「サプライズニンジャ理論」とは何か?物語創作における面白さとは
サプライズニンジャ理論を耳にしたことはありますか?2020年にTwitterでバズった物語創作理論の1つです。一般的な日本人からすると「ニンジャ?なんで?」となりそうなワードですが、特にある一部の人々によって熱く語られました。Twitterで語られた内容をもとに物語創作の面白さについて学んでいきましょう。
サプライズニンジャ理論とは
「あるシーンに、いきなりニンジャが現れて戦い始めたとして、それが元のストーリーより面白いようであれば、そのストーリーは十分とは言えない」
もともとは、イギリスの女優・脚本家のフィービー・ウォーラー=ブリッジが広めたとされる脚本家の心構えやノウハウを表した理論(法則)です。
ここでの「ニンジャ」というワードは、日本に忍者がいたとされる時代劇を題材とした話ということではなく、「物語の途中で何の脈絡もなく現れる者」という例えで使われ、それに負けるような物語はまだまだだという意味で用いられています。
ではなぜTwitterでバズったのでしょうか。実は「ニンジャヘッズ」と呼ばれる、人気サイバーパンクニンジャ活劇小説『ニンジャスレイヤー』のファンの中で熱く語られたからです。
ニンジャヘッズの中では、「ニンジャ」は、超人的な半分神のような存在です。ニンジャヘッズの立場からすれば「半分神であるニンジャを超える物語なんてあるわけない!」という前述の理論に対する反対意見がTwitterをバズらせたと考えられます。
実は日本にもあった「サプライズニンジャ」
実は「ニンジャ」的な突如として現れるキャラクターを使った物語は日本では古くから存在しています。
例えば、浄瑠璃や歌舞伎などで演じられてきた源義経のお話です。「現れ出たる義経公!」のナレーションと共に唐突に現れ、「さしたる用もなかりせば、これにて御免(特に用事はないからこれで帰ります)」と行って帰っていくのです。
では義経公は何をするかというと、いろいろなバージョンがありますが、しばらく客と一緒に観劇したりと面白い演出が用意されています。
物語に夢中な客からすれば「こんな演出は興ざめだろう」と思うかもしれませんが、これが大人気。同理論の反対意見は、まんざらでもないということかもしれません。
やはり「ニンジャ負け」ストーリーは物足りない?!
結局Twitter上でも、この理論を逆転させて「どんなシーンでもニンジャが出てこれば、間違いなく面白くなるでしょ」という運用を押す意見が広まりました。
しかしまたその理論の裏を返せば、「面白くないストーリーだからこそ、間違いなく面白くしてくれるニンジャが必要である」とも捉えられます。破壊的な面白さを提供する「ニンジャ」に負けるようなストーリーでは物足りないという理論は少なからず間違っていないといえるのではないでしょうか。
ヒーロー物だとありがちな演出かもしれませんが、作家としては、まずは「ニンジャ」に頼らなくてよい、「物足りない」といわせない物語を生みだしたいものですね。
まとめ
日本では浄瑠璃や歌舞伎でも昔から愛されてきた「サプライズニンジャ」の演出ですが、確かにその面白みはあるとしても、小説を書く作家としてはまずはその破壊的な面白さに頼らずして、本当に面白い作品を生みだしたいものです。サプライズニンジャの演出を取り入れるのは、その後でも遅くないといえます。
その時がくるまで、作家も様々な人の作品に触れて、さまざまな物語創作における面白さを学んでいくことをおすすめします。いつか有効なスパイスとして活用できる日がやってきますよ。
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