「描写」で読者に想像させる!効く「心理描写」の描き方

 辛い、痛い、苦しい、面白い、嬉しい、楽しい。キャラクターのこういった心情(ハート)を読者の手の平にそっと乗せるような描写、それが「心理描写」です。

 目に見えないものを読者に感じさせる技術ですから、見えるものを表現する「情景描写」に比べて難しいと感じるのは当然です。それゆえ「心理描写は苦手・・」という人が多いのかもしれませんね。そんなつかみどころのない「心理描写」ですが、それなりにセオリーがあります。

 ここでは「心理描写とは何か」「何をしたら読者に伝わるか」「心理描写の描き方」について解説していきます。

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心理描写は「描写を創ること」

 心理描写とは、キャラクターの表情や行動から「心」を想像させるものです。勘違いしていけないのが、複雑な心理状態を表す言葉を写実的に上げ連ねることではありません。

「描写を創る」
ということです。

 例えば「愛の心中」という表現があったとします。これを聞いた人は「心中?死にたければ1人で死んでよ。私は嫌」と思うかもしれません。どう考えるかはその人の自由ですから、自分の心情を投影する、これももちろんありです。

 でも一般的には「これは、一緒に死ねば誰にも相手を横取りされなくて済むという、究極の愛の形よね」と捉える人が多いのではないでしょうか。もしその場合、これが「愛を独り占めするための心中」と表現されていたらどうでしょう。「確かにそうなんだけど、そこは読者にまかせてよ。そこを自分で感じるのが楽しいんじゃないの」という声が聞こえてきそうです。

 心理描写は、あくまで読者が自由に感じて楽しむための「描写」を私たちが創ることです。

 けして「答えはこれです」と心情らしきものをベタっと貼り付ける作業ではありません。キャラクターの表情、行動から、読者に心を想像させるための「お手伝い」です。

 

読者により感じさせるには「キャラクターへの共感」

 では、どうしたらより読者が感じやすい状況に持っていけるか。その唯一の手段が「キャラクターへ共感させる」ということです。

 特に「泣けるほどの感動を呼び起こしたい」となれば、より読者の「わかる!」をたくさん引き出して、いかに自分ごととして捉えてもらえるかが鍵です。

 例えば恋愛小説であれば、なぜ主人公がある人を好きになったか、その理由となるようなエピソードをこれでもかという程描きますよね。それと同じで、「なぜ泣くのか、なぜ哀しいのか」それを理解できるだけの「理由」となる描写を事前にたくさん仕込んでおくことです。

 そうすることでキャラクターと読み手の距離が縮まり、例えば「愛の心中」という一言が出てきても、「あのキャラクターならこう考えるんだろうな」という想像がしやすくなるわけです。

 

心理描写の書き方のポイント2つ

・直接的描写はしない

 前述したように、心理描写は答え合わせのためのものではありません。キャラクターの心情を直接表す「辛い・哀しい・嬉しい」などの表現は極力使わない方がベターです。

 どれくらいそのキャラクターがそう思っているか、どんな感じでそう思っているかという感情の幅や奥行きが限定されやすくなるからです。

 こういった時に役にたつのが「類語辞典」です。直接的な表現ではなく言い換えられる言葉を探してみましょう。直接的な表現を用いずにいかに読者に感じさせるか、そこが腕の見せどころです。

【例文】
私は彼のことを考えると悲しくなった。

私は彼のことを考えると息苦しくなった。

(好きで胸が苦しいのか、単純に嫌いなのか、彼の悲しい気持ちを推しはかって辛いのか・・またそれが入り混じったような複雑な感情なのか、またその度合いを含めていろいろ想像ができます。)

・断言はしない

 特に一人称で書く場合に気をつけたいのが「断言はしない」ということです。主人公から見た他の人の心理描写をする形になりますが、「あの人はこのような気持ちなのだろう」と推測できるような形での表現がベターです。
 本当のところは誰にもわからないのに、これを「私」目線で断言してしまうと急に嘘っぽくなるからです。

【例文】
・「またくるから」と、彼はしぶしぶ私の手を振りほどき、背を向けた。

・「またくるから」と、彼はかったるそうに私の手を振りほどき、背を向けた。

(しぶしぶだったどうか本当の所はわかりません。でも主人公から見たら彼は「かったるそう」だったのは事実です。より彼の気持ちがリアルに伝わってきます。)

 

まとめ

 心理描写は、「描写」を作り、読者が自由に感じて楽しむためのお手伝いの作業でした。読者により感じさせるための唯一の方法が「キャラクターに共感させる」こと。事前にキャラクターにしっかり共感できるだけの「理由」をしっかり仕込んでおくことが大切です。そして、描き方のポイントは「直接的描写をしない」「断言をしない」の2つです。できるかぎり、描写から受け取る感覚に幅や奥行をもたせ、自由に読者に想像させる、また嘘がないようにすることで、ストンと読者に伝わる描写が出来上がります。心理描写が苦手な方もこの方法で一度描いてみて下さい。小説が見事にランクUPしますよ。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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