分を殺して、一貫性のあるキャラクターを書くのが大事です。そして一貫性を保つために冒頭で紹介した大前提……中でも以下の7つは決めておき、行き先を示す羅針盤として机の隅にでも貼っとくのが良いですね。

・満足させたいターゲット層(+あればサブターゲット)
・ターゲットに何を提供して、満足してもらう予定か(ターゲットはどんな願望をもち、不満をもってるか)
・ターゲットに味わわせたいメイン感情(+あればサブ感情)
・ターゲットに味あわせたくない感情(作品のタブー)
・物語のざっくり空気感(シリアスかコメディかとか)
・理想展開規模(国民的アニメ目指すとか、日間上位でいいとか)
・作品テーマ(ターゲットに共鳴・共感・同意してほしい価値観)

 展開に悩んだときは上の7つの方針に従い、展開を決定しましょう。

 

顧客を想定して作品を書く、ことに対する不審

 ここまで「顧客を想定して作品を書く」ことで無駄玉を減らせるだとか、「作品に一貫性をもたせて高品質を保つ」重要性だとかを書きました。

 しかし、自分の書きたいことを抑えて自分を殺して、顧客に向けて作品を作って本当に成果が出るのか?は、めちゃくちゃ疑わしいですよね。だから個人作家はほとんどこれできないと感じます(成功体験がないからです)。本業で商品開発等に関わってマーケットインの考え方で成功している人は、効果を実感しているのでやりやすいでしょうけれど。

 また、そもそも個人作家の感性は通常の人と異なり、顧客を掴みきれない可能性もあります。もしマーケットインの考え方で作品を作ってみたい場合は、作家コミュニティなどに参加して、他の人の意見を聞くのが重要になりますね。

 一度、成功体験を得ると、長続きすると思います(書籍化作家が2回、3回とヒットを飛ばせるのはマーケットインの有効性を感じられるためでしょう)ので、最初の一回はコミュニティの力を借りてみましょう。今だとやはり、BB小説家コミュニティがオススメですね。

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ここまで読んで頂きありがとうございました。
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