カバラについて詳しく解説!ファンタジー小説の設定に使おう!
「カバラ」は、ファンタジー作品を作る上で大切な要素です。特に「セフィロトの樹」は、ファンタジー作品の世界観やキャラクター設定にも取り入れやすく、実際に多くの作品で利用されています。
そこで本記事では、「カバラの概要」はもちろん、カバラと深い結びつきがある「2種類の樹木」について解説します。カバラに関係する有名作品の紹介もありますので、ぜひ最後までご覧ください!
カバラとは?
「カバラ」は、ユダヤ教の伝統に基づく神秘主義思想です。神秘主義とは、「この世には人の想像を超える不思議なことがある」とする考え方です。そのため、神秘主義の立場からは、「魔術なども存在する」と考えます。
カバラの2種類の樹について
カバラには、「生命の樹」と呼ばれる「セフィロトの樹」と、その対極に位置する「邪悪の樹」と呼ばれる「クリフォトの樹」が存在します。
この「2種類の樹木」は、ファンタジー作品の世界観設定にかなり役立つ情報ですので、それぞれの特徴を順に解説していきます。
セフィロトの樹
「セフィロトの樹」とは、「人類誕生までの流れ」を「樹木」で表したものです。「生命の樹」から発展した、カバラ思想における概念を指します。
「セフィロトの樹」は体系化された図で表され、10個の「セフィラ(球体)」と、それらを結ぶ22本の「パス(枝)」で構成されています。
セフィロトの樹の起源は「三顕現の三者」にあります。「三顕現の三者」とは、「アイン(無)」「アイン・ソフ(無限)」「アイン・ソフ・アウル(無限光)」のことです。
まずは「アイン・ソフ・アウル(無限光)」から1つ目のセフィラが生まれ、そこから2つ目、3つ目とセフィラが流れ出ていき、やがて10番目のセフィラが生まれ、「セフィロトの樹」が完成したと言われています。
上記のように生まれた「10個のセフィラ」には、それぞれ「番号・名前・意味・色」があります。下の表に、セフィラの特徴を詳しくまとめましたので、順に見ていきましょう。
番号 | 名前(意味) | 神名 | 色 | 守護天使 |
1 | ケテル(王冠) | エヘイエ | 白 | メタトロン |
2 | コクマ(智慧) | ヨッド | 灰 | オファニム |
3 | ビナー(理解) | エロヒム | 黒 | アラリム |
4 | ケセド(慈悲) | エル | 青 | ツァドキエル |
5 | ゲブラー(神力) | エロヒム・ギホール | 赤 | サマエル |
6 | ティフェレト(美) | エロハ | 黄 | ミカエル |
7 | ネツァク(勝利) | アドナイ・ツァバオト | 緑 | ハニエル |
8 | ホド(栄光) | エロヒム・ツァバオト | 橙 | ラファエル |
9 | イェソド(基礎) | シャダイ・エル・カイ | 紫 | ガブリエル |
10 | マルクト(王国) | アドナイ・メレク | 4色 | サンダルフォン |
━ | ダアト(知識) | ━ | ━ | ━ |
また、22本のパス(枝)は、下の表のように、「ヘブライ文字22文字」と「タロットの22枚の大アルカナ」に対応します。
ちなみに「アルカナ」とは、ラテン語で「隠されたもの」という意味があり、それが転じて「秘密」「神秘」という意味があります。つまりタロットにおける「切り札」のことです(※パスの数字は、セフィラの番号です)。
ヘブライ文字 | パス(枝) | アルカナのタイトル |
アレフ | 1‐2 | 愚者 |
ベート | 1‐3 | 魔術師 |
ギーメル | 1‐6 | 女教皇 |
ダレット | 2‐3 | 女帝 |
ヘー | 2‐6 | 皇帝 |
ヴァヴ | 2‐4 | 教皇 |
ザイン | 3‐6 | 恋人 |
ヘット | 3‐5 | 戦車 |
テット | 4‐5 | 力 |
ヨッド | 4‐6 | 隠者 |
カフ | 4‐7 | 運命の輪 |
ラメド | 5‐6 | 正義 |
メム | 5‐8 | 吊るされた男 |
ヌン | 6‐7 | 死神 |
サメフ | 6‐9 | 節制 |
アイン | 6‐8 | 悪魔 |
ペー | 7‐8 | 塔 |
