推敲と校正〜第二稿の完成度を高めるヒント〜

2020年10月12日

 第一稿を書き上げたあとに推敲し……第二稿として生まれ変わらせる作業は、あなたの作品の素晴らしさを、より正確に読者へ伝える作業です。

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「もったいない」ことをしていませんか?

 物語を紡ぎ出し、「作品」という形に書き起こしてできあがったあなたの原稿。インターネットを使って無料で発表してもいいですし、電子書籍として販売するのもよしですし、あるいは出版社のコンテストに応募させてみるなんてのも、どれを選ぶにもあなたの自由です。

 ですが、ちょっとお待ちください。その「原稿」、推敲はしましたか? 書き上げた原稿を読み返していない、推敲作業を行っていないとすれば、それは非常に「もったいない」です。

 第一稿(初稿) ⇒ 第二稿 ⇒ 完成稿と推敲を進めて、完成度を高めてみませんか。

  

  

第二稿とは?

 第二稿とは、第一稿(初稿)に推敲を加えてブラッシュアップしたものです。

 なお、第二稿とは単に「文章の誤り」や「表記の誤り」を修正したものではありません。根本的な表現や展開、校正すら変えていくことで、第一稿(初稿) ⇒ 第二稿 ⇒ 完成稿と稿数があがっていきます。

 また、「文章の誤り」や「表記の誤り」をメインに見ていくことを「校正作業」をいいますが、「校正作業」が終わった後の原稿を二校、三校といいます。第一稿(初稿)二校、第二稿、第二稿二校という風に進むイメージですね。

推敲と「第二稿」を書くことの重要さ

 どんなに「秀逸」な「構成」や「展開」をはらんだ物語であっても、「読みづらさ」を抱えたままの原稿というのは、それだけでマイナス 評価されてしまいます。

 ネットでの公開然り、電子書籍販売、出版社コンテストもまた然り。「審査員」にも当然ながら同じマイナス印象を与えてしまいます。それでは心を込めて書き上げた作品が可愛そうですよね。

 第一稿を書き上げたあとに推敲し……第二稿として生まれ変わらせる作業は、あなたの作品の素晴らしさを、より正確に読者へ伝える作業です。

  

  

「第二稿」で気をつけるべき点は?

 大事なのは「何がいいたいんだ?」と問いかけることです。

 私は以前、小説家は3つの人格を使いこなそうというエントリーを書きました。そこで出てきた3つの人格が下記です。

 人格1.自分大好き、自分全肯定、創作大好きマン
 人格2.批判的な読書家、日本語添削マン
 人格3.作品ファンの編集員、これいいじゃんマン

小説家は3つの人格を使いこなそう

 重要人物は「人格2.批判的な読書家、日本語添削マン」です。第一稿は「人格1.自分大好き、自分全肯定、創作大好きマン」が突っ切って書き上げたものでしょう。「人格2.批判的な読書家、日本語添削マン」はそれを客観的に見て、物語に一本筋が通っているか?を判断する役割を担います。

 別の言葉でいうと、テーマを見つける作業です。作家であれば物語を書く以前からミッションを準備したり、プロットを準備したりされると思います。(あなたの「プレミス」はなんですか?~小説を書く前に「ミッション」を準備しよう~

 ですが意外と、書いているうちにテーマが変わったり、別のテーマが生まれてきたりするケースがあります。こういった場合には、執筆中に生まれたテーマを信じるのが正解です

 つまり推敲で実施すべき一番のポイントは、「第一稿で得られたテーマをベースに、全編を再編成すること」と言えるでしょう。

 『書くことについて』という名著を書いたスティーブン・キングも、物語に第二稿は必要だと書いています。(小説家になりたいならとにかく本を読む

  

どれくらい時間をおいて「第二稿」を書き始めるか?

 推敲は、ある程度時間をおいて始めることで効果が高まります。第一稿を書いた瞬間には、自分の作品の面白さばかりが見えて、客観視することができないからです。

 では推敲をいつ始めべきでしょうか?
 スティーブン・キングは、6週間程度空けることを薦めています。その間は本の引き出しにでもしまっておいて、一切手を付けないのが大事だと言うことです。

 私も思い出してみれば、6週間以上間隔を開けて推敲したときに良いアイデアが浮かんだと思います。
(2015年に完成した原稿を、2017年や2018年に推敲したりしました)

「第二稿」が完成したら推敲を重ねて「第三稿」を作ろう

 改稿を終えて第二稿が完成したら、第三稿の改稿に着手してみましょう。作家の平野啓一郎さんもこう書いています。私も初稿を書いていた時に抱いていた妙なこだわりがなくなり、3ページにも及ぶ演説の台詞を、無駄だなと感じて省いた経験があります。

初稿から第二稿、第三稿と、改稿を重ねる度に、段々と気になる箇所が減っていって、スムーズに読み通せるようになる。それが、この段階の作業の楽しみ。最初はかなり拘っていても、何度も読み返すうちに、どうでも良くなってくる箇所もある。そうなると、未練なく削れる。

 

 書籍化作業の時に第二稿、第三稿を改稿を進めて「無駄描写、無駄設定、無駄台詞」を省いた際の気付きは下記エントリーにも書いています。

校正も大事です

 「文章の誤り」や「表記の誤り」をメインに見ていくのが「校正作業」です。

 作中に使用している登場人物の名前が、漢字変換などの誤りによって「間違っている」なんてミスはないでしょうか。「アルフォード」の名前を持つ主人公が、どこかで「アルフォート」なんてお菓子の名前と入れ替わっていたりしていませんか?
 作中で何度もでてくる「重要語句」や「重要表現」が抜け落ちていたり、あるいは「ひらがな」で表現していたはずの統一感を「平仮名」と打ち込んでしまっている部分であったり……。

 統一しているはずの表記に誤りはなかったか。(漢字が誤っている、ひらがな表記と漢字表記が統一されていない、綴りのミス、名前の打ち間違いなど)。表現として用いた言葉に意味の相違が発生していないか。登場人物の名前が作中で間違って表記されてしまっている箇所などはないか。(ヒロインの名前である場所がヒーローの名前で綴ってしまっているなど)。

 チェックできる場所、チェックすべき場所などは「作品原稿」とは別に書き出しておいて、それらを当てはめていくなどの工夫もできるでしょう。やや「面倒」と感じられる作業であることも否めないかもしれませんが、「読み手」に与える「作品の読みづらさ」は「書き手」が感じているよりも「作品」に影響します。

 極論、非常にストーリーが面白くてお金を払いたい物語だったのに、登場人物の名前が「えい」なのか「A」なのか表記があいまいだったせいで「読みづらい」と感じた読者がページを閉じてしまったとしたら、「書き手」としても大きな損失だと感じませんか?

 いうなれば校正作業は、減点をなくしてトータルの点数を高く保つ作業です。作家としては大切にしたいですね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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