負の世界の住人はクリエイターとして成功できるか?

 佐藤二朗さんを知っていますか?

 鎌倉殿の13人で比企能員(ひき・よしかず)役を務めている役者さんです。NHKの番組によく出演されていて、最近では歴史探偵の所長としても出演されています。最近、佐藤二朗さんの演技が好きです。それがなぜなのかを考えました。

 理由は佐藤二朗さんが本質的に負の世界側の人間だからでしょう。これは佐藤二朗さんのインタビュー記事でご本人がおっしゃっていました。

 佐藤さんはコミカルなイメージが強いんだから、コメディを書けばいいのに」って言われます。でも、僕にライトなコメディは書けないんです。それは、僕が本質的に負の世界側の人間だからでしょう。どうしても、机に向かうと負の世界を書きたくなってしまうんです。というわけで、今書いている映画脚本も思いっきり「負の世界全開」です。

 ただし、僕はコメディとシリアスを分けるのはナンセンスだと思っています。人間のほとんどは両方の要素を持っていると思うし、シリアス過ぎて、それが逆に笑いを誘うなんていうことも多いでしょ。だから、どちらの役も平等に好物だし(笑)、バラエティ番組の司会の仕事も勉強になる。

俳優・佐藤二朗が、コメディではなく、負の世界を描いてしまう理由

 佐藤二朗さんのいう負の世界とは、俳優になりたい夢を抱えながらリクルートに就職して1日で退職、その後劇団を転々として「俳優への適性がない」と広告大地点に再就職。それでも俳優業を諦めきれず劇団ユニットを立ち上げて、兼業で俳優活動を続けた20代の苦しい日々のことでしょう。

 しかしその結果、「佐藤二朗の演技は佐藤二朗にしかできない」と役者仲間から言われるほどの個性を作り上げました。

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負の世界を知ってしまったからこそ正の世界を見られる

 光があるから影ができるという言葉があります。光のない世界では、誰にとっても世の中は真っ暗で平等です。しかし一度光が差し込むと、世界は光の当たる場所と影になる場所が生まれます。

 人も同じで正の世界(成功者の世界)があるから、正と比べて自分は負の世界の住人だと感じる。

 佐藤二朗さんは、この負の世界から正の世界に手を伸ばした人なのでしょう。

 正の世界に生きる人達は、わざわざ負の世界を見に行きません。しかし負の世界に生きる人達は、負の世界の負の要因を全身に感じながら、正の世界に手をのばします。佐藤二朗さんは「“負”を抱えた人間が、負の要因を抱えながらも、明日も生きていこうとか、5ミリでもいいから先に進もうとする話にドラマを感じる。だからそういう話を書きたい」と語っています。

「みんな何らかの“負”を抱えているでしょう。その負って、第三者が取り払ってくれるわけじゃない。急に明日、消えるわけでもない。僕はその“負”を抱えた人間が、負の要因を抱えながらも、明日も生きていこうとか、5ミリでもいいから先に進もうとする話にドラマを感じる。理屈ではなく、僕がグッとくるから、今回もそういう話を書きたいと思いました」

ーー抜け出したくても抜け出せない状況で、どう前を見るか。過去のインタビューでは、下積み時代の20代について「心がボロボロだった」と答えているが、その経験も影響している?

「暗黒の20代ね(笑)。二度と戻りたくはないです。でも、その経験が肥やしになっていたり、そのときの出会いで今も大事にしている人たちもいる。そういう意味では重要だったけど、本当にキツかった。あまり意識はしていないけど、映画で僕が表現したいことに影響しているかもしれないですね」

佐藤二朗「みんな何かしらの“負”を抱えてる」暗黒の20代を超えたいま、表現したいこと

負の世界の住人であることはハンデじゃない

 私は、完全な正の世界(成功者の世界)だけを歩んで小説家になる人って少数だと思います。

 好奇心の塊で、知識を吸収することが楽しくて、表現することが楽しくて、周りの目なんてさっぱり気にならなくて、ポジティブな人しか周りにいなくて、楽しみ続けた果てに小説家になる……なんてどれだけの確率でしょう。

 多くの人は、例えば運動が苦手だから小説家を目指したり、漫画を書きたいけど挫折して小説家を目指したり、自分の面白いという感覚と世間一般の面白いという感覚が違いすぎて矯正したり、何かしらの負の世界を経験しながら生きているのではないでしょうか。

 そして完全な正の世界(成功者の世界)だけを歩んで小説家になる人を羨ましいと見ている。

 ですが、この姿勢は間違っています。負の世界の住人であることはハンデじゃありません。負の世界を経験しているから、光の世界が余計に眩しく見えるんです。実際よりも眩しく。だけど正の世界だけにいた人は、正の世界の眩しさを知らない。それでは負の世界の住人に叶いっこないですよ。

負の世界の住人にとって大事なこと

 負の世界の住人にとって大事なことは、負の世界を変に正当化しないことです。

 人生は辛いもので、最後は必ずバッドエンドになるものだ……などと斜に構えて失敗続きの自分の人生の経験を正当化してバッドエンドを書かない正直私自身、負の世界を正当化してバッドエンドを好んで書いていた時期があります。読んでいて、楽しいよりも辛いが上回るような作品を書いていた時代があります。

 しかし、負の世界の住人が自分の経験を正当化しても、それは囚人が鎖を自慢しているようなもの。
 自分を負の世界の住人だと認め、正の世界に負けを認めて、素直にあこがれる。これだけでも変わります。影に包まれた世界から、光の世界を見るのは眩しすぎて辛いです。それでも眩しい世界を見続けて、そこに手を伸ばしていくことが成功のコツだと信じます。

 ただし、素直に負けを認められるまでには長い時間がかかります。私も30代になってできるようになりました。そこからが勝負です、やめなければ必ずチャンスは広がっています。実際、読んでいて楽しいライトノベルの作家さんが30代や40代の人で驚くことがありますよね。あれはきっと、負の世界の住人だと思います。笑
 

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