レリクス(聖遺物)について詳しく解説!ファンタジー小説の設定に使おう!

 「レリクス(聖遺物)」は、ファンタジー小説に「神秘的な力」を付与したいときに重宝します。聖遺物の知識を少し加えるだけでも、「奇跡の力」を表現するときの説得力は、格段にアップするでしょう。

 本記事では、聖遺物の意味や、世界に点在する巡礼地との関係性について詳しく解説します。本記事を読んで、ファンタジー小説の世界観を設定する際の参考にしてくださいね。

レリクス(聖遺物)とは?

 「レリクス」は、日本語では「聖遺物」と呼ばれ、神や聖者の「遺骸の一部」や「遺品」のことを指します。聖遺物に触れたり、拝んだりすることで、「神秘的な力」によって奇跡が起こると信じられていました。

 聖遺物が登場する物語として、有名な叙事詩に「ローランの歌」があります。「ローランの歌」は、中世フランスで生まれた騎士道物語です。

 主人公のローランが使う愛剣「デュランダル」は、「決して砕けない」という「聖なる力」を宿しています。それを可能にしているのが、「デュランダル」の柄に埋め込まれた、いくつかの聖遺物(聖母マリアの衣服の断片、ペテロの歯、聖人の血や毛髪など)です。

 他にも聖遺物には、「病気や怪我の治癒」「災厄からの守護」「国の平和を守る力」があるとされています。また、聖遺物にかけての誓いは非常に重く、この誓いを破ることは、「神罰が下る」と信じられていました。

 そんな「神聖な力」を宿すとされる聖人の「遺骸」や「遺品」は、奪い合いが起こることも多々あったそうです。教会同士の闘争の記録が、教会の書物に残されています。

 その内容が事実だとすれば、聖人の遺骸をバラバラにしたり、偽物を作ったりと、かなりグロテスクで狡猾な行為が、実際に行われていたことになります。

 また、キリスト教以外の宗教においても、「聖遺物」と呼ばれるものは存在します(キリスト教の聖遺物が最も貴重とされている)。例えば仏教における塔も、元々は「仏舎利」を入れておく場所です。

 仏舎利とは、「仏陀(ブッダ)の骨の欠片」を指します。なぜ「骨」を信仰の対象にしているのかと言うと、仏陀は火葬されたからです。面白いことに、世界中の仏教寺院に存在する仏舎利を全部集めると、仏陀の身長は10メートルになるんだとか。キリスト教と同じように、何らかの偽物が紛れ込んでいるのかもしれませんね。

レリクス(聖遺物)が作られた理由

 「聖遺物」が作られた理由は、「聖人信仰のため」と言われています。つまり、「何に対して信仰(典礼)すればいいのか?」を分かりやすくするために、聖遺物を「聖人の象徴」として利用したのです。

 例えば、キリスト教のカトリック教会では、「イエス・キリスト」「聖母マリア」「その他の聖人」などを信仰の対象とします。ただし、「イエス・キリスト」や「聖母マリア」は、すでにこの世に存在しません。仮に「生存している聖人」を信仰の対象とするにしても、彼らはもちろん移動しますし、やがては死んでしまいます。

 そんなときに、「聖人の遺物」つまり「聖遺物」が身近な場所に安置されていれば、より分かりやすく、信徒が「信仰すべき存在」を実感しやすくなるのです。

 また、信徒を統べる教会側からしても、「分かりやすい信仰の対象(聖遺物)」があれば、信徒の統制がより楽に行えるでしょう。

 ただし、プロテスタント教会では「聖遺物」を所持していません。その理由は、「偶像を造ってはいけない」という、聖書の言葉を大切にしているからです。そもそもプロテスタント教会では、「聖人崇拝」が禁止のため、「聖遺物」は必要ないとも言えます。

レリクス(聖遺物)と巡礼地

ベルギーには、有名な巡礼地がいくつもあります。巡礼地とは、「(宗教上)神聖な場所として巡礼者が訪れる地」のことを指します。

 例えばベルギーの巡礼地の1つである「ゲール」は、中世から「精神病者の巡礼地」として有名です。他にも「ニノベ」や「ロンセ」と言った巡礼地があり、その目的の1つに「聖遺物のお参り」があります。また聖遺物には、触れたり近づいたりするだけで、「病気が治癒する」という考え方がありました。実際、当時の文献にはそうした記述があり、巡礼地の教会などに、そうした書物が残されていることが通例です。

キリスト教におけるレリクス(聖遺物)

  レリクス(聖遺物)は、キリスト教をファンタジー小説に取り入れるなら重要な要素になります。特にイエス・キリストの処刑に関わる聖遺物は、数も豊富なため、リアルな世界観の設定に役立つでしょう。

  本記事では、そんな聖遺物の種類について詳しく解説します。聖遺物と関わりのある有名作品の紹介もありますので、ぜひ最後までご覧ください!

キリスト教におけるレリクス(聖遺物)の種類とは?

