古くてダサいを回避する。若い人に嫌われない作家になろう

2020年7月31日

 Twitterをしていると、作家クラスタで毎年似たような話題を見つけることがあります。

 例えば「Web小説家を目指すなら1日1万文字書け」という方や、「1日2回は投稿しないとダメ」という戦略家の方。「書籍化したければテンプレ通りに書け」という方。

 新しく参入してきた人に上から目線で、「こうすべきだよ」と、細かいことを指摘する人があとを絶ちません。

 確固たる考えを持っている人はすごいなと思いつつ、それって下手したら老害になるよ、若い世代から嫌われるよという話をしたいです。

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昭和から平成にかけての確固たる価値観(常識)

 例えば昭和から平成にかけての確固たる価値観としては「高学歴、マイホーム、正社員、終身雇用」がありました。

 ですが上記の価値観は、令和の今も通用するでしょうか。

 それどころか平成の時代でも、上記の価値観を守っていてスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような起業家が育つでしょうか。

 もしかしたら、昭和から平成の確固たる価値観は古くなっているのかもしれません。

Web小説においての常識

 下記のエントリーでも、マナーは守って常識はくずしていいという話を書きました。
小説を書こう!【投稿前後の心構えと常識、マナーへの考え方】

 Web小説の世界は日進月歩。今日の常識が明日の非常識になるかもしれません。
 実際、2020年4月のトレンドは『大部分の読者が欲しているのはラブコメ、成りあがり、ざまぁ、無双』でしたが、現在のトレンドは追放や異世界恋愛へと変化しているように思います。

※(2021/9/26追記)なろうファンDB管理人さんが、2020年10月〜2021年9月までのトレンドをまとめてくださりました。

周囲に仲の良い人だけをあつめると老害になってしまう

 SNSは考えの近い人達とつながりやすいツールです。インドアが大好きな人がナンパ師をフォローしたりしませんよね。インドアな人は読書やアニメや映画の好きな人をフォローするでしょう。趣味が同じ人たちをひと括りにして、小説クラスタとか映画クラスタと呼ぶこともあります。

 このクラスタという存在が、要注意です。

 例えば初代ガンダムクラスタがあり貴方が属しているとします。このクラスタにおいては、いつまで経っても最強のモビルスーツは初代ガンダムですね? しかし実際にはνガンダムやユニコーンガンダムといった次世代のガンダムがいるわけです。

 ところが初代ガンダムクラスタでは、最強は初代ガンダムという考えの誤り、考えの古さを指摘する人がいません。いつしか考えが凝り固まって、(令和の今も昭和・平成の価値観を絶対と考えるような)老害になってしまいます。

 

 私が最近、老害を感じたのは『最近のライトノベルって転生しかないイメージだけど : ぶる速-VIP』という記事です。

 Web小説が転生しかないって感覚、もう古くないですか? 私はジャンプといったらドラゴンボール、ロックといえばGLAY……くらいの恥ずかしさを感じてしまいました。

 Web小説界隈に触れていたら、まず抱かない感覚じゃないでしょうか。

若い世代から嫌われない方法

 常に2つの視点でいることが大事だと考えます。

 これは古くならない作品にも共通していると感じます。
 例えばガンダムが長く愛されているのは、連邦側だけでなくジオン側にも正義があり、相反する正義が物語を紡ぎ続けるからではないでしょうか。

 例えばエヴァンゲリオンが長く愛されているのは、シンジくんの正義と大人の正義が相反するからではないでしょうか(劇場版の破で「いきなさいシンジくん!」と言われたにもかかわらず、Qで何やってんだお前!と言われるこの理不尽さなど)。

 それから、これはマイナーかも知れませんが機動戦艦ナデシコでは地球人の正義と木星人の正義が描かれました。私はナデシコもいまだ古くなっていない物語だと感じます。

 重要なのは2つの視点を持つことです。
 50年後、「なんでお前服着てんだよ!」という世界が来ないとは限りません。

 そんなとき、服を着るという常識と、服を着ないという常識が混在する世界を書いておけば、2020年の時点では服を着る勢力を正義として読め、50年後の2070年には服を着ない勢力を正義として読むことができます。

※50年後も服は着ているでしょうけども。

 毎年恒例のツッコミをするのではなく、このツッコミ、もう古くなっていないかな?と新たな視点から考えることが大事ですね。

 そのツッコミ、まだ必要ですか?

2つの視点を加えた物語を書いてみよう

 手前味噌ですが、物語に2つの視点を加えた物語としては、私の作品もひとつ例になるかと存じます。

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 本作は1巻から3巻にかけて、英雄アイン・スタンスラインの王道ストーリーを描きました。しかし3巻の外伝では、アインの活躍によって歪んでいったケルトの物語が描かれます。
 

 さらに外伝プロジェクト・レボリューションでは、アインによって切り捨てられた人々の物語が描かれます。

 それによってアインの『唯一無二の絶対的な英雄』という印象が揺らいでいく……という構成になっています。

複数視点が議論を生み、古くてダサいを回避する

 エヴァンゲリオン論、ガンダム論という言葉があります。

 もちろんヒットしたから論じられているという部分もあるでしょう。しかし二つの視点が組み込まれているからこそ、論じ甲斐があって研究者の研究対象になり、時代に合わせて解釈を変更してくれる方がでてくるのでしょう。

 また、エヴァンゲリオンは1995年だからこそ生まれたんだね、なぜなら1995年は……と歴史的な解釈をされたりします。庵野秀明監督のこういった経験が盛り込まれているといった、作者論に発展する場合もあります。

 こういった論は、息が長いです。

 古い作品でも、受け継がれていくうちに別の解釈が生まれ、時代に合わせて消費してもらうことができるなら、永遠に古くはならないのですね。漫画で学ぶニーチェのように。

 さらにいうと、文化というのは古いものを取り入れつつ進化してきますが、時折とても似た文化がブームになることがあります(コロナウイルスが流行したことで、ペストが見直されたり)。
 ですので、何年か先にいまこそエヴァンゲリオンを見るべきだという時代がきてもおかしくありません。

 いつになっても古くならない……となれば老害になりようがないですね。

 人気と両立するのは難しいと思いますが、古くならない作品を目指すのもひとつの道かなと思いました。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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