物語の舞台設定に役立つ「時事」のススメ
物語の舞台を作成するとき、どこから手を付けますか? 人によっては架空言語の創造から始める方や(例えばJ・R・R・トールキンさん)もいますし、歴史や地理、言語、文化から創造する方もいらっしゃいます(人工世界「フィラクスナーレ」の中野智宏さんなど)。
物語の書き方を紹介しているサイトでは舞台設定として、時代・地形・気候・政治・経済・思想・軍事・文明レベル、魔法や魔物、テクノロジーなどを、決めるべきとされます。
ですがあまりに決めることが多すぎると、物語を書く前に人生が終わってしまいそうです。そこで舞台設定として決めるべき5つの要素をご紹介します。
世界を切り取る5つの要素
舞台設定として決めるべき5つの要素は、政治、経済、暮らし、社会・環境、国際の5つです。
政治
・政治の仕組み(民主制、君主制、独裁制など)
・政治の課題(1票の格差、投票率の低下、特定候補者の得票率が99%など異常に高いなど)
・特筆すべき憲法(「目には目を、歯には歯を」のように社会のルールを定めるもの)
・君主(皇帝、天皇、国王など)
・外交と安全保障の課題(隣国との領土をめぐる課題、同盟)
・地方自治(中央集権型なのか地方にも自治権があるのかなど)
経済
・税(重税か否か、取り立て方、国と地方自治体のお金のやりくり(国から配分されるのかなど))
・貿易(関税の高い保護貿易か、関税の安い自由貿易か、黒字か赤字か、経済大国か)
・主要な産業
・エネルギー(資源は何か、輸入に頼るか、自給できるか)
暮らし
・人口分布(少子化か否か、男女比、人口減少社会か人口増加社会か)
・出生率(早婚傾向、晩婚傾向)
・保険(社会保険の有無)
・職業、働き方
社会・環境
・子供の教育
・性の多様化(性の多様化を認めるか、女性の社会進出度合い)
・移民(移民の割合、事件など)
・司法と国民(法による裁定の有無、警察の強さ)
・情報化の度合い(遠隔でのコミュニケーション手段、情報収集の方法)
・医療(医療レベル、国民病、パンデミックの有無)
・災害(豪雨、地震、津波、水害などの有無)
国際
・国際社会の主導権を握る国(覇権争いがあるか否か)
・核兵器のような超兵器の有無
・宗教(対立があるか否か)
・平和な世界が保たれる理由(その理由を失わせることで戦争を物語に組み込める)
この切り口はニュース時事能力検定の公式テキストにある、現代社会を理解するための分類の方法です。時事とは「世間・社会においてごく最近起きた出来事、または目下問題・話題となっている事柄などに関するさま」のこと。
物語を書く上でも、目下問題・話題となっている事柄(=時事)を中心に書いていくわけですから、時事を設定しておけば舞台設定としては十分なわけですね。
また、社会科学者の藤原孝章によれば、「時事問題」とは「対立が生じている出来事」と「社会の大多数が共有している認識構造や価値観」の2つに分けられるということです。対立も、社会の価値観も舞台設定の重要なポイントですよね。
こういった意味でも物語を書く前の舞台設定として、時事を設定することがオススメです。
時事とはどういったものかをもう少し詳しく知りたい方は、ニュース検定の公式テキストがおすすめです。現代社会の時事がまとまっており、就職活動や大学の小論文対策でも使えます。現代社会の時事を知ることで、物語作りにも奥行きが出るかもしれませんよ。
なお、1・2・準2級対応のテキストは社会人向け、3・4級対応は学生向きとなっています。もちろん背伸びした購入もありだと思います。
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