悲劇の作り方「仕掛けられた罠」

 華麗なるギャツビーが、Amazon primeで配信されていたので視聴しました(宝塚でも7月16日からミュージカルするのですね)。

 私はこの映画を初めてみたのですが、視聴後はギャツビーの歩んだ悲劇に心が痛くなりました。舞台となる1920年代は学歴と生まれが重視されていた時代のようで、現代よりも上流と下級の階級差が大きかったのだろうと感じます。

 ただ、この悲劇の真実を語り部のニックが「華麗なるギャツビーの物語」として書き下ろしたことで、今後真実が全世界に届いていくと信じられたことは、救いでした。

 物語の類型でいえば絶望型の物語なのですが、最後に救いを残す描き方がとても上手でした。※ミュージカルではどう締めくくられるのかは気になりますね。

 さて、本エントリーのテーマは華麗なるギャツビーの物語で、ギャツビーが仕掛けられた罠について書きます。

 善人にどうやって罪をなすりつけるかという暗いテーマです笑 

 ただ、物語を書くうえではこういった手法は必要です。作者が善人であればあるほど、こういった悪い企みを思いつくことが出来ず、悪人を小物に書いてしまいます。華麗なるギャツビーでトムがギャツビーに行った擦りつけについて説明します。

悲劇に必要なパーツ

 まずは悲劇に必要なパーツとなる登場人物を紹介します。

 ギャツビー: 貧民の生まれだが、理想をなんとしても掴もうと強く夢みる青年。デイジーのことを愛し、共にいきたいと願っている。デイジーがお金持ちを好きだとわかってからは、ギャングとのいかがわしいやり取りなどを行い、富を蓄える。

 デイジー: トムの妻。昔ギャツビーと付き合っていた。ギャツビーから『ひとかどの男になるまで結婚は待ってほしい』と伝えられたが、富豪のトムと結婚する。しかしトムとの結婚生活に満足していない中で、ギャツビーから愛を語られ、揺らぐ。

 トム: デイジーの夫。上流階級出身でアメリカ有数の富豪。マートルを愛人にしているが、マートルは下流階層の女性であり、バレたくないと考えている。

 マートル: ジョージの妻だがトムと浮気をしている。ジョージに不穏な気配を察知され、引っ越しすることが決まった。トムにどこかへ連れて行ってもらいたいと願っている。

 ジョージ: ガソリンスタンドの店員。マートルの夫。うだつの上がらないDV夫。浮気をめぐりマートルと争った。

悲劇の小道具

 次にこの悲劇の小道具として、車がある。悲劇の起きた日、トムはギャツビーとデイジーがどこかにいなくなることを懸念してか、車の交換を提案する。つまり当日、ギャツビーがトムの車に乗っており、トムがギャツビーの車に乗っていた。

 また、この日デイジーは精神的に不安定となっており、気晴らしのために車を運転したいと願った。車の搭乗者と運転手は下記となる。

トムの車: 運転手デイジー、ギャツビー

ギャツビーの車: 運転手トム、他2名(語り部のニックを含む)

起きた悲劇

 夜のことです。トムの車で道路をかっ飛ばすデイジーの前に、トムが自分を迎えに来たと取り違えたマートルが飛び出し、撥ねられて命を落とします。

 マートルの死を知った後、トムはジョージに、車はギャツビーの所有物であり、ギャツビーがマートルの恋人だったのではと告げます。ジョージは怒りの矛先をギャツビーに向け、拳銃でギャツビーを撃ち殺してしまいます。

 さらにトムはデイジーと口裏を合わせ、車の運転手がデイジーであったことを伏せ、マートルを轢き殺したのはギャツビーということにしました。

 まさに死者に口なし。ギャツビーが貧民出身であること、ギャングと取引があったことも明らかにされました。貧困層同士仲良くマートルと浮気していたことにされ、都合が悪くなったので殺したことにされました。

 語り部のニックはこれら全てを知っていました。ニックがギャツビーに最後に言った言葉を思い出します。「あいつらは最低だ。みんな合わさったって、君ひとりの方がよっぽど価値がある」

 

悲劇の解説

 この物語の悲劇は、ギャツビーが反論することすらできない状態に追いやられると同時に、彼の積み上げてきた頑張りや名誉を根こそぎ奪ったことです。

 そして、その悲劇はデイジーとトムの保身が作り出したものです。マートルを轢き殺した後も、ギャツビーはデイジーを犯罪者にしたくないと思い、車を洗っていました。しかしデイジーはギャツビーのほうを見ておらず、トムとともに保身に走りました。

 悪が都合良く生き残り、何かをつかもうと必死で努力してきた人間から全てを奪ったということです。

 この悲劇のシナリオを抽象化すると下記のようになります。

 ・主人公が何かのために頑張る→途中で品行の悪いライバルが登場する→主人公の求める何かが、犯罪など社会的に間違ったことをする。そしてライバルと結託して罪を主人公のせいにする→主人公は口のきけない場所に追いやられる。

 この抽象化したストーリーに沿って物語を考案するとしたら例えば…

・主人公が小説グランプリのために頑張って作品を書く…主人公は夢と希望にあふれた物語を書く天才。途中で実力はないが金のあるライバルが登場する。小説グランプリの大賞はほぼ主人公で決まっていたが、授賞式発表前に事務所がパパ活などで未成年に対して犯罪を行う。小説グランプリ事務所とライバルは結託して主人公が企画したことにする。主人公は刑務所に入れられて拷問され夢と希望にあふれた物語を書けなくなる。

 

 といった風でしょうか。個人的にはかなり辛い悲劇に感じます。途中、主人公の取材に協力してくれた人たちが協力して助けてくれるとかにすると救いがありますね。

 みなさんも華麗なるギャツビーの悲劇のパターンを参考にしていただき、悲劇型の物語を書いてみてくださいね。

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ここまで読んで頂きありがとうございました。
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