 キリスト教におけるレリクスは神や聖者の「遺体の一部」や「遺品」を指します。聖遺物の種類を下の表にまとめましたので、ファンタジー小説の世界観の設定にお使いください。

聖遺物説明
自印聖像(Image of Edessa)重病を患っていたエデッサの王・アウガリは、「キリストの奇跡が多くの病を癒した」という噂を聞き、キリストの元へ人を派遣する。しかしキリストは、自らの受難を知っていたので、同行を断る。そんなキリストが、洗顔時に使った布に、自らの顔が転写されていることに気付く。キリストはそれを王に渡し、受け取った王は喜ぶ。その顔を見た王の病はすぐに治ってしまう。現在の所在は不明。
オビエドの聖顔布(Sudarium of Oviedo)キリストの死後、その顔を包んだとされる手拭い(スダリオ)のこと。「ヨハネの福音書」20章6~7節に、そのことに関する記述がある。スペインのオビエドに保管されているため、この名前が付いた。
聖骸布(Holy Shroud)磔にされたキリストの遺体を包んだとされる布のこと。現在、イタリア・トリノの聖ヨハネ大聖堂に保管されており、「トリノの聖骸布」と呼ばれる。その布には、痩せた男性の全身像(身長180cm)が転写されているように見える。
聖釘(Holy Nails)キリストを十字架に打ち付けた釘。世界中で祭られており、現存する聖釘(せいてい)の数は、30本を下らないだろうと言われる。
聖十字架(Holy Cross)キリストの磔刑に使用されたとされる十字架。数多くの木片に分断され、各地のキリスト教会に祭られている。聖十字架の断片を積み上げていくと、ビル程の高さになると言われている。
茨の冠(Crown of Thorns)磔刑のとき、キリストに被せられた茨。キリストは磔刑の当日、十字架を背負い、茨の冠を被ってゴルゴタの丘まで歩かされ、処刑される。パリのノートルダム大聖堂に保管されている。
聖槍(Holy Lance)磔にされたキリストを突き刺した槍。「ロンギヌスの槍」とも呼ばれ、処刑後のキリストの死を確認するため、脇腹に刺したとされる。「所有者に世界を制する力を与える」とする伝承があり、アドルフ・ヒトラーも、その行方を捜したと言う。
聖杯(Holy Grail)磔にされたキリストの血を受けたとされる杯。また、キリストが「最後の過越の食事(最後の晩餐)」をしたときに、子羊の肉を載せた皿だとする説もある。
聖杯(Holy Chalice)キリストと弟子たちの「最後の晩餐」に使われたとされる杯。あらゆる病気を癒し、毒を消すとされる。現在、イタリアのジェノヴァ大聖堂、スペインのヴァレンシア大聖堂、ニューヨークのメトロポリタン美術館の3か所に、それぞれ「聖杯」と称されるものが存在している。
くるみ布(Swaddling)生まれたばかりのキリストを包んだ布。クロアチアのドゥブロヴニク大聖堂に存在する。
聖なる飼い葉桶(Holy Crib)伝説では、キリストは、家畜小屋の中にある「飼い葉桶」で生まれたとされる。後に、5枚の板になって、ローマの聖母マリア大聖堂に保管されている。
キリストの血第2回十字軍のエルサレム遠征の際に持ち帰られたとされる、「キリストの血」あるいは「聖血」。ベルギー・ブルージュの「聖血礼拝堂」に保管されている。ちなみに聖血礼拝堂は、2000年にベルギーの世界遺産として登録された「ブルージュ歴史地区」の構成資産の1つ。
キリストの鞭打ちの際に用いられた円柱ローマのサンタ・プラッセーデ教会に保存されている。
クーダハ(古アイルランド語:cumdach)アイルランドで、聖人が実際に使ったとされる、書物を収めるための精巧な箱。「納書箱」とも呼ばれる。多くは、アイルランド国立博物館に収蔵されている。

レリクス(聖遺物)と関係のある有名作品

  「聖遺物」と関わりのある作品をいくつか紹介します。

パッション

 「パッション」は、2004年に発表されたアメリカ・イタリア合作映画です。原題には「キリストの受難」と言う意味があります。

 イエス・キリストが処刑されるまでの12時間と、復活までを描く物語です。全編をアラム語などの古代語を使って撮影が行われ、アメリカで大ヒットを記録しています。

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聖衣

 「聖衣」は、1953年に発表されたアメリカ映画です。イエス・キリストの処刑に携わったローマ帝国の護民官(平民の指導者)が、処刑時にキリストが纏っていた衣を巡り、数奇な運命に巻き込まれていく物語を描いています。

 アカデミー賞で美術賞と衣装デザイン賞の2冠に輝き、1954年には続編「ディミトリアスと闘士」が公開されている映画です。

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コンスタンティン

 「コンスタンティン」は、2005年に発表されたアメリカ映画です。天国と地獄の間で生きる人間について描かれています。

 冒頭で「ロンギヌスの槍(聖槍)」が登場し、悪魔祓い師のジョンが、少女に憑りついていた悪魔を祓ったことから物語が展開していきます。

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Fateシリーズ

 『Fate』シリーズに登場する「あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機・聖杯」もレリクスが元ネタとなっています。

 Fateシリーズは神話や伝説、実在した英雄の魂“英霊”を儀式によって召喚し、サーヴァントとして召し抱えて聖杯をかけて戦う聖杯戦争がテーマです。『Fate/Grand Order』ではサーヴァントを召喚するために聖遺物が使われています。

 すべてに共通して言えることですが、レリクスの知識を身につけつつ映画を観れば、より楽しめる作品です。

まとめ

 今回はレリクス(聖遺物)について紹介しました。

 内容を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 聖遺物は、神や聖者の「遺骸の一部」や「遺品」を指し、「神秘的な力」が宿るとされる
  • 聖遺物は、「聖人の象徴」として使われている
  • 聖遺物は、巡礼地に安置されていることが多い
  • 聖遺物の種類はたくさんあり、イエス・キリストの処刑に関わっているものが多い
  • 聖遺物について知ることで、イエス・キリストの出生や、起こした奇跡についても知ることができる
  • キリスト教の勉強をしながら、聖遺物に関係する映画を観ると、作品をより楽しめる上に勉強もできる

 聖遺物はファンタジー小説に「神秘的な力」を付与したいときに欠かせません。聖遺物に詳しくなり、ファンタジー小説の世界観設定に活かしましょう!

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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