指揮官の名声値を高める、4つの考え方

2020年12月25日

 私の創作活動は、理想のリーダーを描く……がひとつのライフワークとなっています。
※代表作は、最高のリーダーを描いたアイン・スタンスラインの波瀾なる軌跡と彼が起こした奇跡について。様々なリーダーシップを書いた、リーダーシップと紙とペンなど。

 そんな私が目を引かれた意見がありました。

「兵を従える上で指揮官の見た目とか所作とか有する名声とかってどちゃくそ大事」

 このツイートにある通り、指揮官の名声(名誉ある評判)は、物語の中で指揮官が兵を従える説得力を高めます。本エントリーでは、指揮官の名声値を高める、4つの考え方をご紹介します。

 

生まれの良さで決まっている(貴種主義)

 貴種主義という言葉は、造語です。これは貴種(その人の現在の地位や名声とは関係なく、高貴な家柄に属していること)が重要視される、という考え方です。

 この記事を読んでいる人の中には、「貴種流離譚」が好きな方もいらっしゃるのではないでしょうか。祖国を侵略され、故郷を奪われた王族が、流浪の旅を経て、祖国を取り返すといった物語の類型です。主人公は元王族であることからリーダーとなり、生まれの良さが、人を従える根拠になります。

 やっぱり生まれの良さって、変えられないものですから、特別に感じるのですよね。

 本ブログでも何度か書いていますが、キャラクターづくりの最大のポイントは、主人公を特別にすることです。血筋という、生まれた後に変えられないもので主人公を際立たせる……この方法はよく使われています。小説家になろうで、高貴なキャラクターを主人公にするのも、同じ理由でしょう。

 また、私はファイアーエムブレムが好きなのですが、このゲームは「貴種流離譚」が好きな方におすすめです。(血筋が全てというシリーズもあるくらい。けれど貴種も平民も、最後にはみんな愛おしくなります)

 

人から慕われることを目指す(徳治主義)

 徳のある統治者がその持ち前の徳をもって人民を治めるべきであるとした孔子の統治論に由来する儒教の政治理念・思想のことです。

 イメージしていただきたいのは、鬼滅の刃の煉獄さんです。

「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな対立違反!
 我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」
 柱合会議にて。鬼の禰豆子とそれを庇っていた炭治郎の処遇を決める際のやり取り。
 自分のすべき・求められた役割を理解し、迷わず決断を下す煉獄さん。

「うまい!うまい!うまい!」
 牛鍋弁当を美味しそうにパクパクと食べながら、ポジティブで正直な感想を口にする煉獄さん。

「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ
 老いるからこそ死ぬからこそ、たまらなく愛おしく尊いのだ
 強さというものは肉体に対して使う言葉ではない」
 上弦の参、上弦の参の猗窩座から鬼にならないかと勧誘された際のやり取り。
 人間に対する無限の愛が感じられる、煉獄さん。

「俺は俺の責務を全うする!ここにいる者は誰も死なせない!!」
 猗窩座との戦いで、既に敗色濃厚な煉獄さんが放ったセリフ。
 そして乗客も仲間も守りきった煉獄さん。

竈門少年、俺は君の妹を信じる
 柱合会議にて「鬼もろとも斬首する!」と言い切り、鬼を倒すという確固たる信念を持ちながら、自分の意見を変えることができる柔軟性。煉獄さん。

「胸を張って生きろ
 己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと
 心を燃やせ 歯を食いしばって前を向け
 君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない
 共に寄り添って悲しんではくれない

 俺がここで死ぬことは気にするな
 柱ならば、後輩の盾となるのは当然だ
 柱ならば誰であっても同じことをする 若い芽は摘ませない
 そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ
 俺は信じる
 君たちを信じる」
 未来に対する無限の期待。保身ではなく、最後までみんなのためにを貫いた煉獄さん。

 

 これらのシーンを思い返すと、煉獄さんについていきたい!と改めて感じます。煉獄さんのような、人から慕われるリーダーを目指すのが徳治主義です。

 とはいえ、徳のある統治者とは、時代によって定義が変わるものです。体育会系のリーダーが慕われた時代もあれば、体育会系のリーダーが嫌厭される時代もあります。徳治主義のリーダーを書くなら、現代人がどのような人に憧れるのかを学ぶことが大事です。

 

誰よりも優秀であることを目指す(実力主義・成果主義)

 年齢・性別・学歴などによらず、実際の能力や仕事の成果を重視して評価を決める考え方です。

 例えばとある魔術の禁書目録の一方通行は、学園都市第一位の超能力者であり、学園都市最高の頭脳を持つ、学園都市の最優秀生徒です。ですので「新約とある魔術の禁書目録22」でアレイスターが遺言として、一方通行を学園都市の最優秀学園都市統括理事長に抜擢しても、違和感はありませんでした。

 しかし煉獄さんがいうように、人は老い、死にます。実力が一位で有り続けるというのは、とても困難です。また、明確な尺度が示されている世界以外では、実力があるかどうかを客観的に示すことが重要です。

 だから、キャラクターの残した成果をつくることが重要です。

 私のキャラクター、アイン・スタンスラインはこの成果を意識しました。
「14歳でギムナジウム(高校)を飛び級で卒業。
 隣国オースティアの最高学府に入学。
 ひょんな流れで国王を任され、追い詰められながらもオースティアの世襲制を崩し、国民選挙を導入。ロマリア、デロメア・テクニカ、アルテリアが公害裁判によって揉めることを防ぎ。龍の加護を得、アルテリアの動乱を沈める。圧倒的な得票率でオースティアの国王に専任され、オースティアとリベラリアの建国以来の因縁を断ち切り。国際連合を立ち上げる。最強の武人ブラエサル・グリードリッヒに勝利し、ブラエサルの腹心を懐刀として重用する。国際連合を率いて異次元の驚異と戦い、勝利する」

 わずか17年間の人生で、アインは圧倒的な成果を積み上げました。彼と同じだけの実績をつめば、誰もが彼を世界のリーダーと認めるでしょう。ここまでしなければ世界のリーダーになれないのかと思うと、憂鬱にもなりますが。

 

美しければそれでいい(耽美主義)

 最後に紹介するのは、美を最高の価値として、ひたすらその世界に心を傾け陶酔する考え方です。

 私は、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の帝・正親町天皇をイメージします。舞台は戦国時代。屋根が壊れ、塀の破れた御所に住まい、帝の門番たるべき将軍は側にいません……いわば何の後ろ盾も、政治的権限もない正親町天皇。
 ですが、この帝は、戦乱の世の中で、ただ美しく有ることで、その威厳を保っているように見えました。坂東玉三郎 インタビュー | 『麒麟がくる』 – NHK

※もちろん、生まれは日本の中でこれ以上はない、貴種な存在です。貴種主義の影響もあるでしょう。ですが私は、著作「アイン・スタンスラインの波瀾なる軌跡と彼が起こした奇跡について」で、「血筋じゃない、生き様だ」と主人公に言わせるほど……言ってみれば貴種主義のアンチです。
 大好きなファイアーエムブレムシリーズでも、恵まれた王族より平民に感情移入してしまうタイプです。そんな私でも、『麒麟がくる』の帝・正親町天皇には魅入りました。
 ですので、これは貴種であることがポイントではなく、美しさがポイントだと感じました。

 

 現代人も、Appleの美しいガジェットに心惹かれることがあります。生き様の美しいアイドルに心惹かれることがあります(表現者として目を離せなかった欅坂46)。

 群雄割拠の時代、個人主義の時代。美しければそれでいいというのも、ひとつのリーダーシップなのかもしれません。