渡邉渚ビジネスから学ぼう、SNS時代の傷との向き合い方
2025年1月のXは、元フジテレビアナウンサーの渡邉渚さんの話題で盛り上がっていました。
『女性セブン』(12月19日発売)が中居正広(52)の深刻な女性トラブルをスクープして以来、そのトラブルを受けた人物として、誰も明言していないにも関わらず、元フジテレビアナウンサー、渡邊渚(27)さんが当事者として上がりました。彼女が兼ねてよりインスタグラムなどで発信してきた以下の内容と
・生命の危機を感じる衝撃的な出来事が生じた
・2023年6月時点でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症していた
・PTSDを発症した当日は雨の日でした。その時の気候や最寄り駅、匂い、食べ物を想起するとパニック発作が起こり、『過覚醒』というPTSDの症状で些細(ささい)な物音にも恐怖を感じるように・・・というインタビューの内容
女性セブンの記事にある雨の降る日という状況が一致していたことが憶測の原因でした。
「大雨の降る夜だったそうです。当初は、中居さんとA氏、A氏が呼んだ芸能関係の女性の3人で会食する予定だったが、急にA氏が行けなくなったと言い出したため・・・」
この内容を受けて中居正広氏は謝罪をするも、謝罪文の内容にトラブルがあったことを認めるコメントと「示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」という被害者を思いやらないコメントが含まれていたことから大炎上しました。
そして中居正広氏は2025/1/23に芸能界を引退することを決断されました。
その後もフジテレビが女性アナウンサーを権力者に上納していたのではないか、といった性加害の観点で炎上は続き、スポンサーがテレビ広告をストップするなどの事態になりました。
渦中の人となった渡邉渚さんは、フォトエッセイ『透明を満たす』を2025年1月29日に発売し、雨の日の内容についても触れるという触れ込みもあって、売り切れが続出。
様々な媒体で「1番嫌なところを永遠に何度も何度も」「見えない人の暴力的な言葉に自分を左右されたくない」「苦しみに直面してまで世に届けたかったこと」などと3つのインタビュー記事を同時に出すなど快進撃を続けられています。
この記事では、渡邉渚さんのPTSD発症から、女性セブンの記事発表を経て、フォトエッセイが売り切れ続出となった渡邉渚ビジネスの大成功から、全ての創作者が学ぶべきことについて書きます。
自の分自身の傷つきに対して、徹底的に元を取ろうという強い意志
まずは「自分自身の傷つきに対して、徹底的に元を取ろうという強い意志」です。渡邉渚さんのフォトエッセイは賛否両論がありました。PTSDが写真集を出せるわけがない、指弾したのに厚顔無恥過ぎるなと。
しかし私たち創作者だって、挫折を知らず成功し続けてきた一部のバケモノは例外として……、過去にクラスのカースト上位からいじめられた経験や、両親から暴力を振るわれた経験、愛着障害、身体障害や精神障害になった経験などから感じたドス黒い薄暗い精神を創作にぶつけてきたはずです。
書くことで、過去の傷を理解し、整理し、対価を得て報われようとする気持ちが創作を前に進める原動力となります。
挫折など一度も経験してこなかった、選ばれしものを除けば、私たちは皆凡人です。過去の傷は凡人の原動力になります。
渡邉渚さんもその原動力からフォトエッセイ出版を目指されたのでしょう。私たち凡人は自分の傷から徹底的に元をとる、という強い意志を持ち、創作に取り組みたいですね。
徹底的な匂わせにより読者の興味を惹きつける
渡邉渚さんのビジネスの凄いところは、核心を何ひとつ書いていないことです。
雨の日の夜に何があってPTSDになったのか。その一番大事な核心の部分は誰も何も触れていません。
示談済みのため、核心の話をできないという理由もあったのでしょう。しかし渡邉渚さんの、徹底的に元をとるという燃えたぎるような欲求の温度と比べて、何が起きたのかの理解度は一向に上がっていきませんでした。読者は皆、妄想と考察を楽しみ、この事件を消費していました。
まるでワンピースの正体を25年以上隠し続けてきた尾田栄一郎先生のようです。一流の漫画家は最終回につまらない話を持ってくると言いますが、渡邉渚さんの話もこの類であるように思えます。きっと全てが明らかになった時には、これまで盛り上がっていた読者は皆、なーんだと手のひらを返すことでしょう。
徹底的に匂わせて読者の興味を惹きつけ、妄想と考察させてコンテンツを楽しませ続ける…これは全ての創作者が目指す姿ですね。
憎しみを集めて興味を抱かせる
私はこの3つ目の要素は、少し個人で真似するのは難しいと考えています。というのも渡邉渚さんの集客におけるやり方は、憎しみを集めて興味を抱かせるものだったからです。
本物の彼女はおそらくそんな人ではないのでしょうけれど、メディアが作り出した渡邉渚像は醜悪なものでした。
世間から愛されていたグループのリーダーを引退に追い込み、前職であるフジテレビに200億円もの損害を与えて過去の同僚や同期およびその家族の人生の土台を揺るがしたにも関わらず、本人はPTSDを自称しながら写真集を発売し、売り切れるほどの人気だったと知るや様々な媒体でインタビューに出演する、憎しみに心を奪われた復讐マシーンかのような報道が行われました。
Xやヤフコメ、彼女のインスタグラムのコメントを見ると、彼女が被害者であるにもかかわらず、彼女の言動を責める書き込みが多いように感じます。
ですが、厚顔無恥で身の程知らずの金に汚い嫌われ者というイメージこそ、SNS時代にもっとも知名度を上げる戦略なのですよね。
さらに、彼女に対してイライラする人ほど、連日YahooニュースやXで彼女のニュースが配信され目につくため、渡邉渚さんのことで頭がいっぱいになります。そのうちの何%かはフォトエッセイの購入にも乗り出すでしょう。好きと嫌いは紙一重。
SNS時代に最適化されたマーケティング戦略です。ただし、個人が真似すると嫌われてミュートされるだけですので、大手メディアのゴリ押しがプラスで必要な戦略です。利用する際はご注意下さい。
まとめ
この記事では私たち創作者が渡邉渚さんのビジネスから学べることについて書きました。
・自の分自身の傷つきに対して、徹底的に元を取ろうという強い意志
・徹底的な匂わせにより読者の興味を惹きつける
ことは私たちの創作でも心がけたいことてすね。
一方で彼女の立ち回りを真似するのは注意が必要です。大手メディアのゴリ押しがなければ、嫌われて信頼をなくすだけに終わりかねません。個人で創作をする際には、読者の信頼を裏切らない人間でありたいですね。
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