シェアワールドとは?失敗例や、成功のためのヒント

2023年3月23日

 この記事では、創作におけるシェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースについて解説します。

  失敗例や成功のためのヒントも書いてあり、シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースを創りたいと考えているクリエイターさんにとって有益な記事になっています。

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シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースとは

 シェアワールドとは、複数の作家、イラストレーターによって物語の舞台や登場人物を共有し、創作を行うことです。

 シェアード・ワールド、シェアード・ユニバースとも言われます。

 例えばクトゥルフ神話は、作家ラヴクラフトの世界観を下地にした小説群のことで、シェアワールド作品の代表的な例です。
 また、SCP財団(2008年に開設された共同創作コミュニティサイト)も設定を共有しているのでシェアワールド作品です。

 神話も多くの語り手や伝え手によって全体像が形成されていますので、シェアワールド的です。宗教画は、まさにキリスト教や神話を下地にしたシェアワールド作品ですね。

シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースの魅力

 複数の作家、イラストレーターの化学反応により、ひとりでは想像できない部分を相互に埋められる点が魅力です。

 キャラクターひとつとっても「初代書き手が書いてない部分を、次の作者が埋める」ことで、作り手の創造したキャラが自分の意図を超えて深まっていくんですね。これってものすごい魅力です。

 以下のエントリーでも書きましたが、キャラ創作の本質は「超意図」にあると考えています。キャラクターを複数の目線で見ることで、そのキャラクターがひとつ上の次元で完成するんです。

 シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースの最大の魅力はここにあります。

シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースのダメなところ

 一方、シェアワールドにはダメなところもあります。

 以下のツイートが的を射ていますので紹介します。

 

シェアワールドのクソな所は
誰かが手塩にかけて育てたキャラや設定や関係が
その人の手から離れた瞬間に、普通になかった事にされる所よ
#アメコミで何度も見た光景

 これって、最大の魅力の裏返しなんですよね。せっかく作ったキャラクターを次の作者がないがしろにする……これをされると、そのキャラクターを作り出した人は落胆するし、好きになった読者も離れてしまいます。

シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースをの失敗例

 では、なぜこんな問題が起きるのでしょうか。

 ここでは5年ほど前からシェアワールド作りを試みている私の経験をもとに書いていきます。

※私のつくっているシェアワールドはこのページを参考にしてください。
 http://linkauter-chronicle-xceed.com

失敗例1.最強キャラをつくってしまう

 シェアワールドを作る上で最大の問題はこれです。複数の作家、イラストレーターが、自分のキャラクターを最強にしたいがゆえに、最強キャラをつくってしまうんですね。

 創造主のつくった世界の理をもぶっ壊せるようなキャラクターが出てくる場合もあります。複数人が最強キャラをつくって競い始めると、世界が崩壊します。このとき創造主がすべきことは1つです。最強キャラを上手く本編に取り込むこと(創造主のオリジナルに組み込み公式化すること)。

 できればマーブルシリーズのように、シーズン1はこのキャラクターを最強のボスにすると決めて創作すると良いですね。

失敗例2.シェアワールドのほかの作品と絡まない作品ばかりが増える

 シェアワールドの魅力は「キャラクターを複数の目線で見ることで、そのキャラクターがひとつ上の次元で完成する」ことと書きました。失敗例2.はこの魅力を妨げます。

 例えば創造主の設定した舞台の1000年前の物語を書く、ことです。メインのストーリーと一切絡まないので、せっかくのシェアワールドの魅力が活かせていません。シェアワールドの名前を借りた別の作品のようです。

 こういう作品が出てきた時、創造主がすべきことは、上記の物語を正史に組み込むことです。結局は公式化するということ。そのうえで、次に書いた作品で1000年前の出来事が引用されていたり、子孫が登場したりすると良いですね。

失敗例3. 創造主がサボる

 最大の失敗例はこれです。

 シェアワールドを作ろうとする人って、結構「サボりが多い」です。いわば「俺が舞台を用意するので魅力的な物語はそっちで書いて盛り上げて」という他力本願な人が多いんです。自分が物語を書けないから、誰かに書いてもらおうとするんです。

 でも、これは絶対NG。自分が創作しない人のシェアワールドなんて流行るわけないです。以下のツイートが重要なことを書いているのでシェアします。結局のところ「絶対的な権力者」がいないと存続しないんです。だから私は自分の作品を作り続けながら、シェアワールドを作ろうとしています。

シェアワールドは「皆で作る」ようにみえて最終的には「絶対的な権力者」がいないと存続は無理。
やる夫界隈でも何度もこの話立ち上がったけど、結局
「俺の考えた世界がベースになってほしい」の衝突で消滅した
残ったのは「あの大人気作の世界観だけかりた二次創作」的なシェアワールドのみ

まとめ:シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースを成功させるヒント

 最後にシェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースを成功させるヒントについて書きます。

 シェアワールドを構築する上で重要な概念は、複数作品の公式化、「絶対的な権力者」の存在だと見てきました。

 そういう意味では、成功させる方法はTRPGが参考になります。

 「TRPG」とは「テーブルトークRPG」の略語で、テーブルを囲んでトークして遊ぶロールプレイングゲームというアナログゲームのジャンルです。TRPGではゲームマスター(ルールによって呼称は変化)を務めるプレイヤーがルールを管理し、物語の進行役となります。他の参加者はプレイヤーとして自分のキャラクターを作成し、それを操ってゲームに参加します。

 つまり「絶対的な権力者」たるゲームマスターを不文律として、複数の人が自分のキャラクターの物語を紡いでいくのですね。これがシェアワールド成功のヒントです。

 例えばマーブルシリーズもそうです。マーブルシリーズの世界観こそ共有していますが、それぞれの映画は1人のキャラクターを主役にしてストーリーを展開します。「絶対的な権力者」たる世界観を不文律として、それぞれの監督が自分のキャラクターの物語を紡いでいますね。

 シェアワールド/シェアード・ワールド/シェアード・ユニバースを成功させる方法は、まさにこれです。「絶対的な権力者」たる世界観と、それぞれのキャラクターの物語の連携。これをできれば成功するはずです。

 ここまでわかっていてもシェアワールドが成功しにくいのは、クリエイターは誰もが自分を「絶対的な権力者」にしたいからです。(だからアニメ化などの圧倒的な実績を持つ一次創作がある上での、二次創作は成り立ちます。この世界観が好きだし、みんなもその世界観が好き……ここまでお膳立てされてようやく公式を絶対的な権力者として認めるんですね、クリエイターは)

 

 クリエイターを諦めさせる絶対的な実績が必要だとすると、シェアワールドなんてほぼ成り立たないじゃん……と感じますが、圧倒的な実績があれば別でしょう。シェアワールドを作ろうと考えている人は、ただただ実績を積み上げていくことが重要ですね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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