ツァディー | 7‐9 | 星 |
コフ | 7‐10 | 月 |
レーシュ | 8‐9 | 太陽 |
シン | 8‐10 | 審判 |
こうした、「セフィロトの樹」に関する全てを理解したなら、「世界の全てを作り出すことが可能」とされています。
また、カバラでは「ゴーレムの作成」が有名です。ちなみにゴーレムとは、神秘主義カバラにおける「人造人間(泥人形)」のことを指します。ゴーレムは、作った主人以外の命令を聞きません。
ゴーレムの作り方は簡単。粘々した泥土を人形(ゴーレム)の形にし、「emeth(真理)」と書かれた護符を、人形の額や胸に貼るだけです(体に文字を刻んでもいい)。もし護符から「e」の文字を削り取り、「meth(死)」にすれば、ゴーレムは命を失います。
クリフォトの樹
「クリフォトの樹」は、ユダヤの神秘主義・カバラに影響を受けたオカルティズムにおける思想の1つです。セフィロトが「生命の樹」であるのに対し、クリフォトは「邪悪の樹」になります。「クリフォトの樹」は元々、ヘブライ語で「皮」や「殻」という意味を持つ言葉ですが、カバラにおいては「悪の象徴」になるのです。
また「クリフォトの樹」は、10個の「クリファー(外殻)」を持ち、それぞれの外殻に悪魔が存在しています。そして、悪魔は下の階層になるほど「深い虚無」と「強大な力」を持っているのです。
つまり、10個の光の球体「セフィラ」を持ち、それぞれの球体に天使が存在している「セフィロトの樹」とは、こうした点においても「対極の関係」にあります。
カバラが関係している有名作品について
それではカバラが関係している有名作品を3つ紹介します。
新世紀エヴァンゲリオン
「新世紀エヴァンゲリオン」は、1995年に放映開始となった、人気TVアニメです。
主人公の碇シンジが、人造人間エヴァンゲリオンに乗り込み、正体不明の使徒と戦うロボットアニメになります。シリアスな内容と、「旧約聖書」や「死海文書」など、ミステリー要素も強く、人気になりました。
かんじんの「セフィロトの樹」は、オープニングに登場します。表立ってはあまり登場しませんが、あえてオープニングにセフィロトの樹を使っているということは、セフィロトの樹を意識して作品づくりをした可能性がかなり高いと言えるでしょう。
遊戯王
「遊戯王」は、漫画&アニメ&カードゲームで人気のあるシリーズで、今も連載が続いています。
アニメ第1期目の内容は、童実野町(どみのちょう)を舞台に、主人公の武藤遊戯が、ライバルたちとカードバトルを繰り広げる物語です。
そんな遊戯王のカードゲーム「遊戯王OCG」には、「セフィラ」「クリフォート」「インフェルノイド」といった、「セフィロト」や「クリフォト」がモチーフになっている名称が複数登場します。
単純な「善・悪」としてキャラクターを分ける際にも、カバラの知識はかなり役立ちますので、ファンタジー作品にカバラを取り入れる際は、本作を一度チェックしてみましょう!
ゼクトバッハ叙事詩
「ゼクトバッハ叙事詩」は、音楽を作るための物語として作られた架空の文献で、オリジナルアニメも制作されています。
物語は中世ファンタジーです。大国に突如攻められ、滅亡の危機に瀕している小国アゼルガットへ、類まれな強さを持つ、「シャムシール」という女が現れることで、物語が展開していきます。
物語に登場する、「トゥーリの木」は「セフィロト」をモチーフに作られています。また、「10人の星の民」のモチーフは「セフィラ」です。セフィロトをファンタジー作品に使いたいなら、本作はかなり参考になるでしょう。
まとめ
今回はガバラについて紹介しました。
内容を簡単にまとめると以下の通りです。
- 「カバラ」は、ユダヤ教の神秘主義思想
- 「セフィロトの樹」と「クリフォトの樹」は、対極の関係にある
- 「セフィロトの樹」や「クリフォトの樹」は、ファンタジー作品と相性が良い
本記事を通して「カバラ」に詳しくなり、ファンタジー小説の世界観設定に活かしましょう!
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません