《映画感想》「かがみの孤城」現代版狼と七匹の子山羊

2022年12月28日

 「かがみの孤城」を見てきました。原作は小説で、漫画化もされています。中学生の悩みを題材にした作品で、絶海の弧城に集められた7人の子供たちや、主人公の周りの大人が優しく、最後はあたたかい気持ちになれる素敵な映画でした。

 それでいて、新しい視聴感を得られる映画でした。A-1 picturesはいい仕事しますね。

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あらすじ 同級生から受けた仕打ちが原因で不登校が続き、子供育成支援教室にも通えずに部屋に引き籠る生活を続けていた主人公の中学一年生の女の子・こころが、5月のある日、自室のが光り、その向こうに、城で自分と似た境遇を持つ中学生6人と出会い、彼らとともに冒険していく。

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特に新しいと感じた点

 特に新しいと感じたのは、叫ぶ演技がなく淡々と進む点です。私、アニメ映画の「気持ち悪さ」って、クライマックスで叫ぶキャラクターたちだと思っています。それこそ同じA-1 Picturesが2011年に制作したアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で、最後じんたん達がめんまみーつけた!と叫ぶシーン。

 感動シーンとして語り継がれていますが、私は当時からあのシーンに小っ恥ずかしさを感じていました。感動シーンは叫ばせればいいとか、涙こぼさせればいい…って訳じゃないと思うんですよね。

 その点「かがみの孤城」は、そういった御涙頂戴要素を徹底的に排除しているところが新しく感じました。淡々と、物語は進行していきます。それでも主人公のこころが学校に行くと決める場面や、アキを助ける場面で感動できました。声で感情をあらわさなくても、与えられる情報だけで人は泣けるんです。

中学生の悩みってこういうことだよな

 加えて印象に残ったのは、中学生ならではの悩みが描かれていたことです。中学生にとだては学校がまだ社会のすべてで、学校に居場所を失った子どもたちは、たとえ家族が味方になってくれたとしても、最後には戦いの場として学校に戻っていくところがリアルです。中学生の悩みってでも、そういうことですよね。

7つの並行ストーリー 

 この作品は狼と7匹の子羊をテーマにしています。7人の子供たちの物語が並行して進められ、それによって視聴者は物語から目を離せませんでした。

 作家としては、この作品で示された7人の中学生の悩みを今後のネタにするためにメモしておきたいです。以下、ネタバレありですが、登場人物の悩みをメモしておきます。

親が味方のキャラクター

こころ/安西こころ 同級生からのいじめが悩み。活発なクラスメートから敵視されて、嫌がらせされる。クラスメートの差金で、昔こころを好きだった男の子から、嘘の告白をされる。新しく友達になれそうだった萌をとられた(と思い込む)。家に押しかけられてクラスメートの失恋の原因がお前だと言われ、開けろと脅される。

ウレシノ/嬉野 遥 友達からパシリにされても、パシらされてると気づかない鈍感。落ち着きがなく、少しズレていて、すぐに女の子を好きになる男の子。いじられキャラだけど本音はいじられて馬鹿にされるのが嫌。

マサムネ/政宗 青澄 ゲームオタク。ゲーム会社の社長と友達と言って回り、ホラ吹きといわれてハブられる

親が敵のキャラクター

スバル/長久 昴 おそらく親を失って叔父さんにひきとられた。詰将棋が好きだったりゲームにハマる素養があったり、実は他とは違うだけで優秀な子。

フウカ/長谷川 風歌 親からの過度な期待と、それに応えられなかったことが悩み。親の指導で友達よりもピアノを優先し、学校でハブられる。

アキ井上 晶子 おばあちゃん子。親からのDVがある。DVから守ってくれたおばあちゃんを失い、学校にも家にも居場所がなくなる。勉強もできない。最後はキタジマアキコになる。

姉弟が味方のキャラクター

リオン水守 理音 姉を早くに亡くし、おそらく姉と同じ学校に通わせたくない(姉を思い出すため)両親により、ハワイの学校に留学させられる。姉と一緒に学校に通いたいと願う子ども。かがみの孤城が昔オルゴールを飾ったドールハウスだと気づくし、最後は記憶を失うというルールを逸脱した存在に(なったようにみえる)子ども。

 以上、中学生ならではの身近な悩みの題材が詰まっていました。もし小説で中学生の悩みを書くなら、こういった過去を背負わせるのもありかもしれません。(重いですけど……)

最後に

 この物語は、7人がお城に集められる(招集)→ルール策定(願いが叶う得と、9時〜17時しかいられない、鍵を使ったら記憶が消える罰)→ルール破り→救い と展開していく物語でした。この雛形は他の物語にも流用できます。

 また、同じ街に住む、別の時間帯を生きる、共通の悩みや過去を持った仲間が、EDでまた出会える展開っていいですね。スタッフロールが流れたときが一番感動しました。素晴らしい作品ですから、ぜひ映画館で見てみてください。

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Posted by QTK