「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」を反面教師にすべき2つの理由

 3月26日21時から、特別ドラマ「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」が放送されました。

 『圧倒的不利と言われた織田信長軍が今川義元の大軍を打ち破り、信長を一躍、戦国時代の覇者に押し上げた一戦「桶狭間の戦い」を題材にした時代劇』ということで、期待して視聴しました。あらすじは下記となります。

 1560年、清洲城。27歳の信長(市川さん)が「敦盛」を舞っていた。駿河の総大将・義元(三上さん)が織田家の領地・尾張を我が物にするべく、2万5000の大軍で進撃。今川軍の先鋒・松平元康(後の徳川家康/鈴鹿央士さん)は織田軍のとりで前で、采配を振る時を待っていた。

 信長は、翌日の早朝にたった5人の小姓を従えて清洲城から姿を消した。信長の生母・土田御前(黒木瞳さん)は今川軍を恐れて逃げたと言うが、濃姫(広瀬さん)は、信長は決して逃げたりはしないと言い切り、身を案じる。同じ頃、信長は木下藤吉郎(後の豊臣秀吉/中尾明慶さん)ら信用できる者たちを動かし、今川軍の情報を集め、義元が大高城へ向かうのではなく、織田軍と戦う構えで桶狭間に居ることを突き止める。

 その後、織田軍本陣に2000人の兵が集まる。織田軍2000、今川軍2万5000。信長はどのような戦略で、今川を打ち取るのか……。

https://mantan-web.jp/article/20210325dog00m200037000c.html

 市川海老蔵さんが信長、三上博史さんが今川義元、広瀬すずさんが信長の正妻・濃姫……竹中直人さんが堀田道空、北村一輝さんが織田信秀、味方良介さんが服部小平太、堀井新太さんが千秋季忠、松田龍平さんが柴田勝家、佐藤浩市さんが斎藤道三……。主題歌は宮本浩次のshining。

 いま見ても、ものすごい豪華メンバーの時代劇です。

 それでも、面白くなかった。

 ですが、反面教師にするのに、大変参考になるドラマだなと感じましたので、「面白くなかった」原因を考えてみました。

原因① 主人公が完璧すぎて、カタルシスがない

 市川海老蔵さんの信長は、完璧超人でした。
 というより、完璧すぎました。

 今川義元の進軍に家臣が慌てる中でも、落ち着いて、次の一手を考えます(天気が大雨に変わることを予測しているようにも思えました)。

 弟、信勝の逆心を見抜き、病気を語っておびき出し、討ち果たします(この前に柴田勝家が謀反を起こしているのですが、許します。まるで、信勝のそばでスパイとして活躍させるためのように、見えました)。

 殺陣においては、無双状態で、ついには今川義元をふたたちの元に切り捨てます。

 織田軍2000、今川軍2万5000という、戦力的大差にもかかわらず、今川義元の大群を目にして焦っている様子がなく、最後の勝ちまでの道筋が見えているようでした。視聴者としては、そりゃ……勝つね、という印象です。

 筋書きのあるドラマには、カタルシスを感じません。

 もちろん信長が勝つということは、皆わかっています。ですが、それはカタルシスを無くす理由になるでしょうか。

 カタルシスの定義は、「悲劇が観客の心に怖れと憐れみの感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果(アリストテレスが著書『詩学』中の悲劇論より)」となります。

 だとすると、『今川義元をもっと兄弟に描き、恐れの感情を呼び起こしたり。信長のまわりに不幸な出来事を起こして憐れみの感情を呼び起こしたりする』といった努力はできたはずですが、しなかった。

 カタルシスのないドラマでした。

 

 

原因② 時系列が前後し、本筋より長い回想シーンに没入感を奪われた

 本ドラマは、「桶狭間の戦い」を題材にしたドラマですが、途中で時系列が行き来します。

 ようは回想シーンが長いのです。

 例えば、松平元康が率いる三河勢が大高城に兵糧を運び入れるシーン。そのあとで家康と信長の幼少期の出会いが描かれます。

 例えば服部小平太役の味方良介さんが柴田勝家を見て、あんな謀反人の下で働きたくない、と考えるシーン。そのあとで柴田勝家が、過去どうやって信長を裏切り、どうやって許されたか……及び、信勝が信長に逆心を持ち、討ち果たすまでが描かれます。

 織田信長の軍勢が善照寺砦に集結してから、今川義元との決戦まで、回想シーンを中心に1時間以上かかりました。まだ、始まらないのか……いま、何の話をしているんだっけと思いかけました。トイレに行って戻ったら、過去の話をしていて、また善照寺砦にいる。なんで?と感じましたね。

 じっくり見ていても道筋を見失う……回想シーンの量でした。本筋1時間、回想シーン1.5時間くらいのボリュームじゃないでしょうか。

 小説でも、新しいキャラクターが登場させる際、回想シーンを使いたくなります。過去、主人公とどんな関係だったのかを手っ取り早く描けるからです。

 しかし本筋よりも過去編が長くなったら、それは構成力不足でしょう。

 ベルセルクのように、現在を描いて、過去編に飛んで過去編を時系列順に描くならいいんです。ですが、飛び飛びでは……視聴者はドラマへの没入感を奪われるだけです。

 残念ながら、キャストはよかったのに、シナリオで台無しになった作品と思います。

 

 

まとめ

 特別ドラマ「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」が面白くなかった原因を深堀りして、考えてみました。問題は大きく、②つです。

①主人公が完璧すぎて、カタルシスがない
②時系列が前後し、本筋より長い回想シーンに没入感を奪われた

 この①②は小説を書く上でも、反面教師となりますね。特に②の時系列については、意識が必要です。小説の基本は時系列どおり描くこと。それだけでずっとわかりやすくなります。物語ライフの参考になれば幸いです。 

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