「アイデアとは複数の問題を一気に解決するものだ」
「アイデアとは複数の問題を一気に解決するものだ」
これは任天堂、宮本茂さんの名言です。宮本茂さんは任天堂のゲームプロデューサーで 『ドンキーコングシリー ズ』や『スーパーマリオシリーズ』の生みの親として知られる人です。
この言葉は、2007年8月3日の「ほぼ日刊イトイ新聞」で当時、任天堂の社長だった岩田聡さんが、発行者の糸井重里さんに、宮本茂さんの名言として紹介したものです。その記事を読んで多くのクリエイターが膝をたたきました。岩田聡さんは宮本茂さんのアイデアについての考え方について、こうも述べています。
問題となっている事象の根源を辿っていくと、
いくつもの別の症状に見える問題が
じつは根っこでつながってることがあったり、
ひとつを変えると、
一見つながりが見えなかった
別のところにも影響があって、
いろんな問題がいっしょになくなったりする。
そういうふうに、ひとつのアイデアが
いろんな問題をいっぺんに解決して、
全体を一気に見渡せたそのときに、
宮本さんは「わかったよ」って、
人に電話をかけたくなるんでしょうね。
この岩田聡さんの言葉は非常にわかりやすいです。
例えばウマ娘における「競争馬を擬人化するというアイデア」もそうですよね。
このアイデアによって、「それぞれが主人公をできるような、魅力的なキャラクターを大量に作り出し」、「メディアミックスにおいては競馬……だけでなく陸上競技の面白さをドラマチックに伝えることができ」、「超長距離を全力で走ることで人間離れした走りの表現を行うことができ(だからこそドラゴンボールやキン肉マンのような超能力バトル漫画として読め)」、「現実の陸上スポーツ漫画ならこうでしょ?というメンタルブロックを外して、画一的なユニフォームではなく多彩なコスチュームを描くことができ」ました。
結果としてスピンオフコミックの「ウマ娘 シンデレラグレイ」は、競馬好きだけでなく、スポ根漫画好きにもおすすめできる作品になりました。
また、リコリス・リコイルにおける「JKの制服は都会の迷彩服」というアイデアもそうです。
これによって学校を使わなくてもJKの制服をキャラクターに着せることができ、主人公2人が別カラーの制服を着ても違和感がなく、日本で暗躍するリコリスがばれない(制服を着ていないときは銃を撃てないという設定が、銃を使える理由にもなっている)理由づけにもなっていました。
良いアイデアの出し方ヒント
では意図的にこういった良いアイデアを生み出すにはどうすれば良いでしょうか? 答えは複数の問題を同時に考えることでしょう。
このとき、問題は多ければ多いほどよいはずです。岩田聡さんの語ったとおり「いくつもの別の症状に見える問題がじつは根っこでつながってる」と考え、たった一つで複数の問題を解決できる方法はないかを思考する。するとアルキメデスが「アルキメデスの法則(浮力)」を発見したときのように、ふとしたきっかけで、アイデアが浮かぶときがくるのでしょう。
そして物語作成における問題とは、作家の中にある「〇〇な作品を書きたい」「△△の展開を書きたい」という欲求です。心あたたまるハートフルストーリーを書きたい……だけど主要キャラクターが死ぬのが好き……この一見対立する2つの欲求を満たすアイデアはないか?それを日々考えていると、主要キャラクターが死んでも心温まるストーリーを描くアイデアが浮かぶときがくるはずです。
作家の中にある「〇〇な作品を書きたい」「△△の展開を書きたい」という欲求を大事にして、画期的なアイデアを生み出し、作品を彩りましょう、
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