描写の秘訣は「天・地・人・動・植」|小説に欠かせない描写の技

 小説に欠かせない「描写」。「描写」とは、情景描写・心理描写・人物描写など、目に見えるもの・見えないものを「説明」するのではなく読者に「悟らせるもの」です。描写は大変難しく、ややもすると「説明」になってしまう!そんな「描写」に行き詰った時のいい方法とは?

 「天・地・人・動・植」の五つの描写を丁寧にするというもの。大沢在昌氏の著書「小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない (角川文庫) 文庫 」より伝授頂いた方法について、深堀していきます。

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「天・地・人・動・植」の五つの描写を丁寧に

 私は、大沢在昌氏の著書「小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない (角川文庫) 文庫 」に出会い、小説の描写に行き詰った時に役に立つ「描写の秘伝」を知ることとなりました。それは「天・地・人・動・植」の五つの描写を丁寧にすること。どんなシーンであれ、この5種類の描写をふっくらさせることで、よりシーンが鮮明になり印象的になるというものでした。それでは一つずつ、どんな風に膨らませたらよいかを私なりに考察していきます。

天「天候・気候」

 天候・気候を入れると、小説を肌で感じているような感覚になり、想像がつきやすくなります。

中でも「雨」に関する描写がおすすめです。雨は、古来から人間の暮らしに深く結びついているからです。雨の多い少ないで農作物の出来が変わり、人間の食事やその先の健康、「衣・住」にも深く影響を与えます。それほどに人間の生活に紐づいているということは、また描写にも使いやすく伝わりやすいということです。

例えば雨を「止ませる」と、簡単に言えば「悩みが解決した」ということを示唆することもできますよね。例えば、「揺れる葉のコロコロした雫に日が降り注ぎ、きらきらと輝いている」など。キャラクターの心情や設定とうまく組み合わせることで繊細で鮮明な表現が生み出せます。

地「地理・地形」

 地理についてはの描写は、全体像をまず描き、そのあとに細かく描写するのがおすすめです。最初から細かく描きすぎると読者が「今どの場所のことを言ってるの?」と迷子なる可能性が非常に高いのです。例えば、上手い歴史作家かどうかは「地理描写を上手く書けるか」で決まってきます。細かい地理に注力しすぎて、動きの描写が乏しくなるようでは元も子もありません。しっかりと基準をきめ、そこから見た●●というように読者に迷いを与えない描き方をするのがポイントです。例えば、東京・新宿区に住んでいるなら、その周りの江東区や荒川区などの地理を説明していく。また地理的には「高層ビルの間の日の当たらないマンション」とすることで、新宿区あたりに住んでいるのを想像させるということです。

人「人物」

 人はまさに「描く」ことが大切です。人物の見た目を描くというより、「人の動き」を書くとよいでしょう。人間の人柄や特性は、「もの」の取り扱い方に表れるものです。立ち居振る舞いを描写するにあたり、この登場人物だったらこの場面でどのように振る舞うだろうか?それを見たらどう感じるだろうか?と考え抜いて描くことが、人物描写の秘訣といえそうです。

動「動物」

 例えば、主人公の飼う犬が、恨めしそうな表情で飼い主を見て珍しくなかなか近づいてこない様子を描写をすれば、「今主人公には何かいつもと違う感情が湧いているのだな」ということを示唆できます。このように動物とキャラクターの距離感であったり、動物に自分の姿を投影するような描写をしたりすることで、リアルにキャラクターの心情を反映することができます。

 植「植物」

 雑草、庭の花など何気なく目に入るような植物の描写を入れることで、やや空気感がキリっと引き締まるような効果があります。描写方法は、植物の描写が上手な作家の作品を見て学ぶとよいでしょう。例えば、俵万智さんの「花束のように抱かれてみたく (角川文庫)」は、四季の花を、歌と写真で詠いあげる鮮やかな写真歌文集、大変生き生きとした表現で勉強になります。

まとめ

 大沢在昌氏の著書「売れる作家の全技術」より伝授頂いた方法を深堀して、どのようにしたら「天・地・人・動・植」をより生かす描写ができるかを考察してみました。

 たとえこれが一本調子のシーンであっても、「天・地・人・動・植」の描写を丁寧に加えれば、全体的にふわっとした立体的なシーンに生まれ変わります。音・光・匂い・触感など、その空気全体を描写し尽くすという気持ちでのぞめば、描写に行き詰ることなく、印象的なシーンが描けるようになります。どうかあなたの描写の一助となりますように。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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