文調とは?〜意味がよくわかる小説・ラノベの文調論〜
この記事では、文調について説明します。
文調と聞くと、「です・ます調」と「だ・である調」があることは知っているけれど、小説を書くときはそのどちらでもないような気がする……そういう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その違和感は、言葉の選択を意識することによって解決されます。
小説執筆においては、文調と言葉の選択は切り離して考えることができないものです。今日はこれについて書いていきます。
文調について
文調が一定しておらず、変わることがある記事を見ると、一般の人は「継ぎはぎ感」を覚えます。ですので、文調を統一することを意識しましょう。文調について説明します。
です・ます調(敬体)
です・ます調とは、語尾にです・ますのつく文章です。また、です・ますの変化形である「ました・でした・でしょう・ください」なども、です・ます調の文章となります。このブログも基本的にはです・ます調で書いていますね。
どんな人にも丁寧に感じられて柔らかく伝えられるのがメリットで、不特定多数の読者が目にするWEBの記事に向いています。
文末のです・ますに注目しがちですが、文中の、だが・あるがといった表現も、ですが・ありますがと変更するのが正しい姿です。敬体とも呼ばれます。
けいたい【敬体】
敬体
口語の文体の一。文末に「です」「ます」「でございます」などの丁寧語を用いて統一した文章様式。また、その文体。
だ・である調(常体)
だ・である調とは、語尾にだ・であるのつく文章です。また、だ・であるの変化形で「だった・であろう・した・された・ない」などもだ・である調の文章となります。多くの方が小説執筆の際につかっているのはこちらの文調ではないでしょうか。
簡潔で説得力のあることがメリットで、ニュースや論文に向いています。
文中の、ですが・ますがといった表現も、だが・であるがと変更するのが正しい姿です。常体とも呼ばれます。
じょうたい【常体】
常体
口語文体の一。敬語を用いず、文末に「だ」「である」などを用いる普通の文章様式。
否なのだ・である調
だ・である調をご説明したところで、私はもうひとつの文調を提案したいです。それは「否なのだ・である調」です。
これはなに?というと、「だ・である調」の書き方なのですが、「なのだ・である」を使わない書き方です。
なぜこんなものを提案するかというと、「なのだ・である」という語尾の与える印象が、異常に強いのですよね。例えば下記の4つの文章を読んでみてください。「なのだ」と「である」の文章は、読んでいて威圧感を感じませんか?
「彼は東京の高校に通う、16歳」
「彼は東京の高校に通う、16歳だ」
「彼は東京の高校に通う、16歳なのだ」
「彼は東京の高校に通う、16歳である」
私なんかは、読者に威圧感を与える文章は、読者想いじゃないなあと考えていて、できるだけ「なのだ」と「である」を使わないようにしています。
※本当は「だ」という語尾もあまり使いたくないのですが、たまに使う分にはインパクトがあって良いと思います。
私が思うに、ほとんど全ての小説で、この「否なのだ・である調」が使われているはずです。ですので第3の文調としてこれを提案したいと想います。
言葉の選択について
文調だけで、小説の文章を説明するとどうしても無理が出てきます。
ここで重要なのが、言葉の選択をどうするか、です。
つかう言葉には口語と文語があります。ご存知とは思いますが、下記に説明しますね。
口語
日常で使われる会話内の言葉遣いのことです。
例えば「じゃん」「だべ」といった方言を表す語尾も口語調に相当しますね。「ぴえん」「しか勝たん」「まじ卍」といった口語でしか使わない言葉も口語調に相当します。「のだ」を「んだ」に、「ではない」を「じゃない」に崩すのも、口語の特徴です。私たちは論文のようには話していません。
口語にはたくさん種類があります。
女子高生風、広島弁、関西弁、熊本弁……などなど。
この年代の、この場所に生まれた人たちなら、こう話すよねという特徴を掴んでいるかどうかが重要です。
また、いわゆる口癖も含まれます。例えば超優秀なキャラクターに見せたいのなら、下記の話し方を参考にするのも手です。
ととのえさんの部下の方、素敵。
文語
口語でつかわない表現をつかった文章のことと考えて構いません。堅苦しく丁寧で、物語の舞台にそぐわない文学や論文に用いられるような言葉遣いのことです。
例えば、刹那という言葉は、会話の中ではまず使いませんね。
また、現代を舞台とした物語と考えた場合、下記の台詞に違和感がないでしょうか。
「きみはかんちがいをしているのだ。道をえらぶということは、かならずしも歩きやすい安全な道をえらぶことではないのだぞ」
ここでは「のだ」という言葉自体が、現代日本の会話では使われない単語のため、物語の舞台にそぐわない会話文となり、違和感を覚えるはずです。
※ちなみに出典は、ドラえもん「きみはかんちがいしてるんだ。道をえらぶということは、かならずしも歩きやすい安全な道をえらぶってことじゃないんだぞ。」です。
文調と言葉の選択を使いこなして小説を書こう
小説の中では、言葉の選択を文調と組み合わせて、使い分ける必要があります。というより、意識しなくても、地の文と、キャラクターそれぞれの会話で使い分けていると思います。
例えば、地の文は文語で「否なのだ・である調」にしよう。キャラクターAは文語で「だ・である調」にしよう(シンデレラガールズの神崎蘭子みたいな感じ)、キャラクターBは口語で「です・ます調」にしよう(シンデレラガールズの島村卯月みたいな感じ)という風にです。
これを意識すると、文章にリズムが出て読みやすくなると思います。ぜひ意識してみてくださいな。
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