ダークファンタジー小説の書き方:魅力的な世界観を創造する秘訣
ダークファンタジー小説は、陰鬱で不気味な世界観と奇妙な出来事が特徴的なジャンルです。この手の小説を書くには、読者を魅了する独創的な設定と緻密な筋書きが不可欠です。本記事では、ダークファンタジー小説の魅力と、その書き方のポイントをご紹介します。
ダークファンタジーの魅力
ダークファンタジー小説には、常識を逸脱した世界観や登場人物が息づいています。そこには、現実世界では考えられない程のダークな要素が存在し、読者を恐怖と好奇心の世界に誘います。世界的に有名なダークファンタジーと言えばハリーポッターシリーズが挙げられます。
ハリーポッターシリーズは王道のファンタジー作品でもありますが、第3巻「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」以降は不死身のヴォルデモート卿が存在感を強め、物語に死の香りが漂います。ダークファンタジーと差し支えないでしょう。
では、ダークファンタジーの特徴とは何でしょうか? これから見ていきます。
不条理な世界観
ダークファンタジーの舞台は、現実とはかけ離れた異世界や異次元であることが多いです。そこには一般常識が通用せず、倫理観念や因果関係が歪んでいます。このような不条理な世界観は、現実では味わえない新鮮な驚きと恐怖を生み出します。
例えば、人間が死後も意識を持ち続ける世界。あるいは、殺人が日常茶飯事の世界。善悪が入り乱れ、究極の正義すら曖昧な世界観を創り出すことができるのです。
奇怪な生物や登場人物
ダークファンタジー小説には、現実には存在し得ない奇妙な生物や登場人物が頻繁に登場します。吸血鬼やアンデッド、異形の魔物など、人間の想像を絶する存在が舞台を彩ります。
また、登場人物についても、常識外れの性格や力を持つケースが多々あります。人間離れした能力や感情を持つキャラクターは、一般的な人間ドラマとは一線を画す独特の魅力があります。
倫理観念を逸脱した出来事
さらに、ダークファンタジー小説には、読者の倫理観念を覆す出来事が散りばめられています。人体を強制的に解剖する場面や、残虐な拷問の描写など、現実では決して許されない行為が平然と起こります。
このような倫理的な逸脱は、通常のジャンル小説では決して書けない衝撃的なシーンを生み出します。それにより、読者は常に緊張感と戦慄を味わうことができるのです。
ダークファンタジーの書き方
ダークファンタジー小説の面白さを引き出すには、以下のようなポイントを意識する必要があります。
独創的な設定づくり
まずは、これまでにない魅力的な世界観や登場人物を設定することが重要です。既存の作品を模倣するのではなく、完全にオリジナルの設定を作り上げる必要があります。
例えば、人間と魔物が職業ギルドを形成し共生している世界。あるいは、単なる人間ではなく、異種族間の子孫が主人公となり、生き残りを賭けた冒険に旅立つ設定などがあります。ダークな要素(先ほど紹介した不条理な世界観、奇怪な生物や登場人物、倫理観念を逸脱した出来事)をたっぷり盛り込み、新味のある設定を構築しましょう。
緻密な筋書き作り
ダークファンタジーのストーリーは、適度なミステリアスさと緊迫感が求められます。書き手は事前に、主人公の背景や目的、物語の伏線や核心部分を綿密に計画しておく必要があります。
例えば、主人公の身世の謎や、世界を脅かす危機的状況の真相など、徐々に明かされる伏線をたくさん散りばめます。そして、小さな出来事や情報が、結果として大きな意味を持つように仕組んでおくのです。このように緻密な筋書きを構築することで、読者を惹きつける魅力的な作品に仕上がります。
描写のクオリティ
世界観や出来事を生き生きと描くために、書き手には卓越した描写力が求められます。言葉を選びぬき、事物をリアルに伝えられることが大切です。
例えば、妖怪の姿形を描く際は、その姿だけでなく、臭いや音、質感なども細かく表現する必要があります。また、残酷な場面では、人間の苦しみや恐怖を実感できるような描写に心がける必要があります。
このように、言葉を使い分けながら事物の実体を的確に伝えられれば、小説の世界に読者を深く引き込むことができるでしょう。
「ちいかわ」もダークファンタジー
ここまで書いて気づいたことがあります。それは「ちいかわ」もダークファンタジーの定義にあてはまっていることです。
「討伐」や「草むしり」で生計をたてるちいかわ族、それを管理する鎧さんたち、様々なきっかけでキメラ化するちいかわ族・・・これらはまさに「不条理な世界観」です。
ちいかわやハチワレ、ウサギ等のメインキャラクターはもちろん、食べ物の湧きどころなどのファンタジー要素がありつつも、茅乃舎やラーメン屋の「郎」が存在していたりと、まさに「奇怪な生物や登場人物」の宝庫です。
そして、ちいかわ族のキメラ化や、島編で人魚を食べて不死身化する設定や物語・・・それらは「倫理観念を逸脱した出来事」でしょう。
ちいかわが大ヒットしたのは、単に小さくてかわいいだけの存在ではなく、独創的な設定づくりに成功し、緻密な筋書き作りであたたかくも暗い物語を描き、描写のクオリティに読者が惹かれたからです。「ちいかわ」は100ワニ(もはや誰も覚えていないかもしれませんが)と同時期に盛り上がり始めた作品ですが、Xのフォロワー数は100ワニをいつの間にか超え、すべてのキャラクターを凌駕する国民的ヒットとなりました。以下は国民的キャラ「ちいかわ」が僅か4年で天下を取ったワケより抜粋したXのフォロワー数をまとめたグラフです。ちいかわの伸び・継続性が圧倒的ですよね。

「ちいかわ」がもし単に小さくてかわいいほのぼの系の漫画であれば、これほど人気は出なかったのではないでしょうか。小さくてかわいい × ダークファンタジーの魅力による相乗効果が無限の可能性を引き出した良い例です。
まとめ
本記事では、ダークファンタジー小説の魅力と書き方のポイントについて解説しました。ダークファンタジーは一見すると薄暗く陰鬱な印象を与えますが、実は作者にとって無限の可能性が秘められたジャンルでもあります。
書き手は、「不条理な世界観」「奇怪な生物や登場人物」「倫理観念を逸脱した出来事」といったダークファンタジーの特徴を意識し、独創的な設定と緻密な筋書きを作り上げることが重要です。また、卓越した描写力を持って小説の世界を立体的に描き出すことで、読者をその世界に引き込むことができるでしょう。
常識を打ち破ることに躊躇しない強い精神があれば、誰でもこのジャンルで面白い作品を生み出すことができます。想像力を存分に発揮し、大胆で魅力的なダークファンタジー小説を創造してみてはいかがでしょうか。
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