ワクワクする物語とは〜ワクワクの正体を掴んだ〜

「読者に読まれたいなら、読者をワクワクさせる物語を書かなくちゃいけない」
 こんな言葉を聞いたことがないでしょうか。
 小説の紹介で「ワクワクする展開が待っています」というのもよく見ます。

 ですが、私、この「ワクワク」というものが今ひとつピンときていませんでした。自分で小説を書いたり読んだりするとき、ワクワクしている気がすると感じるものの、その正体がわかりませんでした。

 このワクワクについて、改めて考えてみた結果、正体がつかめましたのでシェアします。

ワクワクの意味

 例によって、ワクワクの意味から調べてみましょう。

わく‐わく の解説
[副](スル)期待や喜びなどで、心が落ち着かず胸が騒ぐさま。どきどき。「胸をわくわく(と)させて包みを解く」
[補説]古くは、心配で胸が騒ぐさまにも用いた。

わくわくの意味

 この短い文章から、わかることが2つあります。
1つめは、心が落ち着かないことをワクワクと呼ぶこと
2つめは、昔はポジティブとネガティブのどちらの意味でも使われたが、今はポジティブな意味で使われること。

 つまり、ワクワクとは、「心が落ち着かないことを指す」のだが、今はポジティブな意味でしか使われないということです。

 私はこれでピンときました。ワクワクする物語とは、「読者の心をポジティブな意味で落ち着かせない物語」のことです。

ワクワクさせる物語を書く方法

 ワクワクする物語とは、「読者の心をポジティブな意味で落ち着かせない物語」であることがわかりました。

 それでは「ワクワクさせる物語を書く」ためにはどうすれば良いのでしょうか。

 これにも2つの要素が必要だと考えます。
 1つめは「心が落ち着く要素を排除すること」
 2つめは「ポジティブな方向に進んでいること」です。

心が落ち着く要素を排除する

 読者から「安心して見られる」と思われる要素を排除しましょう。例えば恋愛物語で恋愛が成就したら、読者は安心します。そこから二人を引き裂く第3の男や、環境の変化を引き起こして読者を不安にさせることはできますが、それは「古い意味でのワクワク(心配で胸が騒ぐさま)」です。

 ですのでワクワクする物語には、下記のような要素が必要です。

①主人公が目標を達成していない

 例えば主人公が、「憧れの女の子と付き合う!」という目標をもっているとします。
 この目標を達成していないからこそ、読者はどうやって主人公は女の子と付き合っていくんだろうと期待し、好感度の上がるイベントがあれば一緒に喜ぶことができます。これはワクワクするための要素でしょう。

②主人公が完成していない

 例えば甲子園出場を目指す野球漫画で主人公が、補欠のピッチャーだったとします。甲子園に出たいという目標をもって頑張る主人公。ですが目の前には自分よりもはるかに能力の高いエースピッチャーがいるとします。主人公には弱点がたくさんあり、そこをひとつひとつ克服していく。

 主人公が完成していないからこそ、読者はどうやって主人公は弱点を理解し克服するのだろうと期待し、弱点を克服してエースピッチャーを上回っていることを示すイベントがあれば一緒に喜ぶことができます。これはワクワクするための要素でしょう。

③主人公が勝っていない

 例えばバトル漫画で主人公が劣勢だとします。
 主人公が勝っていないからこそ、読者はどうやって主人公が勝つのだろうと期待し、勝利したときに一緒に喜ぶことができます。これは、一番わかり易い、ワクワクするための要素でしょう。

ポジティブな方向に進んでいる

 心が落ち着く要素を排除したとしても、主人公が行動を起こしていなかったり、ネガティブに考えてしまうとワクワクしません。ですので、下記のような要素が必要です。

①夢に向かっている

 主人公が「憧れの女の子と付き合う!」という夢をもって行動している場合、達成されていなくても応援したくなりますね。

 これが、「憧れの女の子と付き合う!」という夢をもっているけど行動しない主人公や、「別に俺はモテないし」と諦めている主人公をみても、ワクワクしません。たとえ彼らに「憧れの女の子と付き合う!」チャンスが転がり込んできたとしてもです。

 「憧れの女の子と付き合う!」という夢をもっているけど行動しない主人公に、女の子が一方的に付き合ってくださいと言ってきたら、都合が良すぎて冷めます。受け身の主人公に餌を与えられただけだからです。

 「別に俺はモテないし」と諦めている主人公に、女の子が一方的に付き合ってくださいと言ってきたら、諦めているくせに付き合うなんて一貫性ないよね調子いい、という思いが先行します。主人公は考えを歪めているからです。

 どうやらワクワクのポイントとして、主人公が受け身でないこと(主体的であること)、考えを貫くことが重要な要素としてありそうです。主体的かつ考えを貫く……それを満たすための方法が夢に向かうことです。

②成長している

 甲子園出場を目指す野球漫画で、主人公が補欠のピッチャーだったとして、うまくなるための努力を何もせず遊び歩き、急展開でエースピッチャーが肩を壊したからエースになってくれといわれて、ワクワクするでしょうか。

 努力して、うまくなっている描写があるからこそ、いずれはエースにと読者は期待します。そして突然のチャンスを活かしたときに読者は喜び、ワクワクするのではないでしょうか。

 もちろん、修行の描写をすればいいというわけではありません(テンポの問題もありますから)。物語の展開の中で、精神的に弱い部分が補われて、人間的に成長するといった描写があると、主人公が何かを達成するのだろうという期待が高まり、達成したときの根拠づけとなります。根拠がなければ、何かを達成したときに「都合がいい」と思われて素直に喜べませんから、根拠を積み上げていくことは、素直にワクワクさせるために必要なことですね。

③卑怯ではない

 バトル漫画で主人公が劣勢だとします。これ自体はワクワクするのですが、勝つための方法が卑怯だと素直に喜べません。

 例えばワンピースのルフィが、ゴムのように伸びる手でドフラミンゴの首を絞めて窒息死させたとして……これ嬉しいですか?相手が卑怯な攻撃をしてきても、主人公は正々堂々と戦い、勝つから素直に喜べるのではないでしょうか。

 ②でも少し書きましたが、勝つというイベントを達成したときに、素直に喜んでもらうことが大事です。そのために根拠づけと、正々堂々が大事なのではないでしょうか。

人生に対しても言えるのかな

 ワクワクの意味と、ワクワクさせる物語を書く方法について書きました。

 実はこの話、自分自身の人生にも言えるかもしれません。

「一度きりの人生、自分らしい人生を生きたいなら、あるいは成功したいなら、ワクワクすることに挑戦しよう!」

 こんな言葉を日常や、インターネットでよく目にしないでしょうか。

 インターネットでは、自己啓発系の人が書いていたりして、ワクワクという言葉に嫌悪感をもっている人もいるかもしれません。

 ですが心が落ち着く要素を排除することと、ポジティブな方向に進んでいることという、ワクワクの正体がわかると、どうでしょう。書籍化を目標にしてみるかとか。小説家になろうでランキング1位を目指してみるかとか。自分の心が落ち着かない目標をたてて動いてみるのもいいかな、と考えられるのではないでしょうか。

 この記事があなたの創作活動、および人生という物語活動の一助となれば幸いです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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