吸血鬼(ヴァンパイア)とは?特徴についても詳しく解説!

 吸血鬼(ヴァンパイア)は、ファンタジー小説を面白くする上で、魅力的なファクターを多く所持しています。単純な吸血鬼(ヴァンパイア)としての特徴だけでも数が多く、創作上の自由度が高いキャラクターと言えるでしょう。

 そこで本記事では、吸血鬼(ヴァンパイア)について、豊富な特徴をメインに詳しく解説します。本記事を読み、ぜひオリジナリティー溢れる作品づくりの資料として活用しましょう!

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吸血鬼(ヴァンパイア)とは?

 「吸血鬼(ヴァンパイア)」とは、人の血を吸うモンスターの一種を指します。「人間の血液は生命の源」という考えは世界共通の認識であるため、血を吸い生命力を奪う吸血鬼の伝説も、世界中に存在しているのです。

 ですが、創作に登場する吸血鬼と言えば、スラブの民間伝承にあるヴァンパイアのことです。ファンタジーもので、最強クラスの敵として登場することもあれば、ホラーものとして、主人公やヒロインを脅かす恐怖として登場することもあります。

 また、吸血鬼は数多くの創作にも登場します。特に、ジョン・ポリドリの「吸血鬼」(1819年)は、現在でこそあまり読まれなくなりましたが、その後の吸血鬼文学へ多くの影響を与えました。続く、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」(1897年)、レ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」(1872年)は、現在でも通用する名作ですし、吸血鬼文学の基本図書なので、一読することをおすすめします。

吸血鬼(ヴァンパイア)の特徴について

 ヴァンパイアは、非常に特徴の多い怪物としても知られています。そのため、ヴァンパイアが物語に登場するだけで、ストーリーにメリハリが生まれるでしょう。

 以下の表にヴァンパイアの特徴をまとめましたので、順に解説します。

ヴァンパイアの特徴説明
感染「ヴァンパイアに噛まれて死んだ者はヴァンパイアになる」という特徴は、本来ギリシャの吸血鬼・ヴリコラカスなどの特徴。だが、物語に取り入れると面白くなるため、多くの創作で採用されている。
十字架や聖水十字架や聖水は、映画で作られた弱点。「聖なるものに弱い」という特徴を持つヴァンパイアの例はあるが、キリスト教由来の十字架や聖水に特別弱い、ということは無い。
心臓に杭「心臓に杭を打ち込むと死ぬ」という特徴は、古い民間伝承と照らし合わせても正しい。実際、ヴァンパイアと疑われた死者の心臓に、杭が打ちこまれた例が多数存在する。
青白い肌伝承のヴァンパイアは、血を吸って「赤黒い肌」をしている。しかし、創作上のヴァンパイアの「肌は青白い」のが主流。元を辿れば、ジョン・ポリドリの「吸血鬼」に登場する吸血鬼・ルスベン卿のモデルとなった、バイロン卿の「顔色が青白かった」ことに繫がる。
太陽「太陽の光を浴びると死ぬ」という特徴は、ヴァンパイア本来の弱点ではなく、吸血鬼映画における弱点。事実、「吸血鬼ドラキュラ」において、ドラキュラ伯爵は夕日の沈むところを眺めている。さらに「吸血鬼カーミラ」では、昼間に散歩までしている。
貴族古い伝承では、「農民の死体がヴァンパイアになる」とあり、「燕尾服を着た貴族のヴァンパイア」という設定は、ポリドリの「吸血鬼」による創作から始まっている。ポリドリは、自分が主治医をしていた詩人バイロン卿をモデルにし、ルスベン卿という貴族のヴァンパイアを作っている。これがヒットしたことで、続く「吸血鬼ドラキュラ」や「吸血鬼カーミラ」でも、同じ設定が採用された。
ヴァンパイアは「鏡に映らない」という特徴を持つが、あまり一般的ではない。ただし、映像的に見栄えがするため、映画制作では採用されている。
霧になるヴァンパイアは、「霧に形態変化する」特徴を使い、わずかな隙間からでも部屋に侵入することができる。元々は、地面に埋没した棺桶から脱出するための能力。
鼠や蝙蝠になる「鼠や蝙蝠、虫に変身できる」特徴を持つ。これも、元は棺桶の隙間から脱出するためのもの。「蝙蝠に変身する設定」が生まれたのは、映画製作のため。特に「臙脂服からの連想」と「鼠よりも見栄えがいいから」という2つの理由が大きい。
銀の弾丸「銀の弾丸で死ぬ」という、狼男と同じ特徴を持つと言われる。だが伝承を見る限り、銀には、吸血鬼避けの力はあるが、吸血鬼を殺す力はなさそうである。
棺桶で眠るヴァンパイアは、昼間は棺桶で眠っている。その点では、伝承も映画も同じ。ただし、映画のドラキュラ伯爵は、棺桶を開けて出入りしている。しかしこれは、納棺堂(棺桶を収める専用の建物)を立てられる大遺族の特権。本来の棺桶は、地面に埋められてしまうため、伝承のヴァンパイアは変身能力(小動物・霧)を駆使し、棺桶を出入りする。
招待ヴァンパイアは、「他人の家には、招待を受けないと入れない」特徴を持つ。これも古い伝承によるもので、創作でうまく使っている例は少ない。
流水ヴァンパイアは、船や橋を使わないと、流れる水(川など)を越えることができない。ちなみにキリスト教には「川の水流で罪を洗う」という考え方がある。もしかしたら、邪悪な存在であるヴァンパイアにも、こうした水流に対する考え方が、何かしら作用しているのかも知れない。また、この特徴も古い伝承にあるのみで、創作ではあまり使われない。
悲劇のヒーローヴァンパイアには、耽美な悲劇のヒーローと言うイメージがある。これは萩尾望都のコミック「ボーの一族」(1972年)のエドガー兄妹や、アン・ライスの小説「夜明けのヴァンパイア」(1976年)によって生まれる。そして、1994年のアン・ライス作品の映画化「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」により、そのイメージが広がる。

まとめ

 今回は吸血鬼(ヴァンパイア)について紹介しました。

 内容を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 「吸血鬼(ヴァンパイア)」とは、人の血を吸うモンスターの一種を指す
  • 「吸血鬼(ヴァンパイア)」の特徴は、伝承ではなく、創作によって植え付けられたイメージがかなり強い

 吸血鬼(ヴァンパイア)について詳しく知り、ファンタジー小説の世界観設定に活かしましょう!

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